ソマ事故調査委員会暫定報告書―安全面の問題多数
2014年05月16日付 Milliyet 紙

労働保障の専門家がソマの炭鉱にて調査を行い、暫定報告書の詳細を当局の視察官に提出した。そこに書かれた問題点とは:炭鉱の天井の補強材は金属ではなかった。天井に火災を拡大させる木材が過多に使われていた。一酸化炭素計測器も十分ではなかった。

ソマで292人の炭鉱労働者の命を奪った惨事はなぜ起こったのか。それに関する最初の検証が行われた。昨日17日、労働社会保障省からは3人の視察官が派遣され、ソマの炭鉱で調査を行った。視察官のひとりからの要請により、A級労働保障士と炭鉱技術士が292人の亡くなった坑道へ入った。
専門家が調査を行った後、作成された報告書が視察官に提出された。ミッリイェット紙は報告書の詳細を入手することができた。それによるとソマ炭鉱の一酸化炭素計測器は、適切な間隔で配置されておらず、それが今回の惨事につながったということが分かった。もし計測器が十分な数設置されていたなら、静かに音もなく燃える石炭の煙を早く察知して、燃えている区画を鉄製フェンスとコンクリート壁で封鎖できただろうし、木造の支柱が引火・崩壊することもなく、292人の労働者の命も失われることはなかっただろう。
報告書では次のようなことが報告されている。「メイン運搬用坑道では1.4キロメートルにわたって連結部分の間の支柱(補強材)が十分ではなく、連結部分の補強のため必要なワイヤーメッシュとアンカー固定棒(崩落に備えて岩に突き刺す)が使われておらず、天井には大量の木材、補強建材にも木が使われていた。坑道内部の天井(石炭からなっている)が次第に燃えていったため、火災は坑道の天井より1~2メートル上に達した。これらは全坑道において発生し、天井が突然崩落し坑道をふさぐという結果になった。火災が継続していたため坑道の空気穴が遮断され、発生した一酸化炭素ガスと煙によって労働者たちは一酸化炭素中毒となった」

「変圧器はコンクリートのケース内」

一方で、この報告書を当局に提出した労働保障士は調査に関して次のように述べた。「調査で得られた結果によれば、今回の悲劇は変圧器の爆発によるものとは考えられません。炭鉱の変圧器はコンクリートのケースの中にあり、したがって今回の件でこのような可能性は少ないと思われます」

「ガスセンサーの必要性」

「炭鉱で天井は重要な要素ではありません。しかし必要な措置がとられていない場合、このような惨事の原因になりえます。私の検証結果によりますと、この炭鉱では天井部分が空気と接触していたことがこのような結果を生むことになったと言えるでしょう。炭鉱内部の酸素が酸化してじわじわと燃えることで崩落の原因になったというわけです。炭鉱会社は天井にもっと多くのガスセンサーを設置する必要がありました」
一方でソマ炭鉱事業社のラマザン・ドール取締役社長は、昨日17日に行われた記者会見で次のように述べた。

「いつも火災に細心の注意」

「私のところに来た最初の知らせでは、変圧器が爆発した、何も見えないというものでした。変圧器は火災が発生したところからはとても遠いところにあり、火災発生地点も2.2キロあたりにあります。したがって変圧器とは関係ありません。石炭採掘をするさいに常に火災に細心の注意を払うよう取り組んでいますが、一酸化炭素レベルが50を超えると火災発生とみなし、そこを閉鎖します」

報告書が意味するものは

トルコ鉱山技術会議所連合イズミル支部ムハンメド・ユルドゥズ会長:「機械掘削、つまり水力機械掘削機に移行する前はどこでも木材を使っていました。ここで重要なのはもちろん可燃物である木材を使っていたということもそうですが、メインの坑道ではスチール連結と呼ばれる連結を使っていたのです。これらの上には楔が打ちこまれています。この炭鉱で50近くの一酸化炭素計測器が設置されていたことは知っています。計測器にはセンサーがついていて、周辺で何かが起こればセンサーが作動し、システムを停止させます。特に煙突部分に至るまでより多く設置すべきだし、もしくは火災のリスクがある場所に設置すべきです。要はより正確に計測が行われるべきということです。火災の危険が一切ない岩盤の内部では、どこに設置しても、何ら変わりはありません」

労働保障士のハサン・ヤヌック氏:「調査を受けて、炭鉱で起こりうる最も恐ろしい出来事の一つである『崩落』が発生したと私たちは見ています。一酸化炭素計測器は石炭が採掘される壁板の入口および中に200~300メートル間隔で設置されていなければなりません。早期警告システムによってこの計測器は監視されます。今しなければならないことは、この早期警告システムの記録を調べることです」

センサーは一つ90リラ

一酸化炭素ガス警告探知器の価格は約90リラ(約4400円)で、ポータブル型の一酸化炭素計測器の値段は約120リラ(約5880円)である。



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:今城尚彦 )
( 記事ID:33893 )