モスル住民の生活、ラマダーン月に入って厳しいものに:冷房設備も使えず
2014年07月02日付 Jam-e Jam 紙
【ジャーメ・ジャム・オンライン】モスル市民はラマダーン月の期間中、多くの問題に直面している。ダーイシュ(ISIS)は冷房設備の使用を禁止し、この街からはラマダーン月の賑わいは失われてしまっている。通りは閑散として、街が生きていることを示すようなものは何も見られない。物価は高騰し、燃料不足も起きている。
「シャファク・ニューズ」の報道によると、この街から逃げだした人たちであれ、この街に留まっている人たちであれ、多くの人が断食を実践しているとのことだ。ダーイシュのテロリストらが侵入してきた際に歓喜の声を上げた人々も、今ではそれを後悔しており、ダーイシュが彼らに対して示した都市像はまったく歓迎されていない。
今やモスル市民は、断食明けの食事をとった後、例年のように外出することもできずにいる。ダーイシュのタクフィール主義者たちは、自らの作り出した状況下で、燃料の供給を完全にストップさせており、夜のドライブのためにガソリンを使おうとするような車も見当たらない。
イラクのサラーフッディーン県にあるバイジー精油所がダーイシュとイラク軍との間の戦闘の舞台になったときから、モスルへの燃料供給もストップしており、住民らは20リットルのガソリンを手に入れるのに4日も待たねばならない状況となっている。
燃料不足に伴い、市の電気を供給する発電所も停止し、市内は静けさにつつまれている。ラマダーン月の猛暑は冷房設備がないことと相まって、市民生活を厳しいものにしている。
タクフィール集団ダーイシュの信奉するイスラーム法学から導き出された法規定によれば、暑い日に扇風機やその他の冷房設備を使用することは禁止されている。その理由はただ単に、こうした設備は偉大なる預言者やその教友たち、そして教友たちの知り合いたち〔※〕が生きていた時代には存在していなかったということにすぎない。〔‥‥〕こうした法律の中には、「壁(ジダール)はアラビア語で男性名詞なので、婦人は壁に近づく権利はない」というものまである。〔‥‥〕
※訳注:「教友」とは預言者ムハンマドと会って話をし、イスラームに帰依した人たちのこと。「教友たちの知り合いたち」(ターベイーン)とは、こうした教友と会って話をし、イスラームに帰依した人たちのこと。
次なる問題は、物価の急激な上昇だ。物資の不足と物価の高騰は、労働者への月々の給与の未払いと相まって、市民の経済状況を困難なものにしている。店舗経営者や商売人たちも、治安の悪化と停電が原因で店を閉めている。
モスル市民のマーヒル・サイードさんはシャファク・ニューズの取材に対し、こう述べている。「わたしは金属加工業を営んでますが、街から安全が失われた日からずっと店を閉めています」。
また別の市民であるサイード・アリーさんも、次のように述べている。「わたしはレストランで働いていましたが、すでに解雇されてしまいました。レストランの主人は私の給料を支払うだけの収入がなくなってしまったからです」。
ラマダーン月の日々はモスルでも着実に過ぎ去りつつあるが、しかしここ数日、人々は宗教的義務を実践するためにモスクに行くことすらできないような状況に置かれている。
市民の一人はこう述べている。「わたしはモスクに行くのが怖い。どのモスクにもダーイシュの奴らがいて、自分たちの旗を掲げている。なぜアラブのテレビ放送局は、この事実をきちんと報道しないんだ?」。
本記事は
Asahi 中東マガジンでも紹介されています。
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( 翻訳者:8413106 )
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