ザマン紙「うそ、うそ、うそ―各紙の虚報に反論する」
2014年01月26日付 Zaman 紙
12月17日の不正・賄賂捜査後、一部メディアで展開されている嘘やスキャンダラスで歪曲的な報道をリストアップしてみると、つぎのような事実が現れた。
2月28日過程において宗教家に対してなされた、メディアでのネガティブキャンペーンは、昨今、ヒズメット運動に対してより激しくおこなわれている。12月17日の「不正・収賄に対する大規模捜査」以降、一部のメディアでは嘘、スキャンダラスで歪曲的な報道が次から次へと飛び交っており、恐ろしい状況となっている。節度を欠いた表現が、まるで節度など存在しないかのように、新聞コラムにあふれている。さらには、侮辱を通り越した下劣な報道は、そうした新聞のかつての見出しを裏切っている(矛盾している)。自分たちの報道を正当化するためには、自らのアーカイブすら見ようともしないこれらの新聞は、報道に対する反論にも耳を貸さない。かつて嘘であると法的に立証されたスキャンダルを再び報道することにも一切負い目がないようだ。組織的な形でのスキャンダルや歪曲が増加しているということは、「なにか特別な中央組織によって嘘の情報が作り出され、広められているのだろうか?」という疑問が頭をよぎる。メディアの虚偽の報道は、一冊の本ができそうなほどになったので、その中からいくつかを選んでまとめてみた。
■その1
嘘:バンク・アジアが20億ドル大もうけ
事実:中央銀行発表:外貨購入なかった
賄賂捜査後、新聞数紙はバンク・アジアが捜査について情報をえており、市場で外貨を買い集め合計20億ドル相当の利益を出したと報じた。内務大臣エフカン・アラ氏もトルコ国営放送TRTの生放送に出演し、個人の名前を伏せたうえで、「捜査前に市場からドルを集めた人物を掴んでいます。その資料もあります」と語っている。しかし。中央銀行はこのように外貨を集めることは、実際はなされなかったと明らかにした。バンク・アジア側もこの件についてははっきりと否定し、この数か月の外貨購入を日々公開している。
■その2
嘘:賄賂捜査の標的はハルクバンク
事実:ハルクバンクには一切捜査が入っていない
政権に近い新聞数紙は、不正・賄賂捜査をハルクバンクに対する捜査として行われたと報じた。さらにはハルクバンクになされた捜査により、国家機密がイスラエルに漏えいしていたと報じている。しかしハルクバンクはこれを断固否定し、法人格の各銀行に捜査や取り調べは一切なかったとしている。ハルクバンクの声明を報じた記事のすぐ下に「ハルクバンクに捜査」とさらに報じた新聞もあった。
■その3
嘘:紛失した聴音機が警察署の屋根裏で見つかった!
事実:(警察署)屋根裏の聴音機はスクラップ
まず、警察署署の聴音機は各地で違法聴音を行っていると書いたうえで、聴音機が「警察署の屋根裏で発見された」と報じたのだ。しかし、屋根で見つかった聴音機は故障していたことが捜査員報告で明らかになっている。
■その4
嘘:不正捜査は世界的陰謀
事実:不正・収賄を最初に報道したのは、政府系新聞
イェニ・シャファク紙は「で、これは何?」と題した記事で、不正捜査を「教団」が行ったと、嘘の証拠をでっち上げた。しかし不正・収賄捜査でのアリ・アーオール氏とレザ・サッラーフ氏に関する報道は、メディアでは最初にイェニ・シャファク紙とアクシャム紙が報じた。
■その5
嘘:ギュレン師は金鉱のある国に学校を設立
事実:世界各地に学校はある
タクヴィム紙は、見出しでフェトゥフッラー・ギュレン師は金鉱のある国にのみ学校を設立していると報じている。トルコ人学校が開校された60ヵ国に金鉱があるというが、トルコ人学校がある残りの100ヵ国のことをなぜか忘れてしまっているようだ。
■その6
嘘:誰にも知らされなかった
事実:財務省、MASAK、UYAPには告知、MİTには8か月前
捜査に関しては1年以上の準備期間があったにも関わらず、いかなる政府機関も事前に捜査について情報を得ていなかったという。しかし、調査を担当している警察によれば、金融犯罪調査委員会(MASAK)に告知し、捜査の2ヵ月半前にはMASAKが報告書を用意していたことが明らかになった。
