軍クーデター疑惑のバルヨズ裁判囚、釈放
2014年06月19日付 Milliyet 紙

「バルヨズ裁判」は公正な裁判ではなかった、という憲法裁判所の決定により、釈放と再審という可能性が浮上してきた。刑の執行を止めるよう検察側が要求し、急遽開かれたイスタンブル・アナドル第4重罪法廷が、刑務所に収監されている230名全員を釈放するという決定を下したのだ。「バルヨズ裁判」による収監者は、こうして一人もいなくなった。
また、高等裁判所が全会一致で下した「公正な裁判を受ける権利の侵害」という判決も勘案せねばならない。
私は昨日、憲法裁判所のハシム・クルチ裁判長に話を伺い、決定が全会一致でなされたことの意味についてまず質問した。返答は以下の通りだ。

■「慎重な姿勢」

「全会一致で決定が出されたというのは非常に重要なことです。これは憲法裁判所が『基本的な権利と自由に関して慎重になるべき』という姿勢を示したことを表しています。権利が侵害されたという主張から個人訴訟が持ち上がってきた『公正な裁判を受ける権利』を尊重していることが分かります。この慎重姿勢は特に、私たちが支持している欧州人権条約に従う表明でもあります。法廷が全会一致で下したこの決定は、慎重な姿勢を示す洗練された見解だと言えるでしょう」

■「有罪ではない」

裁判長には、「権利の侵害」という決定を生むこととなった法的な結論についても伺った。クルチ裁判長はこう評価する。
「『権利の侵害』が確証されたため、憲法裁判所は再審を決定したということになります。つまり決定は、これ以降刑務所に置かれている人たちは『禁錮』ではなく『勾留』処分になるということです。釈放されたとしても被告という扱いで、審理が再び行われます」

■「信憑性に欠ける」

クルチ裁判長は、高等裁判所が証左とする根拠について尋ねられると、こう述べた。
「地方裁判所で証拠として審理されたCDやハードディスクといった電子資料を見ていくうちに、いくつもの矛盾に陥っているということを確証しました。裁判所が陥ったこの矛盾は、権利の侵害であるという結論に至ったわけです。同様に、裁判に重要な2名の証人による証言が聞かれなかったこともまた、権利の侵害だと言えるでしょう。当時のヒルミ・オズキョク参謀総長とアイタチ・ヤルマン陸軍大将の発言にも耳を傾けるべきだ、と弁護側が要求をしたにも関わらず、裁判所はそれを無視し、その理由とされた根拠は、私たちとしては信憑性に欠けるものでした。さらに最高裁判所でも同様の光景が見られ、これも十分な審議がされたとはいえません」

■成功した実施例

憲法裁判所に個人による憲法訴訟の権利が認められた時、法曹界で議論がわきおこった。欧州人権裁判所に従う前に、憲法裁判所はまず消化すべき国内法があるかどうか、その適用に拘束されると主張された。
欧州人権裁判所は、トルコの憲法裁判所が有効な手立てを打つかどうかについて見守っていくこと、また有効であるという評価に達した場合、憲法裁判所を通さずに行われる申請を認めないとした。
今回、憲法裁判所への個人訴訟に関する決定をもって、我々はこの段階は越えたと言えるだろう。
ハシム・クルチ裁判長は、欧州の諸組織は、憲法裁判所の個人訴訟についての判決を歓迎していると述べた。欧州人権裁判所をはじめヨーロッパ連合、欧州評議会といった組織はその措置に満足していること、さらには個人訴訟を導入していない国の例として、トルコの適用を模範に挙げていることを強調した。
クルチ裁判長は、この成功から、欧州評議会が7月7日、ストラスバーグで国際会議を開催することも明らかにした。クルチ裁判長はこれに参加し、トルコの取った措置について説明すると述べた。会議にはドイツ、スペイン、オーストリア、ロシア、クロアチアも参加するという。

個人訴訟の適用により、「公正な裁判を受ける権利」という観点から効果的な試みに踏み切ったことが憲法裁判所の決定からわかる。このことは欧州人権裁判所への申請という視点から見て意味のあることだ。これ以降、いくつかの例外を除いて、憲法裁判所に個人訴訟をせずに欧州人権裁判所が裁判の実施を認めることは難しいだろう。

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( 翻訳者:今城尚彦 )
( 記事ID:34378 )