大統領「ムスリムが団結すればテロリストを孤立化させられる」(下)
2014年06月23日付 Jam-e Jam 紙
大統領は、これらの野蛮な者たちは〔‥‥〕ジハードとイスラームの名の下で、やりたい放題のことをしていると指摘した上で、次のように述べた。
今日という日は、イスラーム世界にとってなんと大きな災厄の日となっているだろうか。最近はムスリムにとっては悲しみの日、シオニストにとっては喜びの日となっている。なぜなら、こうした動きの裏側には、はっきりとシオニストたちの手が見えるからである。彼らはムスリムたちを互いに相争わせ、そうすることで容易に、パレスチナ人たちを拷問し、ガザを爆撃して破壊ているのだ。
大統領はさらに、「シオニストたちは、もはや誰もパレスチナやエルサレムのことを考えなくなるような状況を現出させている。そのために、彼らはさまざまな名称を使って、『ラー・イラーハ・イッラッラー(神の他に神はなし)』の旗を掲げて、あらゆる場所で流血の事態を生みだしているのである」と付け加えた。
イマーム・ハサンの平和の旗を掲げなければならない
ロウハーニー大統領はまた、「今日、いかなる時代にもまして、イスラーム世界の団結が必要とされている。世界にイマーム・ハサンの平和の旗を掲げねばならない〔‥‥〕」と訴えた。
大統領はさらに、
それゆえ、使徒の一族〔※預言者ムハンマドの子孫、つまりシーア派の歴代のイマームたち〕への愛と、彼らの辿った道への恭順が、断じてあってはならないことだが、ムスリム間の分断・分裂の要因だ、などと考えてはならない。むしろ逆に、使徒の一族への愛こそ、イスラーム世界の団結の柱の一つなのである。〔‥‥〕
と述べた。
「英雄的柔軟性」は「英雄的ジハード」よりも難しい
ロウハーニー大統領はまた、次のように述べた。
イマーム・ハサン・モジタバーについて、最高指導者はかつて、最高の説明をしてくれたことがある。つまり、イマーム・ハサンの和平は歴史上もっとも偉大な英雄的柔軟性である、と指摘されたのである。私はイマーム・ハサンの和平について、これ以上すばらしい説明を聞いたことはない。
大統領はその上で、「私の考えでは、英雄的柔軟性は英雄的ジハードよりも難しい。イマーム・ハサンは、こうした勇気を選択したのである」と付け加えた。
〔‥‥〕
訳注:「英雄的柔軟性」とは昨年のロウハーニー政権の発足に伴って、ハーメネイー最高指導者が諸外国、とくに欧米との関係について、これまでのような強硬な立場ではなく、「より物腰の柔らかな態度で応じる」よう政府に指示した際に使った言葉で、現在のイランの外交政策の基本姿勢を示すもの。
この語はもともと、ハーメネイー最高指導者がかつて、第2代イマーム・ハサンに関する著書をものしたとき、その題名を「イマーム・ハサン:英雄的柔軟性」としたことに由来する。
ハサンは自らの父であり初代イマームであるアリーの死去後、第2代イマームとしてウマイヤ朝と和睦した人物で、死を賭して戦った弟の第三代イマームのホセインとは好対照の人物。ハーメネイー師は弱腰・軟弱と映りかねないハサンのこうした姿勢を、ウマイヤ朝打倒の機会を覗うための戦術だとして、それを「英雄的柔軟性」と呼んだ。
ロウハーニー大統領は「悪との闘い」の象徴であるイマーム・ホセインの道ではなく、イマーム・ハサンの道を主張することで、「穏健路線」の正当性を指摘している。
本記事は
Asahi 中東マガジンでも紹介されています。
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( 翻訳者:8412104 )
( 記事ID:34565 )