モタッハリー議員「新聞への発行停止処分は戦時に相応しい」
2014年02月22日付 Mardomsalari 紙
最後となった2月20日付のアーセマーン紙の1面
アリー・モタッハリー議員は日刊紙「アーセマーン」が発行停止処分になったこと〔※〕について、「即時に発行停止にし、発行責任者を逮捕するという、プレスに対するこのような振る舞いは、戦時には相応しいが、平時には相応しくない」と述べた。
※訳注:発行されたばかりの改革派系紙「アーセマーン」が、2月20日の紙面を最後に発行停止処分を科せられたことを指す。発行停止処分を受けた理由は、2月18日付(第4号)の紙面に、イスラーム法を根拠とするキサース刑(同害報復刑)を批判する内容のインタビュー記事が掲載されたためで、この記事をめぐって保守派からは強い批判の声が上がっていた。なお、同紙の編集長は改革派系ジャーナリストとして有名なグーチャーニー氏。なお、ロウハーニー政権発足以降、発行停止処分を受けた主な新聞としては、2013年10月26日を最後に発行停止処分を受けた改革派系紙「バハール」がある。
イラン学生通信の報道によると、アリー・モタッハリー氏は「キサースのようなイスラームの明確な法規定に疑問を呈することは法律違反であり、ジャーナリズムの分野で経験豊かな諸氏によって運営されているアーセマーン紙が、こうした過ちを犯すべきではなかったのは、明らかである」とし、さらに次のように続けた。
もちろん、こうした議論が専門誌上で学術的に議論され、〔賛否〕二つの立場から、法規定の哲学としてディベートされることを阻むものは、何もない。しかしそれを新聞紙上で、それも一方的な立場から提起するのは、正しいこととは言えない。
テヘラン選出の国会議員である同氏はその上で、
しかし、この新聞を発行停止にすることに関しては、検察は事を急くべきではなかったと、私は考えている。たとえ法律上は、検察にこうしたことをする権利が認められているとしても、しかし理性が命ずるところによれば、プレスに関することはまず、プレス監視委員会で議論・検討がなされ、その後必要であれば、検察が動くべきだろう。実際、プレス問題を最初に検討すべき関係当局は一つであるべきであり、二つは必要ない〔※〕。即時に発行停止にし、発行責任者を逮捕するという、プレスに対する検察のこのような振る舞いは、戦時には相応しいが、平時には相応しくない。
※訳注:イランではメディアを監視する国家機関としては、政府主導の「プレス監視委員会」と司法権の二つがある。ここでモタッハリー議員は、プレスへの監視に関する、こうした「二重行政」を問題視している。なお、改革派のハータミー政権時代には、司法権が中心となって、次々と改革派系紙の発行停止やジャーナリストの逮捕が行われたが、アフマディーネジャード政権ではプレス監視委員会がこうした言論統制に中心的な役割を演じてきた経緯がある。また、プレス監視委員会の事務局は文化イスラーム指導省内にあり、そのメンバーは・司法権の関係者1名、・文化イスラーム指導相、・国会議員1名、・科学技術省が選ぶ大学教授1名、・プレス関係者1名、・宗教指導者1名、・文化革命最高評議会の評議員1名、の計7名となっている。
同議員はさらに、
恐らく、法を改正する必要があるだろう。われわれはメディアに関する包括的な制度についての法案でアクションを起こすつもりだ。いずれにせよ、検察はプレス監視委員会が開かれる月曜日まで待ち、その後で決定を下すべきだった。文化イスラーム指導相のジャンナティー氏〔※〕はプレス問題に関するこうした二重行政を、司法当局との話し合いで解消するべきだ。
と付け加えた。
※訳注:ジャンナティー氏は保守強硬派の宗教指導者としてつとに有名なアフマド・ジャンナティー護憲評議会書記の息子だが、本人の政治的志向は(父とは対立関係にある)ラフサンジャーニー師に近いと言われている。
本記事は
Asahi 中東マガジンでも紹介されています。
( 翻訳者:白糸台国際問題研究所 )
( 記事ID:33109 )