シリア難民排斥事件の緊張高まる―アンカラ
2014年05月10日付 Radikal 紙


アンカラのアルトゥンダーでシリア人の住む家へ対する投石と放火から始まった緊張は今も続いている。アンカラの貧困地域であるアルトゥンダーでシリア人達が安価な労働力として使われている事が緊張をさらに高めている。

アンカラでシリア人達の住む3階建ての建物が放火された事と地域住人とシリア人難民達の間の緊張が続いている。シリア人が女性達に暴行した、麻薬を摂取して騒いだ、窃盗や恐喝を繰り返したと主張する地域住人達は、地域でシリア人の存在を快く思っていない事を明らかにしている。警察は地域で防犯体制を強化し24時間交代で警備に当たる一方、シリア人難民達が居住する地区でも防犯体制を強化した。この緊張全体の背景には生活に直結した問題がある。貧困地区であるアルトゥンダーではシリア人達が安価な労働力として使われているという事が問題となっている。

■通りの住人はデモを行い、シリア人を追いかけ回した

証言によるとアルトゥンダーのハジュラル街区で3階建ての建物に住むシリア人は、同じ通りに住む15歳の子供に暴行を働いたという。「シリア人達がトルコ国旗を焼いている」という証言を元に集まった地域住人達とシリア人達の間で喧嘩が起きた。シリア人達が住む建物が放火された。警察の介入後建物に住む63人のシリア人が解放され、そのうち20人が逮捕された。外国人局での手続きの後、シリア人難民は命の安全が保障されないと言う理由でマルディンへ送られた。 しかしながら緊張はなお続いている。
市民は、地域にシリア人がいる事を快く思わないことを明らかにし、デモを行った地域に住む幾人かの若者がナイフを手に持ってシリア人難民を追いかけた事は注目を引いた。手にもったナイフでシリア人を襲おうとしたフェリドゥン・Fを警察は威嚇射撃を行いながら止めた。フェリドゥン・Fは逮捕された。
地域ではなお緊張が続いているため警察は地域で広域防犯体制を敷いた。街区の出入り口で警察の部隊が防犯体制を敷いた。街区の住民はシリア人難民がいなくなるまでデモは続けると表明している。街区からシリア人を追い出すために署名活動が始められた。街区の住人達は、集めた署名を知事府や首相府に送る事と言っている。
この街区に住むトゥルグット=・アルトゥントプさんは、シリア人が窃盗を起こしたと訴えながら「奴らは我々の地域に住む女性住人たちを不快にさせている。騒音を起こしているんだ。麻薬を吸って騒いだりもする。私たちを悩ませている。窃盗事件に関係している」と言った。一連の事件で腕を折ったメフメト・アリ・エルドアンさんも「あいつらがいなくなるまで我々のデモや行進を続けるつもりだ。あいつらは俺達の街区で泥棒を働いている。物乞いをして、盗みをやる」と言った。オルハン・コチャクさんは「この一連の事件は常軌を逸している。もしもシリア人が送還されなければ殺人すら起こりうる。関係者は一刻も早く行動に移さねばならない」と自身の考えを述べた。エミネ・アクギュルさんもシリア人から暴力を受けた事を明かしながら「何度も暴言を吐いてくるし、暴力を振るってくる。街区に住む私たちは安心出来ないし通りに出る事が出来ない」と言った。
街区に無料のパンを配給するアンカラ広域市「国民のパン」工場は、高まっている緊張のためにパンの配給を止めた。広域市は街区に住む所得の低いトルコ人家庭や、シリア人やソマリア人難民達に毎日無料のパンを配給している事が述べられた。いくつかの市民社会団体がシリア人達に食料品をはじめとする様々な援助を行う事もまた別の緊張の原因となった。街区の住人達は「私たちの税金で彼らを助けている。ここにはシリア人達よりも貧乏なトルコ人がいる」といった反応を見せている。緊張が起こっている街区やその周辺で訳2000人のシリア人が生活している事が明らかになった。シリア人難民は、緊張状態の後家を閉め切った。シリア人達は「私たちは戦争から逃げてきた。ここで新たな戦争が起きる事は望んでいない。私たちはただ単に日々の生活のための戦争をしているのだ」と言ってそれ以上の説明は望まなかった。

■3ヶ月で40回の事件

アンカラの通りで生活するもしくは家で難民として住んでいるシリア人たちが3ヶ月で多数の窃盗や恐喝といった40の事件に関係している事が判明した。いかなる記録にも存在しなく、大方身分証もないシリア人達は、(警察で)供述を行った後釈放されていると述べられた。街区で生じている緊張の根底にはシリア人達が関係する事件と彼らが安価な労働者として働くこととによって引き起こされた問題があると明らかにされた。工場や小さな工場では少ない賃金で働くためににシリア人達が選ばれる事が市民の反発を招く原因となっている。
県知事府、災害緊急時対策庁(AFAD)、警察は路上で生活するシリア人を登録するために行動を開始した。市の中心の難民達の大多数は女性と12歳以下の子供達である。公園で生活するシリア人達は、援助や物乞いによって日々の糧を得ている。アンカラの路上で生活する3000人のシリア人が登録され把握されたら、彼らは難民キャンプに移される予定だ。望まない者達には知事府とAFADの支援が行われる。

■パン切り包丁を持ってシリア人狩り

アルトゥンダーのハジュラル街区で3階建ての建物に住むシリア人達と地域住民の間で起きた喧嘩のために緊張が続いている。地域の若者の1人であるフェリドゥン=・Fは事件の2日目に家から持ち出したパン切り包丁を持ってにシリア人難民を追いかけまわした。あるシリア人を包丁を持って追いかける際に警察が威嚇射撃をしたためフェリドゥン=・Fは逃げ出した。しばらくの間手から包丁を離さなかった若者は逮捕された。

■「出て行け」と署名を集めた

シリア人難民との間に発生した喧嘩で腕を折ったメフメト・アリ・エルドアンさんの母親であるエミネ・エルドアンさんは難民を街区から出て行かせるために署名活動を 始めた。エルドアンさんは「これは何回目の喧嘩だ。いつも問題を起こしている。彼らが出て行く事を望む」言う一方、街区の女性達も署名活動を支持した。

■待ち望んだパンはこなかった

アンカラ広域市「国民のパン」工場が低所得者の住む街区へ配給している無料のパンも事件が起きた日からハジュラル街区で配給されていない。パンのトラック を待つトルコ市民とソマリア人とシリア人難民はトラックがこなかったために解散した。パンは街区で起きている緊張が原因で配られなかったと主張された。



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:岩田和馬 )
( 記事ID:33829 )