イラク・シリアの危機の中、アメリカ議会は、来週トルコへの非難決議を採択する用意があることが明らかとなった。下院外交委員会で、審議され承認される予定の4347号法案で、トルコと北キプロストルコ共和国にあるキリスト教徒の不動産が、アメリカ国務省により訴訟される見通しである。
アメリカ議会で共和党が多数を占める下院は、来週トルコ非難決議法案を採択する予定だ。下院議長のジョン・ベイナーが、アルメニア人虐殺問題を議題に取り上げることに反対したことに引き続き、在外アルメニア人、在外ギリシャ人により出された「トルコのキリスト教教会清算法」という名の4347号法案は、アメリカ国務長官に対しトルコと北キプロスで「盗まれ」、「押収された」キリスト教徒の財産や不動産を訴訟する義務を課している。
下院外交委員会の委員長を務め、同時にアメリカ・アルメニア友好協会の元共同会長で共和党カリフォルニア選出のエド・ロイス議員によって準備された法案は、定員435人の議会で現在エド・ロイスのほかに13人が支持するのみである。しかし議会関係者は、6月18日に投票が行われる法案は共和党24人、民主党21人の計45人からなる委員会を通過するとみられている。二院からなる議会の一院のみで承認されることで十分とみなされる法案が法制化されるためには、委員会の後中間選挙が行われる11月までに、下院総会で投票されることが必要である。
■アルメニア友好協会メンバー
ロイスによって2014年3月8日に提出されたこの法案の支持者には、外交委員会の民主党会派議長のエリオット・エンゲル・ニューヨーク州選出議員がいる。法案に署名した他の人々のうち有力者をあげてみると、議会でアルメニア人虐殺決議法案を準備した、民主党のアダム・シフ・カリフォルニア州選出議員、再びこれらの法案の最大の支持者のうちアルメニア人の多く暮らすカリフォルニア州選出の民主党ブラド・シェルマン氏、アメリカ・アルメニア友好協会の現共同会長の民主党フランク・パローン・ニュージャージー州選出国議員がいる。ロイス氏と共に14人の支持者として署名した人のうち、12人は同時にアメリカ・アルメニア友好協会のメンバーである。同会のメンバーでない2人は、民主党のニューヨーク州選出議員で、同時に外交委員会のメンバーであるグレース・メング氏と共和党のリチャード・ヌージェント・フロリダ州選出議員だ。
■拘束力はない
決議法案に拘束力はない。しかし、シリアとイラクで展開される事態を鑑みれば、トルコとの関係においてとても重大な時期に議題に取り上げられ、シンボリックな意味合いを持つこの法案は、アメリカ国務長官に「トルコ共和国とトルコ軍によって、キプロスで占領されている地域において盗まれ、押収されたが返還されていないキリスト教徒の財産と不動産が調べられ返還されるために、努力がなされ、また保護され回復される責任」を課している。さらに、法案の成立後180日以内に、2021年までに、アメリカ国務長官に、上院、下院の外交委員会にこの問題の報告書を提出する義務を課している。それとは別に、この不動産に関する状況が、長年準備されてきた国際人権・信教の自由委員会報告書にも記載されるよう求めている。
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( 翻訳者:橋本直樹 )
( 記事ID:34293 )