メフメト・シムシェキ財務大臣も、MASAKに対し、金預金口座の件で38件の怪しい取引の報告書を提出したことを明らかにしている。また12月17日の収賄・不正捜査の8ヵ月前に、トルコ国家情報機構(MIT)がレザ・サッラーフ氏と大臣らとの繋がりに関して警告を出していたことも明らかになった。
14ヵ月前に以下の番号で国家司法ネットワーク(UYAP)に連絡されていた。2012年50690、2012年125043、2012年120653。
■その7
嘘:教団とEUが極秘会合
事実:極秘会議に政府からエゲメン・バーシュやファトマ・シャーヒンも参加
ヒズメット運動に反対する記事を多く書いているイェニ・アキト紙は、新聞記者財団(GYV)がEU各国大使らと「超極秘」会合を行ったと報じた。しかしその会合にはエゲメン・バーシュ大臣やファトマ・シャーヒン大臣の名もあった。GYV会長のムスタファ・イェシル氏は会合にはEUの当期議長の招待を受けて参加したとして、この情報を否定した。
■その8
嘘:様々な文書がザマン紙に漏洩
事実:件の文書は、ザマン紙では一切報道されていない。
イェニ・アキト紙は、「捜査の第2段階でムアンメル・アッカシュ検察官は、まず文書を警察署に、その後ザマン紙に漏らした」と報じた。記事には、「ショッキングな文書を発見」と書かれているにも関わらず、文書の信ぴょう性を証明するソースは示されていない。特にこの捜査に関して主張しているような、いかなるニュースもザマン紙では報道されていない。
■その9
嘘:保護者らはデルスハーネ(予備校)から子供たちを連れ出している
事実:写真はFEM予備校での試験時の混雑の様子
イェニ・アキト紙は、明らかに嘘とわかる記事を取り上げ、小見出しで、保護者らがヒズメット運動に近いことで知られる学校や予備校から、子供たちを連れ出していると主張している。どうしようもない嘘記事がもう一つ。しかし証拠として挙げた写真に写っている人ごみの様子は、FEM予備校のレベル分けテストに向かう学生やその家族であることが明らかとなった。
■その10
嘘:教団はギュレン師に反発
事実:教団側が否定
イェニ・アキト紙は、さらに「教団はギュレン師に反発」という見出しで、様々な識者(オピニオンリーダー)らの見解を載せたデマ記事を書いた。しかしこれらの記事が嘘であると、関係者により即座に否定された。これに対するクレームを受け、新聞は翌日「訂正とお詫び」の文章を掲載せざるを得なくなった。
■その11
嘘:教団が大学教授を妨害、退任に!
事実:職は失っていない。預言者ムハンマドへの冒瀆について調査
メフメト・アズィムリ教授が「科学普及協会」設立者であるために、教団に活動を妨害され、教授職退任に追い込まれたと報じられた。しかしながらアズィムリ教授は一日たりとも職を失ったことなどなく、別の大学で教授として就任したことがわかった。
アズィムリ教授は「預言者ムハンマドを冒瀆したとして」調査がなされ、教授職就任が3年間延期されたことが分かった。科学普及協会ディヤルバクル支部ムスタファ・サルビュユク支部長は報道内容を否定し、「アズィムリ教授は当機関の設立者ではありません。また、設立者か否かという理由で大学を去ったというのは正しくありません。われわれはこの件に関してイェニ・シャファク紙に反論書面を送りました。」と語った。
■その12
嘘:TIR(国際道路輸送)関連ニュースを報道した記者は教団の信徒
事実:そのニュースはどのサイトにもあった
ハタイで検察判断により差し止められたTIR関連ニュースを報道したラディカル紙記者ファーティフ・ヤームル氏が、教団のメンバーであるとイェニ・アキト紙が報道した。そしてこのニュースをToday’s Zamanやラディカル紙のみが報道したかのように伝えているが、このニュースは同じ日に多くのインターネットサイトでみられたものだった。
■その13
嘘:サルギュル氏は「アービー(字義通りでは兄。教団の指導的立場の人)」の家にいる!
