■GCC諸国、自国経済の多角化に投資
【ドーハ:ムハンマド・マッキー・アフマド】
湾岸協力会議(GCC)の加盟国は莫大(ばくだい)な利益を自国の経済の多角化に注いでいる。カタール国立銀行グループは、GCC諸国が「近年大きな成長を成し遂げ、一部の国では炭化水素価格の上昇や石油・ガスの増産で国民所得を向上が見られ、政府に多大な利益をもたらしている」ことを強調した。一方で、GCC諸国は「成長を後押しし、持続的な成長を生み出すためには石油・ガス以外の分野で収入源を多角化する必要があることも認識している」とも見られる。
同グループは報告書の中で、湾岸諸国は「経済を多角化し、新たな成長分野を生み出すために莫大な資金を複数の大型プロジェクトへの投資に注いでおり、結果として近年、非石油分野の経済成長への貢献が見られ、それらが大半のGCC諸国において主要な成長源となった」と指摘した。
同報告書は、「投資の大部分が新都市建設や道路・交通網整備、不動産、発電所・上下水道整備などのインフラプロジェクトに向けられている」ことに着目する。そして、一部には「地域の人口増に対応するという目的もあるが、主な目的は民間企業が長期的に経済成長を後押しする大きな役割を果たすことを可能にするインフラ整備」であるとした。そして「それらの活動を後押しするための適切な物理的環境や法整備を政府が集中的に行うことで民間部門における成長、発展を刺激、促進する」と予測した。
一方、石油・ガス部門は「水平的多角化」(の状況にある)とは言えず、そこに通底する主たる理由は、湾岸諸国における莫大な資本投入である。報告書によると、現在進んでいるのは「垂直的多角化」であり、それは石油化学製品や他の工業分野への投資である。この経済多角化のあり方はGCC諸国における共通の目標ではありつつも、各国のヴィジョン及びその実行プランの間には大きな意見の相違も存在するという。
これを踏まえ、同報告書は、例として経済多角化や石油・ガス依存度の縮小、人口増加を見越した雇用創出を目指すサウジアラビアの2010-2014年における第9期開発計画に触れる。報告書は、同開発戦略が「知識産業、サービス産業、貴金属工業、食品製造、自動車製造、物流、農業などそれぞれ独自の戦略指向を持った新しい4つの経済都市の建設に基づいている」と明示する。そして政府は、民間部門の成長を後押しするため、大手民間企業にそれら経済都市の発展のための主たる役割を与えた。
(後略)
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( 翻訳者:木戸皓平 )
( 記事ID:34889 )