イマーム・ホメイニー逝去記念日に政府を攻撃する怪文書、出回る
2014年06月07日付 Mardomsalari 紙
怪文書「イマーム・ホメイニーの採点を受けるロウハーニー」
ホメイニー廟で開かれた第25回イマーム・ホメイニー逝去記念日のセレモニーの傍らで、政府とハサン・ロウハーニー大統領を批判する怪文書やパンフレットが出回った。
イラン労働通信の報道によると、この怪文書やパンフレットは、「われわれは心配している‥‥」、「われわれは何を与えたか?われわれは何を得たか?」「イマーム・ホメイニーの採点を受けるロウハーニー」「村長の非礼」などのタイトルだったという。
「われわれは心配している‥‥」と題された怪文書には、第11期政権〔=ロウハーニー政権〕が文化の領域でこれまでしてきたことの一覧が掲載されている。その中には、・「チェシメ出版」の再開〔※1〕、・芸術に関する大統領の発言〔※2〕、・衛星放送受信アンテナに関するロウハーニー発言〔※3〕、・
ソーシャル・ネットワーキングへのフィルタリング解除に向けて政府が努力していること、・女性の独唱に関する文化イスラーム指導相の発言〔※4〕、・「ライオンと太陽」のシンボルに関する大統領顧問の発言〔※5〕、・サーデグ・ヘダーヤトやマフムード・ドウラトアバディーの著書の出版〔※6〕、そして・サアダーバード宮殿での女性たちによる
セレモニー開催問題〔※7〕などが列挙されている。
※訳注1:チェシメ出版は文学関連の大手出版社。アフマディーネジャード政権下の2012年に出版社としての許可が取り消されていた。
※訳注2:2014年1月にロウハーニー大統領が芸術家らの前で、芸術における自由の重要性を強調し、芸術家を宗教的・倫理的価値に立脚した芸術家とそれ以外の芸術家とに分けることは無意味だ、と述べたことを指す。保守強硬派はこの発言を一斉に問題視した。
※訳注3:2013年9月下旬にロウハーニー大統領が訪問先のニューヨークで、イランにおける衛星放送受信の是非に関する質問に対し、イランでは自由に衛星放送が観られており、農村地方の家にも衛星アンテナが設置されている、と回答したことを指す。
※訳注4:2013年11月はじめに、アリー・ジャンナティー文化イスラーム指導相が、女性の独唱に問題はない、との見解を示したことを指す。女性が一人で歌を歌うことは、その歌声によって性的な刺激を男性に与えるとして、伝統的なイスラーム法学では禁じられており、現在のイランでは許されていない。
※訳注5:少数派問題担当の大統領顧問を務めるユーネスィー師が2014年5月上旬に、イランの伝統的なシンボル・マークであり、シャー時代のイランの国旗にも使われていた、「太陽を背景にして剣をもったライオン」の姿が描かれた図像について、この図像は現体制が否定する王制のシンボルではなく、むしろライオンすら従えた豪腕の持ち主として知られる初代イマーム・アリーに由来するものだと主張し、このシンボルに問題はないと述べたことを指す。
※訳注6:サーデグ・ヘダーヤトは20世紀前半に活躍したイランの小説家で、一部の著作が出版禁止となっている。ドウラトアバディーは20世紀後半の小説家・著述家で、小説『大佐の没落』のイランでの出版の是非が議論されている。
※訳注7:2014年4月中旬に、ロウハーニー大統領夫人が大統領宮殿を使って、女性たちだけのセレモニーを「ファーテメ・ザフラー生誕記念日」に催したことを指す。このセレモニーで一部のNGO関係者に贈り物が贈られたことや、厳粛な宗教の祭日に一部の者が踊りを踊ったことなどが問題視された。
怪文書「イマーム・ホメイニーの採点を受けるロウハーニー」では、イマーム・ホメイニーの思想に対する第11期政権の姿勢を精査し、・
書籍のチェック〔が甘くなって、不適切な内容の本が出版されていること〕、・「ライオンと太陽」のシンボル〔に関するユーネスィー大統領顧問の発言〕、・
「力づくによる天国」〔※力づくで人々を天国に導くことはできないという大統領の発言のこと〕〔‥‥〕などの問題について検討を行っている。
怪文書「われわれは何を与えたか?われわれは何を得たか?」では、ジュネーブ合意に対する批判が行われ、怪文書「村長の非礼」ではアメリカの当局者らが我が国に対して行っている発言について、検討が行われている。
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( 翻訳者:白糸台国際問題研究所 )
( 記事ID:34301 )