トルコはその農業国という特徴を失うだろう。ここ20年間で300万ヘクタールの優良農地は、その目的以外で利用され消失した。専門家らはほかに転用可能な土地がある中、耕地となりうる土地を破壊するのは無駄だと述べた。農地は最も多くは工業、住居、鉱業、運輸などの目的で使われている。
トルコにある優良農地は、移住、住宅の需要増加、遺産分割などにより徐々に減少している。トルコが20年間で300万ヘクタールの農地を失ったと語る農業機械メーカー、ランドフォースの取締役会のジェヴァット・クル会長は、この20年間だけで国内の優良農地が2683万ヘクタールから2381万ヘクタールに減退したと明らかにした。
優良農地が工業地域や住宅に変えられ、果樹園も別荘となっていると話すクル氏は、現在農地がそうした目的の標的となっているという見解だ。同氏は農地が少しずつ居住地に転換されており、バイパス道が農地を通っていると指摘し、海岸地域で観光業が成長した結果、建築物建設が増しはじめ、優良農地が破壊される強い要因となっているのだと説明した。
同氏は、工業化、都市化、観光目的のために転用可能な土地が存在する一方、耕作可能な地質を持つ農地が農業以外の目的で利用されることは無駄であると主張し、農地が農業以外で利用されることが特に、チュクロヴァ、ゲディズ、メンデレス、タルスス平野、イズミル、ブルサ、アンタリヤ、メルスィン、コジャエリ、サカルヤ、デュズジェ、トラキヤで広まっていると述べた。食糧農業畜産省により記載された2011年81県評価によると、農地が他の目的で利用された割合が最も高いのは工業利用で、これに住宅、観光業、鉱業、運輸利用が続いている。
クル氏は、トルコは7696万ヘクタールの国土でヨーロッパでロシアに続きに広い国土を持つ2番目の国であると言い、「我々の第一級、第二級の土地は十分でない。我々は510万ヘクタールの、あらゆる耕作に適する第一級の土地、670万ヘクタールの耕地に適する第二級の土地を保有する」と語った。同氏は農地の都市化や工業施設への転換が農地減少の最大の要因となっていると強調し、第一級の灌漑に適した農地が都市整備されはじめ、工業地域や居住地にされていると言及した。さらに、海岸地域で果樹園の土地に別荘が建設され、優良農地には産業集約地区もしくは住宅が建てられるのだと語気を強めた。
トルコ農業団体シェムスィ・バイラクタル会長は、近年、農地がさらなる所得増加、工業、都市化、運輸などの需要を満たすため利用されていると語った。また気候変動によりこうした土地が本来の特性を失っており、耕作不能となっているとも語った。土地と環境の間にはとても微妙なバランスがあるとし、総じて農地が使用目的外に用いられた結果生じた土地の減少は、経済・社会、また環境の点で重要な問題であると強調した。
国内で工業施設が多くは高い生産性のある土地の上に設けられたと言うバイラクタル氏は、工業施設の周りでの都市化現象が発展するにつれ、良質の農地が減少し、その性質が破壊される原因となったおり、復元できない形でなくなったと述べた。同氏は「トルコは工業国であるが、同時に誕生以来、農業国である」と主張し、「我々の経験が示すように経済危機では今もずっと心の糧は「農業」だった。そもそもアメリカ、カナダ、オーストラリア、フランス、イタリア、オランダのような国々は、世界の先進産業国であるとともに農業でも優位に立っている。トルコもこれらの国のようになるべきだ」と話した。
バイラクタル氏は農地の目的外利用により農業生産、食糧生産が低下し、所得増加とともに畜産物消費が増加し、発生した穀物需要に応えるため輸入という方法をとっているのだ説明した。同氏はまた日本がこの数年間穀物需要の70パーセントを輸入でまかなうという状況になっていると言い、中国も似たような状況であり、急速な工業化とともに農地が他の目的で利用されていると述べた。
■170億トルコリラに及ぶ経済損失
また同氏は、トルコでは農地が小規模で分散し、細分化した仕組みを持っていることに触れ、食糧農業畜産省が行った統計では、こうした仕組みが生み出す経済損失は全部で170億トルコリラにも及ぶとした。バイラクタル氏は解決策を提案し、まず土地の細分化を法的に妨げ、その後細分化された土地を集約化し再建する必要があると語った。
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Asahi 中東マガジンでも紹介されています。
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( 翻訳者:星井菜月 )
( 記事ID:34511 )