銃にかこまれるイラクのトルクメン系住民
2014年06月19日付 Radikal 紙

イラクで「イラクとシリアのイスラム国」(ISIS)による、シーア派トルクメン人が暮らす町や村を狙った攻撃が増えている。ラディカル紙へ語ったトルクメン系の人々からの情報によると、テル・アファルで地区大半を陥落させたISISに対抗する警察とシーア派民兵の抵抗が続く一方で、キルクーク南方のチャルダールとビルヤイジュの村々と、セラハッディン県バクヤのカラナズ村とトゥズフルマトゥのバスタムル村が、ISISの空爆によって次々に陥落した。これらの村で起きた衝突で少なくとも20人の民間人が死亡。一部の民間人がこの地域から逃亡した際、ISISの標的となった事を明らかにした。

■ペシュメルガと民兵

キルクークのベシル町は数回占領された。前日の朝ベシルへ入ったISISは、ペシュメルガと武装シーア派民兵の抵抗に遭い撤退した。しかしその後再び空爆を開始したISISは、ベシルを再び占領した。民間人と警備隊にかなりの数の死者と負傷者が出たと言われている。モースルのディジレ周辺で農業を営むトルクメン部族のカラコユンや、上シェリハン、下シェリハンもISISへ抵抗していたがとうとう力尽きた。あるトルクメン人の情報筋は、ISISの戦闘勢力が、キリスト教徒の居住するバルトゥッラとヤズィーディ地方の町、バシカとテルケイフに逃げたカラコユン部族とシェリハン部族に次のように脅迫したことが明らかになった。
「シャリーアに則って生きることを受け容れ、お前たちの家に戻れ。さもないと避難した地域もお前たちにとって安全ではなくなるだろう」
シーア派トルクメン人の町であるキルクーク南方のターゼフルマトゥでも衝突が続いている。トルクメン人民兵とペシュメルガが共同でISISの軍勢にたいして抵抗しているという。
シーア派とスンニ派のトルクメン人が対立しているテルアフェルでも軍人や警察、武装民間人が空港を制圧した。

■ISISが石油精製所を制圧、行列が出来る

イラクでモースルに続いてセラハッディン地方へとその支配を広げる「イラクとシリアのイスラム国」が、国内最大の石油精製工場を標的とした。ISISはセラハッディン県ベイジ市にある精製場の70%を制圧した際に衝突が起きた事を明らかにした。軍がISISの支配地域を爆撃し、ISIS側がヘリコプターを一機撃墜したと言われる。地元の情報によると、ISIS兵は燃料貯蔵庫に火を放ち、精製所を閉鎖した。燃料不足によってキルクークとアルビルのガソリンスタンドの前には2キロに及ぶ車両の列が出来た。アルビルのドライバー達は、燃料を買うために深夜から列に並んだ。

■トルコ系企業で40人のインド人が行方不明

「イラクとシリアのイスラム国」はモースルで40人のインド人労働者を誘拐した。インド外務省によると、あるトルコの建設会社で働く40人の労働者と連絡が取れていない。身代金の要求などは一切なく、労働者らは避難作戦の間に戦闘部隊の手に落ちたことが明らかにされた。前日にISISは15人のトルコ国籍者をふくむ60人の労働者を人質に取ったと明らかにしている。



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:岩田和馬 )
( 記事ID:34429 )