非常事態のモースルから、トルクメン系住民避難つづく
2014年06月10日付 Milliyet 紙


イラクの都市モースルがイラク・シリア・イスラム国(ISIS)に掌握されたことを受けて、ヌーリー・アル=マーリキー首相は非常事態宣言を発令した。同時に、市民は大急ぎでモースルを脱出している。家族は持てるだけの家財を抱えて国境を越えている。

トルクメン系住民も避難を始めた。イラクのサラーフッディーン県トゥズ・フルマトに住む何千人ものトルクメン人が、現地を脱出している。

ISISは、トルコ人トラック運転手に関する声明を発表した。

マーリキー首相は、「モースルがテロリストのコントロール下にあることを許しはしない」と述べた。AFP通信社の報道によれば、ヌーリー・アル= マーリキー首相は、志願者らに「イラク軍への参加」を呼びかけた。首相は、イスラム武装勢力と闘う志願者には武器と物資を供給すると述べた。

■「トルコ人運転手は解放されるだろう」

ロイター通信に話した上層部の関係者は、拘束されているトルコ人運転手に危害は加えられておらず、間もなく解放されるだろうと述べた。

関係者は、「トラック運転手は倉庫や配送所に燃料を運んでいた。現地に到着した際、すでにISISが多数いた」と述べた。

■ISISからトルコ人運転手に関する声明

イラク・シリア・イスラム国(ISIS)は人質にとったトルコ人トラック運転手の安全は確保されていると発表した。

北イラクで放送を行うルダウ・テレビ局と電話をつなぎ、自身をISISのスポークスマンだと話すアブー・ウマルという人物は、人質となっているトルコ人トラック運転手の安全は確保されていると述べた。

トルコ人運転手がイラクのマーリキー首相と繋がりがあるかどうかを調べていると話すISISのスポークスマンは、「我々の目的はイラク国民をマーリキーの圧政から救うことだ。現在我々が拘束しているトルコ人運転手らの健康状態は良好であり、安全は確保されている。運転手らにマーリキーとの繋がりがないとわかれば、解放する」と話した。

「北イラク・クルド人自治政府への襲撃計画はあるか」という質問に対し、ISISのスポークスマンは、「我々の目的はイラク国民をマーリキーの圧政から救うことだ。我々はクルド人自治政府への襲撃は行わない」と述べた。

■住民はモースルを脱出

他方で、モースルの住民らは車でモースルから避難している。北イラクにあるルダウTVは、何千人ものモースル住民が車で持てるだけの家財を持ってモースルから脱出しており、ドホーク市は非常に混雑していると伝えた。

更に、(北イラク・クルド人自治政府の首都)アルビルにのびる幹線道路には車の行列ができた。インタビューに応じたモースル市民は、命からがら逃げてきたと話し、衝突が激しく続いていると言った。

衝突における死傷者数に関して錯綜した情報が入ってくる一方、北イラク・クルド人自治政府のマスード・バルザーニー大統領直属のペシュメルゲ(クルド人民兵)はアルビル周辺で広範囲の警戒を行っているという。

■トルクメン系住民モースルから脱出

イラクのサラーフッディーン県トゥズ・フルマトに住む何千人ものトルクメン人は、現地を脱出している。トルクメン人が最も集中して住む、イラクのサラーフッディーン県トゥズ・フルマトでは、イラク・シリアのイスラム国(ISIS)の襲撃を警告された何千人ものトルクメン系住民が家を捨て、現地から脱出し た。

ドアン通信社のリポーターは、4万5千人ほどのトルクメン人が居住するトゥズ・フルマトでイラク・トルクメン戦線の関係者が襲撃の可能性を住民に警告し、トルクメン人の大部分がより安全なキルクークやスレイマニヤ、アルビルに移動していると伝えた。

ここ1年半の間にトゥズ・フルマトで行われた襲撃で、約800人のトルクメン人が死亡、2000人以上が負傷したとされている。

■トルコ人運転手28人が人質に

イラク第二の県であるモースル市中心部要所を制圧したイラク・シリア・イスラム国(ISIS)は、20人以上のトルコ人トラック運転手がいる、ゲヤラ地域にある火力発電所をも掌握した。

