シリア:パリにて…シリア人ウード奏者ハーリド・ジャルマーニー氏が新曲「流浪」を演奏
2014年08月06日付 al-Hayat 紙


■ハーリド・ジャルマーニー氏、パリでシリアの流浪を「演奏」

【パリ:アフマド・サラール】

シリア人ウード演奏者ハーリド・ジャルマーニー氏はこう語る。彼にとってウードは単なる楽器ではない。ウードを腕に抱きしめているとき、自分自身が時空を超えたところに身を置かれているように感じる。旅立っていったすべての者たちの魂を奏でているように感じる、と。ジャルマーニー氏は本紙とのインタビューの中で、パリの「イスラーム文化研究所」で開催された夜の演奏会が、自身の新しいアルバム「流浪(Exile)」を発表するのに相応しい機会になったと話した。

奏者であり作曲家、歌手でもあるジャルマーニー氏は8つの新曲を演奏し、観客に「レイラ」という詩を披露した。この詩はナワーのマカームを基調に重い音響のリズムを用いる点を特徴とし、別の曲ではナハーワンドのマカームへと移っていった。(訳注:「マカーム」とは、アラブ音楽における各旋律を体系化したもの。マカームには数え切れないほど多くの種類があり、「ナワー」や「ナハーワンド」もその一つ。)

ジャルマーニー氏はその豊かな調べで観客をもてなし、新曲「流浪」の演奏で最後を締めくくった。これによって望郷の念が魂により重くのしかかる。これこそ、その曲が音楽の言葉を借りて伝えようとしていることである。アルバムには「日食」「魂は決して帰らぬ」「名無し」「幻影」といった新曲が収録されている。CDを聴けば、スーフィズムの雰囲気とフスハーやアンミーヤの歌詩が混ざった感覚に気付く。

1999年にダマスカス高等音楽院を卒業した若者(訳注:ジャルマーニー氏)は、音楽になじみの深い家庭で生まれ育ち、そのことが彼の「アイデンティティーの下地となった」。2003年にパリを訪れ、フランス人ミュージシャンのセルジュ・テッソー=ゲイと共に演奏した。その後、ヨーロッパのさまざまな都市を訪れることで、人々はジャルマーニー氏の曲を評価するようになり、彼は独奏から合奏まで幅広く行った。

自身の音楽に対する愛が芽生え始めた頃について、ジャルマーニー氏はほほ笑みながら次のように述べた。「幼い頃から、私はウードに対して愛着を抱いていた。そして牢獄にいたことが私のウードへの思いをますます強めることになった」。ジャルバーニー氏は、兵役を課された当時について、そのころの経験が彼の人生の多くを変えることとなったと話す。「私は時間のほとんどを演奏に費やしていた。この習慣が私の生きる糧となっていき、その時からウードが私の手から離れなくなった」。

ジャルバーニー氏は、同じウード奏者のサルマーン・シャクル氏をたたえていることを否定しない一方、次のように加える。「模範(とする人)の影響から逃れることはできない、特に最初はね。でも、時が経ち自身の芸術意識が高まってくると、自分の思想や信条を守り通そうとするようになる」。

(後略)

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:辰巳新 )
( 記事ID:34983 )