元駐アンカラ米国大使ら「エルドアン支持放棄提言」寄稿
2014年01月25日付 Radikal 紙
元駐アンカラ米国大使モートン・アブラモウィッツ氏とエリック・エデルマン氏は、ワシントンポストに「アメリカはトルコに対して“路線変更せよ”と伝えなければならない」と題する記事を寄稿し、エルドアン首相はトルコの民主主義を阻害しており、アメリカはこの状況に介入する必要があると主張した。
この10年の成功がいかなるものであったとしても、トルコのレジェプ・タイイプ・エルドアン首相はトルコに危険な民主主義の場を封じている。これは、トルコとトルコの西側同盟諸国にとって深い問題である。というのは、短期的利益への害を恐れて発言することを控えるならば、長期的にはトルコの安定を危険に陥れてしまうからである。
先月、警察は、名だたる実業家と政府閣僚の子息をはじめ、エルドアン政権に近い50人以上を汚職容疑で逮捕した。汚職はトルコ政界に長年浸透しているものだが、今回の告発ほどの汚職はこれまで見られたことはなかった。汚職は政府上層部に浸透しており、国内だけでなく、イランへの投資においても重要な違反が含まれていたのだ。
■エルドアン首相は告発を隠蔽し、陰謀であると述べた
エルドアン首相はこれらの告発を厳格に調査するのではなく、隠蔽した。弱い司法に対する政府の支配力を高めるため、高位の検察官に加え、トルコ全体で3,000人の警察官を罷免した。このことは、警察の独立した捜査能力を限定し、メディアが問題について報道することを妨害した。
さらに、かつて一番の協力者であった 強力な宗教指導者フェトゥフッラー・ギュレンの支持者らを特に標的にし、エルドアンの敵の一掃に向けたメディアキャンペーンを張るようになった。そして昨年の夏、政府に対する抗議が爆発した際のように、エルドアン首相はまたもやすべての事件が自分自身に向けられた陰謀であると位置づけた。彼はさらに他の野党や外国勢力をも巻き込む一方で、米国大使を国外追放すると脅してさえみせた。
これは単に「スキャンダルを防ぐ」ためだけの政治家の行動ではない。エルドアン首相はこれらのことを、反対勢力を抑え込み、トルコでの自分の支配力を強化するために行ったのだ。
<中略>
■アメリかは優柔不断な態度を改めるべき
アメリカの政治家は、エルドアン首相の独裁的傾向が破壊的影響を招くことに対する優柔不断な態度をやめ、アメリカがトルコの政治的安定と民主主義の活力に貢献した重要性を、トルコ人の指導者らに思い出させなければならない。とりわけアメリカのトルコに対する影響は表面上に現れているものよりも大きいことから、トルコ人はアメリカを信用していなくても、二国間関係を壊したくはないのだ。
エルドアン首相はトルコとアメリカの同盟関係や、バラク・オバマ大統領との個人的に近しい関係を自分の正当性を際立たせるために利用した。公の場においても、個人的面会においても、アメリカがより強い形で非難することで、エルドアン首相の態度を軟化させることができるだろう。アメリカにとって対トルコ関係による利益がいかに重要であったとしても、沈黙や決まり文句では、トルコの政治の崩壊を食い止めるには不十分であろう。
エルドアン首相はトルコの民主主義に大きな損害をあたえている。アメリカはエルドアン首相に対して、過度に過ぎた行動と扇動が、トルコの政治構造とトルコの価値を大混乱に陥らせ、アメリカ―トルコ関係を危うくすることを、公の場で、そしてエルドアン首相個人にもはっきりと説明するべきだ。
本記事は
Asahi 中東マガジンでも紹介されています。
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( 翻訳者:富田祐子 )
( 記事ID:32687 )