昨夜イスタンブルの各地で洪水の原因となった豪雨は、イスタンブルのインフラ整備の脆弱性を再び露呈した。都市計画者のアーキフ・ブラク・アトゥラル氏は、川が氾濫して家屋の地下や道路を湖へと変えてしまった洪水は、河床での無計画な建設の結果であると述べた。その一方、イスタンブルでは金曜日以降継続している豪雨はダムではなく海に流れ込んでいることが明らかになった。
イスタンブルで昨夜一時間におよそ一平方メートルあたり40キロの雨が降った。アタシェヒルとバージュラル、カドゥキョイでは家と職場が浸水した。クルバール川は氾濫し、ウスキュダルでは海と陸地が一体化した。海沿いを通る車や市民は困難な状況に陥った。ウスキュダル市の関係者は、これが南からの嵐の影響によりボスフォラス海峡で津波に似た小さな波が発生したことに起因するという情報を提供した。関係者らは、地下鉄の運行によって排水路が狭められたという趣旨の意見さえ認めなかった。アジア側において居住率の高い地域の一つであるカユシュダーウ地区では、下水道の数が少ないせいで多数の家と職場で下水が溢れた。アタシェヒル市理工担当局のデニズ・ムトゥル局長は、「当地区では建設とインフラ整備が不均衡だ。今ある下水道を新しくする必要がある。イスタンブル水道局(İSKİ)はこの件について一刻も早く然るべき対応を取る必要がある」と話した。
バージュラル・ケマルパシャ地区もイスタンブルで洪水が起きた地域の一つである。ここではメフメト・アーキフ大通りの端にある雨水排水管が大雨の影響で氾濫した。タヴクチュ川の横にある小穴もふさがれており道が湖状態になった。川近くの住人は、「役所は川を改修したが排水溝をつくることを忘れてしまった。小穴にも排水溝がない。雨が降るといつも湖に変わってしまう。それによって事故が起こることもある」と語った。アジア側はというと、長年改修工事が終えられなかったクルバール川が氾濫すると、カドゥキョイ、アタキョイ、そしてウムラニイェの多数の地点でも洪水が発生した。昨年始まった改修工事は、カドゥキョイ地区内のクルバール川で続けられている。
都市計画局イスタンブル支部のアーキフ・ブラク・アトゥラル事務長は、「河床が何年にも渡って工事のため拡張されてきたことが洪水の一番の原因だ。氾濫地域には土砂があるため工事の許可は与えられない。氾濫した時の土砂は浸透性のであるためあふれた水を吸収する。コンクリートにはこうした吸収する特性はない。したがって工事をしてはならない場所であるが、残念なことに当地域には建築物があり、不法なものも合法なものもある。これらはごくわずかな雨でも氾濫が起きる原因になりうる」と明らかにした。
■豪雨にもかかわらずダムの水は減少
イスタンブルで金曜日から降り続けている大雨は、ダムではなく海へと流れ出ていることが分かった。イスタンブル水道局のデータによると、先週の木曜日にダムの満水率は27.32パーセントだった。この割合は金曜日に27.08パーセントになり、土曜日の朝はというと26.89パーセントに落ちた。月曜日に突然豪雨や洪水が発生したが、昨日のダムの貯水率は26.62パーセントと計測された。専門家は、豪雨がダムに求められている水を残さず、激しい大雨を地面にもとどめることも出来ず、直接下水道を通って海へ注ぎ出たと述べた。
■屋根へのぼり救出された
イスタンブルで芝生場に取り残された7人を消防局員が救助した。前の晩カドゥキョイのクルバール川が氾濫した結果、昔の火曜市場の近くにある芝生場が浸水した。辺りにあった車両は水に浸かってしまった。その時芝生場でサッカーをしていた7人は、行政ビルの上にのぼって避難した。水に包囲された7人はおよそ一時間救助を待った。最終的に消防隊が来て排水溝を開き、その地域にたまっていた水を流した。7人は水が引いたところで救助された。
本記事は
Asahi 中東マガジンでも紹介されています。
この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る
( 翻訳者:足利阿紀 )
( 記事ID:34185 )