Mehmet Y. Yilmaz コラム:首相がやるべきことをやっていれば、事故は起こらなかった
2014年05月17日付 Hurriyet 紙

レジェプ・タイイプ・エルドアン首相は、「炭鉱事故はその仕事の特色であり、ふつうのことである」と述べ、他国の例を挙げた。
イギリスの例に言及するには1860年代まで遡らなければならない。直近の事例は、1940年代の日本におけるものだ。
2014年5月に、12年間政権を握っている政治家が話すべき事例では決してない!
政府の宣伝組織に目をやれば、「世界のリーダー」「偉大なマスター」などと言っているが、自分の統治している国を1860年代のイギリスと比較させているのだ!
首相がこの12年で、本当にこの問題に関心を払っていれば、ソマでの大惨事は起こらなかっただろう。
公正発展党(AKP)が政権に就いている間に、以下の炭鉱事故が起こった。
2003年11月23日:カラマン県エルメネク郡で炭鉱ガス爆発(死者10名)
2004年9月8日:カスタモヌ県キュレ郡で炭鉱火事(死者19名)
2006年6月2日:バルケシル県ドゥルスンベイ郡で炭鉱ガス爆発(死者17名)
2009年12月10日:ブルサ県ムスタファケマルパシャ郡で炭鉱ガス爆発(死者19名)
2010年5月17日:ゾングルダク市で炭鉱ガス爆発(死者30名)
2013年1月8日:(ゾングルダク県)コズル郡で炭鉱ガス爆発(死者8名)
そのときも我々は、死は炭鉱労働者の運命であるという趣旨の首相の発言を聞いた。
「対策を講じる」とも言った。
まったく対策が取られなかったことを、私たちはソマで再び目にした。
これが「当たり前の結果」であると考えているから、関心を払わなかったのだ。
必要な対策を取るための国際的な取り決めに署名してこれに関する法律や規則を制定すれば、鉱山所有者の利益が減少するから、関心を払わなかったのだ。
労働者の生命よりも、鉱山所有者の利益を考えたのだ!
コズルでの事故のあと、鉱山技師部局は世界のさまざまな鉱山における安全対策を調査して報告書をまとめ、省に提出した。
この報告書が読まれなかったこと、読まれていたとしても、「気にするな」と放置されたことは、明白だ。
その報告書に何が書かれていたかを、トルコ技師・建築家協会連合(TMMOB)理事会のメンバーが説明している。
「炭鉱を絶えず掘り下げたため、コンテナ以上に穴を掘ってコンクリート製の密閉された部屋を作ることができる。機能している設備を置き、化学的な障壁を行って、新鮮な空気を取り入れるシステムを置くことでこのような場所を作ることができる。しかしこのためには法的な義務が必要だ。これに関して我々も取り組んだが、コズルの事故の後、一切対策は取られなかった。あらゆる炭鉱になければならない避難部屋はどこにもなかった。このタイプの構造は、人命とは比べ物にならないくらい安いものだ。一刻も早い規則の変更が必要だ。」
規則を変えるのは誰の仕事だったのか?
労働社会保障省労働調査委員会も「地下および地上の鉱山施設における労働衛生と安全」というガイドラインを出したという。
このガイドラインで、鉱山施設に安全のために提案された事柄の中には、トルコでは義務化されていない「避難部屋」も記されている。
「避難部屋では、横坑では時速5km、斜坑においては時速3kmを脱出速度として計算にいれなくてはならず、これに則した個別のレスキューの変更もしくは待機部屋を設置しなければならない」とされている。
省が自身の管轄下の調査委員会の提案を真摯に受け取り、関連する法律と規則の変更を行っていれば、ソマの労働者は皆助かっただろう。
そして今彼らが望んでいるのは、誰も政府に何も言わないこと、批判しないこと、声をあげず1人で嘆いていることだ!
労働・エネルギー各省は、事故を防ぐためにするべきことを行わなかった。専門家の言うことを聞かなかった。国際的な取り決めに署名するための行動を行わなかった。
では、政府の行動とやり方に責任を負うのは誰か?
首相の職務は、正しい人間を大臣に任命し彼らが職務を円滑に行うようフォローすることではなかっただろうか?
文明的な国の政治家は、まさにこれが理由で辞任しているのだ。
この国の場合は、辞任など思いつきもしないかのように警察によって地面に引きずられた抗議者を足蹴にして、悲しむ市民を攻撃している。
国と政府が、
到達できる文明の秩序を、
このことから計るといい!



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:永山明子 )
( 記事ID:33916 )