モースルの地元情報提供者から入手した情報によれば、メルスィン港からモースルのゲヤラ地域にある火力発電所に燃料を輸送するトラックが朝方荷物を下ろそうとした際、ISISがモースルにやってきたということだ。発電所を制圧した武装勢力は、トルコ人トラック運転手らに移動を認めなかった。

武装勢力は、運転手らに燃料の入れ替え作業の後、その場から離れることを許可するだろうとされるが、状況は不確かなままである。

トルコ外務省は、モースル総領事館経由で状況把握に努めている。

■運転手10人が手を縛られて連れて行かれた

イラクの都市モースルで、イラク軍とイラク・シリア・イスラム国(ISIS)間の衝突が続く一方、イスケンデルンからモースルのゲヤラ地区にある火力発電所に燃料油を輸送するトルコ人運転手28人のうち18人が発電所内に拘束されており、そのうち10人は手を縛られて2台の車で他の場所に連れて行かれたとされている。運転手らの友人で、人質の件を公表したヒュスニュ・アクバシュさんは、今は安全を理由に名前を公表したくないが、ある友人が午後2時30分頃に人質に取られたと電話をかけてきたと述べた。アクバシュさんは、人質となった10人が手を縛られ目隠しをされた状態で、2台の車で他の場所に連れて行かれたのを見たと友人が話していたとした。アクバシュさんは、残ったトルコ人トラック運転手18人は現在も火力発電所内で拘束されていると述べた。

■ISISはイラク全土の掌握を目指す

ISISの襲撃は続いている。ISISのコントロール下となったモースルの地域ではセマおよび二ノヴァ・アル=ガド・テレビ局は放送を中断した。

■モースルはどうやってISISに掌握されたのか?

イラク国会ウサマ・アル=ヌジャイフィ議長から衝撃的な声明が発表された。モースルが短時間でテロ組織ISISに掌握されたことに関する他の質問に対し、ヌジャイフィ議長は、「軍兵は何の理由もなく任地を放棄した。軍トップの司令官も現場に留まらなかった。軍の武器はその場に残され、装甲車両は誰もいない通りに乗り捨てられた状態だ。

■軍は記録的早さで撤退

全防衛線が短時間で、しかも記録的時間で軍によって放棄された。数分前にサラーフッディーン県下のシュルガト軍飛行場はテロリストの手に渡った。この問題に関しては当然捜査、調査が行われる。モースルおよびイラク全土を脅かすISISを、ある大国が支援している。この問題は後々触れることとするが、今はモースルおよびイラクを救う時だ」と答えた。

■バルザーニー大統領に応援要請

都市が大規模な襲撃にさらされたと強調するヌジャイフィ議長は、都市奪還のため北イラク・クルド人自治政府のマスード・バルザーニー大統領に応援を要請したと述べた。

■何百人も殺した

モースル市民のレイラ・ハスルさんは、モースルで大きな戦闘が勃発し、政府のコントロールは失われたと話した。2日の間にISISが多くの場所を掌握し、何百もの人々を殺したと話すハスルさんは、「私たちも命を落とさないよう逃げることにしました。昨晩からここにいます。モースルには死と恐怖があります。子供たちの安全のために、故郷を離れ逃げるしかありませんでした」と話した。

気温40℃を観測した道で歩いていたために体調を崩したと言う60歳のムハンメト・ユスフさんは、モースルでは治安部隊が統制力を失い、皆命を守るため逃げたと述べた。ユスフさんは、「(ISISは)モースルを、家を破壊しました。どこででも爆弾や銃の音がします。子どもたちを連れて、迷わず逃げました」と述べた。

■国境地域にペシュメルゲ派遣

イラク・シリア・イスラム国(ISIS)がモースルを掌握したとの情報を受けて、北イラク・クルド人自治政府(IKBY)はペシュメルゲ(クルド人民兵)部隊を境界地域に派遣し始めた。

モースルに住むクルド人の2日間にわたる粘り強い要望を受けて、派兵準備が整えられたペシュメルゲ部隊が車両でモースル・アルビルの境に移動したことが明らかになった。

■ISIS、トゥズ・フルマト制圧を宣言

イラク・シリア・イスラム国(ISIS)は、サラーフッディーン県内にあるトゥズ・フルマト地区を制圧し、更にサラーフッディーン県下のビジにある全ての武器庫を掌握したと宣言した。

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( 翻訳者:安井 悠 )
( 記事ID:34256 )