悲劇が発生したソマ炭鉱のオーナー、アルプ・ギュルカン社長が、犯罪を目的として設立された組織の一員だったこと、虚偽倒産、意図的な詐欺などの罪で訴えられた。この訴訟の17名の被告の一人として彼の名前が挙がっている。初の公判は6月17日に予定されており、被告らに対する21年以下の懲役求刑をめぐって訴訟がおこなわれる。
イスタンブル第12重罪裁判所で開廷予定の訴訟ファイル内文書によれば、今回の訴訟に至った経緯の大元は、実業家ドアン・カサボール氏によるトルコ銀行預金保険ファンド(TMSF)への警告と、財務省所管の税監査庁が検察におこなった告発に端を発する。TMSF側も、先週巻き込まれた訴訟の原因を、コルクマズ・イート氏が同ファンドへの借金を理由にした詐欺行為、所有する不動産を別人の保有に見せかけていたこと、イート氏に対する倒産命令が虚偽だったことを挙げている。
起訴状によれば、イート氏はボドゥルムの別荘とイスタンブルにある1000平米の土地数百件の保有者であったにもかかわらず、登記簿にはそれらの土地が別人の所有物だと見せかけていた。問題となっている不動産も別人が保有しているように偽装されていたようだ。
■超短期間での土地売買
被疑者の多くは、イート氏の詐欺を仲介していたとされる人々だ。ソマ・ホールディング代表取締役社長アルプ・ギュルカン氏も同様の容疑がかけられている。 ギュルカン社長に対する疑いは、イート氏の側近とされるメフメト・エルドアン容疑者から、バラバラの日付で土地を購入していたことである。起訴状によれば、2005年11月1日にF・Aという人物が13,431平米の土地をエルドアン氏に売却。その2ヵ月後にエルドアン氏がこの土地をギュルカン氏に売っている。同様に、F・Yという人物が2005年1月27日にエルドアン氏に売却した32,186平米の土地を、エルドアン氏はわずか1日後にギュルカン氏に売却している。
■「代金は支払ったが領収書もらっていない」
昨年8月15日にアルプ・ギュルカン氏が検察に行った証言をまとめると、同氏は「私に関しては、罪状を否認します。問題の土地は、将来的に価値が出ることを見越し、弁護士の助言を受けてメフメト・エルドアン氏より購入しました。土地代金は弁護士に渡しています。代金が支払われたかどうかに関する領収書や書類は、私には渡されていません。その土地は公共事業計画がもちあがった際に小分けに売りました」と語った。
■「実際の売買なし」
検察側が証人として聴取した人物のうち、ヌマン・マンドゥルマ氏は、イート氏のために8年以上ものあいだ不動産販売の仲介をおこなっていたと明らかにし、3件の虚偽売買があったと述べた。
バンドゥルマ氏による証言の要約はつぎのとおり。
「フィルデヴス・エレントゥー氏、アルプ・ギュルカン氏、ケマル・ギュルカン氏は実際には不動産を購入していなかった。支払いは一切おこなわれていない。 彼らは登記で譲渡などはおこなっておらず、売買され譲渡されていた全不動産の実際のオーナーはコルクマズ・イート氏だった。」
■「父への借金返済なかった」
裁判には2名の被害者も出席する。2008年6月に自殺したバンケル・カステッリの名で知られる銀行家アビディン・ジェヴヘル・オズデン氏の息子スレイマン・ジェミル・バハドゥル氏と、TMSFが動き出すきっかけとなったドアン・カサドル氏だ。
バハドゥル氏は、同氏の父が市場での借金を理由に自殺したことを2012年2月12日に財務警察で証言している。バハドゥル氏は、イート氏は父に750万リラの借金があったが、この借金を返済していなかったと明らかにした。バハドゥル氏によれば、イート氏の詐欺に関し、TMSF社を含む多数の関係機関に申請したと語った。
■訴訟の被告は17名
第12重罪裁判所でおこなわれる訴訟の被告は17名で、コルクマズ・イート氏、イート氏の息子カフラマン・イート氏、メルト・イート氏、叔父のギュルブ ズ・イート氏、実業家セマ・ジュングルオール女史、ケマル・ギュルマン氏、彼の息子レミ・ギュルマン氏、ソマ・ホールディング役員会のアルプ・ギュルカン社長、メタル・ヤプ社オーナー、オメル・サチャクルオール社長、ガランティ・コザ建設株式会社ケマル・キョミュル社長などの名が挙がっている。被告らには7年以上21年以下の懲役の求刑をめぐって法廷で争われる予定だ。
■評議員会から除名
なお、昨夜22時頃イスタンブル工科大学(İTÜ )タイフン・キンダプ事務局長と同大鉱業学部のファトマ・アルスラン教授(学部長)は学生たちと話し合い、ソマ・ホールディングのオーナーのアルプ・ギョルカン社長とイスメト・カサポール氏をİTÜ鉱業学部学術評議員会の名簿から除名する旨の学部決定が明らかにされた。
本日14時にİTÜ鉱業学部の正面で学生らの会見がおこなわれる予定となっている。
本記事は
Asahi 中東マガジンでも紹介されています。
この記事の原文はこちら
( 翻訳者:原田星来 )
( 記事ID:33912 )