■イラクにおける米軍の攻撃対象想定図
【ベイルート:本紙】
イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)勢力がシリア・イラク間の国境各地点の完全制圧を目指し、カイム検問所の掌握を強化しつつあるなか、この「テロリスト」組織の複数拠点への米空軍の「限定」攻撃の兆しが現れている。これは、ダーイシュは主要な石油関連施設を包囲していることで脅威となっており、また複数の武装勢力が首都・バグダードに到達することも危惧されているためである。
またこれより前、バラク・オバマ米大統領は木曜(19日)、米国はイラクでの軍事行動を起こす準備ができていると述べ、300人の軍事顧問集団のイラク派遣の可能性も明らかにした。さらに、米国はすでにイラクの監視・諜報分野における機能を強化していることも示唆した。
これに先立って、ジッダにおいて水曜(18日)、イラク外相ホシュヤール・ズィーバーリー氏はイラク政府が米政府に武装勢力に対して空爆を要請したと述べ、記者会見の際に「イラク政府は治安上の合意に沿って、正式に米政府にテロリスト集団への空爆を要請した」と明らかにした。
一方、イラク首相ヌーリー・マーリキー氏の打倒が、現在のイラクでは最重要の軍事攻撃目標であるとみなされており、スンナ派の多くが、マーリキーのスンナ派疎外とスンナ派抑圧の為にイラク軍を出動させたことを非難している。また彼らは、それにより、シーア派の何人かの人物が要職に就く機会を得たのだと考えている。
現場では、ダーイシュ勢力の一派がイラク西部のアンバール県の大部分の街を制圧し、さらにその支配を治安機関と部族戦闘員が制圧している同県の残りの街々まで進めようとしている。またその後、イラク政府軍はアンバール県から撤退したことが確認された。
また、アンバール県のある部族の情報筋は、「ダーイシュの一派は2014年初めに衝突や闘争が起きて以来、アンバール県東部のカルマとファルージャの街を支配していて、その支配は現在まで続いている。」と述べた。また、「それから同一派はシリア・イラク間の国境の町カイムを制圧し、さらに3日にわたる激しい戦闘のあと、カイムの国境検問所を制圧した」ことを指摘した。
先の6月10日にイラク軍が武器を残して撤退したあと、ダーイシュはイラク北部のニネヴェ県モースル市を制圧している。また、サラーフッディーン県、ディヤーラ県でも同様の事態となっている。アンバール県では数カ月前にやはり同様の事態が起こっている。
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( 翻訳者:林まり )
( 記事ID:34423 )