アルビールから伝わる分離独立のメロディーに各方面から懸念の声
2014年07月05日付 Mardomsalari 紙

アーヤトッラー・スィースターニー、イラクの領土変更に警告

【国際部】イラクとテロ組織ダーイシュとの戦闘が依然として続く中、中東の未来を強く揺るがすような出来事が、まさに今起きている。イラク・クルディスタン自治区の指導者は木曜日、自治区議会の特別会議に出席し、クルド人議員らに向けて、可及的速やかに独立選挙委員会を設置し、中央政府からのイラク・クルディスタン独立のための住民投票実施に関する法律を制定するよう呼びかけた。

 バールザーニー氏は、クルディスタン議会の議員らに向けて、次のように述べた。

〔クルディスタン自治区の軍事組織である〕ペシュメルガ軍は、自らが駐屯した地域から撤退するようなことは決してないだろう。こうした地域には、〔イラク中央政府と帰属をめぐって〕係争中のキルクークやその他の都市が含まれている。

 ロイター通信の報道によると、イラクに住むクルド人は500万人と推定されており、彼らは1990年から独自の「安全地帯」を確保してきた。彼らは、ダーイシュがイラクでの勢力を拡大させる過程で、自身の領土を40%以上拡張させ、イラク分裂の危険性を高めてきた。

 バグダードに派遣された国連の代表者は、イラク国内の各政治グループが連合政府の樹立をめぐって合意することに失敗した場合、同国はシリアのような混乱に巻き込まれる危険に直面するだろうと述べている。

 ムラディノフ氏はさらに、イラクの政治関係者らに向けて行った発言の中で、「警戒すべき状況にある。それゆえ、あなた方は個人的な対立や野心を脇に置くべきだ〔‥‥〕。今は、いかにしたら自分の国を救うことができるのか決めるべき時である」と述べた。

 こうした中、大アーヤトッラー・スィースターニーの代理人を務めるアフマド・サーフィー氏は、カルバラーでの金曜礼拝の説教で、イラクの政治的・人的地理に変更を加えるためにイラクの現状を悪用する行為に、警告を発した。同氏はまた、イラク国家の指導者たち〔※国会議長、大統領、および首相〕を選出するための努力を加速させるよう、呼びかけた。

 サーフィー氏は、カルバラーの金曜礼拝に参加していた人々の前で、「トルコマン人やシャバク人〔※〕、キリスト教徒、その他イラクの少数派の市民数千名が、現在、自身の家や生活を離れて避難民化し、不適切な状況の中で暮らしている。イラク中央政府は、イラク国民の中のこうした人々を保護する主な責任を負っている」と指摘、さらに次のように付け加えた。

イラク国民の中のこうした人々が移住と避難民化を余儀なくされ、テロリストらがニーナワーにある彼らの居住地区を占拠するという事態を、一部の者が人的地理の変更〔=イラク・クルディスタン自治区の拡大ないし独立〕のために悪用するようなことがあってはならない。

※訳注:イラク北部に居住する民族で、人口は6万人と推定される。シャバクの約7割がイスラム教シーア派を、それ以外はスンナ派を信仰している。

 同氏はまた、「これらの人々を支援し、治安が回復次第、彼らがもといた地域に帰還するための環境を整えるよう、クルディスタン自治政府ならびに国際機関に呼びかける」と語った。

 サーフィー氏は自身の演説の別の箇所で、イラクでの国民動員プロセスの整備を訴え、「武器が違法に諸個人に提供されるようなことがあってはならない。政治指導者も、緊張を高める原因となるような発言は控えるべきだ」と語った。

 他方、ジョー・バイデン米副大統領およびホワイトハウス報道官はそれぞれ別の会議の席上で、アメリカは「一つにまとまったイラク」こそダーイシュの進軍を阻止することができると考えていると表明した。

 アメリカは、イラクにおける連合政府の樹立に向けた努力をこれからも続けていくとの姿勢を示している。

〔‥‥〕



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

Tweet
シェア


原文をPDFファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:8413105 )
( 記事ID:34726 )