ドイツ訪問のエルドアン首相、問題発言再び「統合にイエス、民族喪失にノー」
2014年05月24日付 Milliyet 紙
エルドアン首相は、2008年のケルン訪問で述べ、ドイツで大きな問題となった「統合にイエス、同化にノー」という言葉を、(今回の)ケルン訪問でも 繰り返した。エルドアン首相は、この発言によって一部のドイツ人政治家から、ドイツ人の地でトルコ民族主義的な言動をしたと非難された。
レジェプ・タイイプ・エルドアン首相は、ドイツで問題を巻き起こしたケルン訪問を終えた。エルドアン首相は、2008年のケルン訪問で述べ、ドイツで大きな問題となった「統合にイエス、同化にノー」という言葉を、(今回の)ケルン訪問でも繰り返した。ネジプ・ファズル・クサキュレキの詩「異郷」で演説を始めたエルドアン首相は、ランクセス・アレーナのおよそ2万人の興奮した聴衆に向かって、「我々は調和を守った。調和のとれた社会となるための歩みを守った。自身の本来の文化、本来の言語を譲歩せず、統合を後押しすることを守った。我々は統合を続けていくが、しかし一部のメディア組織はこれを異なる方向へ向かわせている。統合においてあなた方はどんな時も決して反対しなかったと私は信じている。しかし同化には、ノーと言 おう。もう一度同じことを言おう。何故なら我々は、我々の宗教、我々の言語、我々の文化を譲歩することはできないからだ」と述べた。
■メルケル首相に対しやじらせず
エルドアン首相が演説中メルケル首相へ感謝の意を述べた箇所で、アレーナにいる聴衆達がやじを飛ばし始めた。エルドアン首相は、在独トルコ人達にやじをやめるよう手で示しながら演説を続けた。「先週の火曜日、我々はマニサ県ソマ郡で悲しい事故があった。301の命を見送った。我々が感じた悲しみをあなた達もここで感じただろう。あなた達へ、ソマの事故の後あなた達が与えてくれた物質的な支援と、あなた達が捧げてくれた祈りのお礼を申し上げる。ソマから10人の代表団が私のもとを訪れ、彼らと座って悲しみを分かち合った。彼らと会見した後、親愛なるメルケル首相ともお会いした。ドイツ連邦共和国に、メルケル首相をはじめ、全ての人々に対して感謝したい。我々は、ソマの炭鉱に関し、将来に向けて何ができるのかを話し合った。神よ、301人の犠牲者の魂を尊いものとしてお取扱いください。我々は、この悲惨的な事故にある怠慢を必ずや明らかにし、どの段階であろうと責任を問おう。今現在、行政面、司法面双方での捜査が続いている。遺族の方々には、政府として支援を行い、苦しみを軽減するために必要なことは何でもするつもりである。」
■ドイツメディアを批判
エルドアン首相は演説の中で、「ここでは、一部のメディアと組織が、残念なことに、ソマの事故から利益を得ようと、トルコの首相を 様々な方法で侮辱している。ある無礼な雑誌が書いた見出しは意味深なものだった。私個人を地獄へ送っていたのだ。どうして地獄への道を知っているだろう?それが理解できないのだろうか」と述べてドイツメディアを批判した。
■テロに貢献している者達がいる
レジェプ・タイイプ・エルドアン首相は、「トルコには報道の自由がない」と述べることで、テロに貢献する者達がいるのだと述べ、「何年間も、我々のテロとの戦いに沈黙している者達、あまつさえテロ組織を擁護する者達は、今『トルコには報道の自由がない』という言葉でテロに貢献しているのだ。いったいヨーロッパのどの国で、警察や軍に対し銃弾を発射する者達へ寛容さが示されただろう?私の手元には、全ての画像つきの資料があり、映像による確証がある。その時が来 たならば、それらを明らかにし、お見せする」と話した。
■トルコは過去のトルコではない
エルドアン首相は、トルコを蔑むことに慣れてしまった者達がいると述べ、次のように続けた。「トルコへ指を振って(命令し)、トルコをほしいままに脅迫し、教育する権利が自分にあると思っている者達がいる。利益を損なわされたと言って、トルコが成長し、強くなり、進歩するのを様々な形で妨げ、遅め、止めようとする者達がいる。国内の人々へ言うのと同じことを、国外にいるこのうぬぼれた過去の遺物のような人々にも言おう。トルコは、もはや過去のトルコではない。トルコは、あなた方の知っているトルコではもはやない。橋の下を多くの水が流れた。」
■ケルン警察は厳重な警備を行った
ランクセス・アレーナでエルドアン首相の演説を聞いた何千人もの在独トルコ人達は、携帯電話の灯りをつけ、まるで光の乱舞のような光景を作り出した。ケルンの警察はアレーナ及びその周辺で広域に及ぶ安全対策をとった。中へ入った者は何度もボディチェックを受け、ホールへ至った。エルドアン首相の集会に参するために来場した何百人もの人は、ホールが満員になってしまったため外にいることになった。ヨーロッパ・トルコ民主主義連合(UETD)の創設10周年記念を祝うために来た来場者達は、エルドアン首相の演説の後、問題なく解散した。集会の後、ケルンの交通が混雑によって時折滞っているのが見受けられた。
本記事は
Asahi 中東マガジンでも紹介されています。
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( 翻訳者:粕川葵 )
( 記事ID:33996 )