事実:その団体と教団は、一切つながりはなかった
イェニ・アキト紙はヒズメット運動がCHPと協同していたと報じた。CHPのイスタンブル広域市市長候補のムスタファ・サルギュル氏が、「ヒズメットの家」を訪れたという写真を報道。しかし「教団の家」とした住所は「シシュリ青年センター協会」の住所だったことが明らかになっている。同協会の発表では、フェトゥフッラー・ギュレン師やヒズメット運動とは一切関係ないとのことだ。
■その14
嘘:教団がカセットをだしている
事実:カセットはAKPの「仕掛け人」らが広めている
12月17日の捜査以降、ヒズメット運動に対しさまざまな発言しているイェニ・アキト紙は、「教団は、ドイツ生まれの『逸脱した偏向的』な財団とともにワークショップを行った」と言う。しかし彼が言及した財団は教団とは何の関係もなかった。しかしこれに満足しないこの新聞は、ソーシャルメディアでAKP党員とされる「仕掛け人」らが拡散させたといわれる下品なモンタージュ写真に関しても、「教団ウェブサイトに掲載されている」と述べた。
■その15
嘘:オズ氏は1年で22ヵ国を訪問!
事実:システムにより渡航記録明らかに
首相を後ろ盾にゼケリヤ・オズ氏が22ヵ国を訪問したという報道があった。しかしトルコ航空の航空記録(搭乗記録)で、このシステムがトルコ航空を利用したすべての「ゼケリヤ・オズ」をピックアップしたことが明らかとなった。さらに新聞各紙はオズ氏が、裁判所での祝日式典の日に、アーオール氏のお金でドバイ旅行に出かけていたと報じている。記録が嘘であり、日付や情報が把握されていないことが明らかとなった。
■その16
嘘:KOZAグループの鉱山事業は無許可
事実:許可はある。閉鎖は裁判所により差し戻された
KOZAグループ傘下のチュクラン金鉱山は、環境許可やライセンス文書がないためにと閉鎖されたと報じられた。Kozaグループは会見でこの報道を否定し、文書は完璧に揃っていると明らかにした。県の特別局によってなされたから閉鎖決定の執行は、イズミル第4行政裁判所により全員一致で差し戻された。
■その17
嘘:アキン・イペキ氏がギュレン師のため邸宅を建造させた!
事実:問題の住宅は40年間イペキ家の所有物
サバフ紙、タクヴィム紙は、大見出しの記事でアキン・イペキ氏がフェトゥフッラー・ギュレン師のため、アンカラに個人的な大邸宅をつくらせたと報じた。しかしアキン・イペキ氏は会見でこれを否定し、件の土地は40年間イペキ家の暮らす敷地だと明らかした。
■その18
嘘:警察内部にいる「教団のイマーム」
事実:嘘である、賠償判決がでている
タクヴィム紙、サバフ紙が、警察内部にいる「教団のイマーム」とする人物は、以前、ハネフィ・アヴジュ氏の本でも取り上げられていた。その人物が訴訟を起こし、結果的にこの情報を流したものに賠償判決が下っている。嘘であると司法判断が下った情報が、記録から消去されているのに、再び出てきている。
■その19
嘘:捜査の狙いはイマーム・ハティプ高校
事実:イマーム・ハティプ高校への補助金は開発庁から
ハルク銀行のスレイマン・アスラン会長の自宅で見つかった靴用ボックス入りの450万ドルは、「バルカン大学」への支援金だったと報じられている。これは大学側が否定している。しかし今度はチョルムのオスマンジュルク・イマーム・ハティプ高校が建設されることになっていたとされた、しかし校舎には開発庁から予算が割かれており、県特別行政局により第2013-189059号として入札がなされたことが分かった。
■その20
嘘:捜査が経済を崩壊させた!
事実:エルドアン首相自ら否定
捜査のターゲットは経済界であり、捜査により経済が崩壊した、と報じられたが、そうした意見は悪意のあるプロパガンダによって作り上げられたものだと中央銀行総裁が述べている。エルドアン首相も、ブリュッセル訪問前に行った会見で、金利や為替の上昇と12月17日の捜査に関連は認められないと明らかにしている。イェニ・シャファク紙やスター新聞紙も12月16日には金利・為替価格は上昇しているとすでに報じていた。
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( 翻訳者:原田星来 )
( 記事ID:32703 )