北イラクのキリスト教徒、10万人が退避
2014年08月08日付 Milliyet 紙


イラクに古くから住むキリスト教徒たちの多くは、カルデア人やシリア正教徒だ。しかしアメリカの占領に続き、今度はイラク・シリア・イスラーム国(ISIS)の脅威によって、家々を後にしている。

2003年には約150万人が住んでいたと考えられているイラクのキリスト教徒たちは、今日では35万人ほどに減少したと言われている。昨日7日にも、10万人近いキリスト教徒たちがISISの脅威から逃れるため、北イラクの家々を後にした。北イラクでは、ペシュメルガ(クルド人民兵組織)の撤退とともに、イラク最大のキリスト教徒居住地であるカラコシュと、シーア派が多く住むテルケイフ、ベルトゥッラ、そしてカラムレシュが、それぞれISISの支配下に落ちた。

■歴史的遺産も焼失

カルデア教会のルイ・サコ総主教は、AFP通信に対し、「10万人のキリスト教徒が着の身着のままクルディスタン地域に逃げ込んだ。中には徒歩で逃げて行った人たちもいる。これは人道の危機だ。教会が占拠され、十字架が降ろされた。教会で保存されてきた1500点もの歴史的な手書き文書も燃やされた」と語る。
セコ総主教はキルクークに避難しているが、昨夜ニノヴァ州の平原を急進したISIS勢力を止められるのかということに関して、「イラク政府の、クルディスタン自治政府の兵力をもってしても、その戦力には及ばない」とした。
テルケイフからアルビルに退避したブトロス・サルゴンさんは、「(ISISは)『アッラーフ・アクバル!』という声と共に市内へ入ってきた」と話す。
2003年、アメリカ軍による占領は混乱を引き起こした。その混乱の中で国外へ避難した何十万人ものキリスト教徒の大多数を代表するサコ総主教は、「アメリカ合衆国およびEU諸国へ申し上げる。このジェノサイドの阻止がまだ手遅れになっていないことを祈る」と述べた。
カトリック界の精神的指導者、フランシスコ教皇も、キリスト教徒の保護を世界に呼びかけた。教皇は、(ISISの)侵攻により家を捨てなければならなくなった人々、脅威にさらされている人々に対し、最低限の援助物資がもたらされなければならない、とした。イラクでは「ISIS危機」の後、150万人が故郷を追われたと推測されている。



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:今城尚彦 )
( 記事ID:35005 )