北イラクへのISIS進行進む、トルコ介入のシナリオは?
2014年08月08日付 Milliyet 紙
ダーイシュ(ISIS)がシンジャールを制圧し、マフムルを掌握することを受け、国際社会は行動に移り、アンカラ政府は警戒態勢に入った。アンカラで8月7日の午前中にはダヴトオール外相が、夕方にはエルドアン首相が高レベル会議を開いた。アメリカからは介入のシグナルが来た。
シリアでの内戦時、展開した地域を放棄せず、特にシリア北部に影響力を構築していたISISが、イラクへ入りモースルを掌握することで始まった混沌は、アメリカと国際社会がその地域へ介入する用意をするという結果になった。最初の介入の合図は8月7日にアメリカから届いた。アメリカメディアで、オバマ大統領がイラクで前進を続けるISISへ介入をする可能性があることをほのめかしたとの報道がなされた。アメリカのABCテレビはトルコ時間0時45分にアメリカがイラクへの物資援助を開始したと報じた。
アメリカメディアの報道によると、防衛省の関係者らは、オバマ政権がイラク北部でISISに先導されている武装勢力の攻撃にさらされているキリスト教徒を守るために、イラクを空爆し、空から緊急救援物資を投下することを計画していると伝えた。匿名を条件にメディアに情報を提供した関係者らは、オバマ大統領が8月7日にホワイトハウスで国防チームと会談し、上空からの人道支援物資の投下から、ISISへ向けた空爆まで多くの選択肢を検討したと述べた。
特に、イラクのクルド自治政府の軍隊ペシュメルガとPKK(クルディスタン労働者党、非合法組織)がマフムル地域でISISを食い止められていないことが、ISISが展開している地域への空爆という選択肢を浮かび上がらせ、オバマ大統領の下した最終決定において、人道支援物資投下のための飛行とともに、空爆も開始されうると主張された。ペシュメルガのマフルムにおける撤退の理由も空爆にむけてその地域を無人にするためであったと主張された。
アメリカの行動と実行するであろう計画が待たれる中、国連安保理を急遽招集する決定が下された。安保理の会合は、軍事介入が行われた場合の法的インフラを整える目的で開かれ、安保理から「共同の人道支援」の決定が下されうると主張された。
この状況を受け、アンカラ政府が昨日一日中警戒態勢に入った。ISISが北イラクへ前進していることは、トルコ国境で脅威となる可能性があること、これと並行して攻撃から逃げる人々の移動の波が生まれることなどの問題が議題となり、国際社会から来る介入のシグナルは、アンカラ政府を警戒状態にした。
■最初の会議は朝に行われた。
首都での最初の高レベル会議は、外務省でアフメト・ダヴトオール外相のもとで行われた。三時間近く続いた会議には、イスメト・ユルマズ防衛相、ハカン・フィダンMİT事務次官、フルシ・アカル陸軍司令官、セルヴェト・ヨルク軍警察司令官、そしてヤシャル・ギュレル参謀司令本部副総長が参加した。会議の後NTVテレビにコメントしたダヴトオール外相は、避難民のために「一万人収容できるキャンプをつくる」ことが考えられており、避難したヤズィーディの人々いるシンジャール山岳地帯へたくさんの支援物資が投下されたと述べた。 この会議の後、ダヴトオール外相をはじめ多くの人々はアメリカと他の国々の当局と、地域の国々とその指導者と連絡をとりあい、この外にも軍や安全保障当局と政府との間で継続的に話し合いが続けられていると述べられた。イラクにおけるいくつかの情報筋は、ソーシャルメディアでトルコ軍の飛行機が ISISへ向けて上空作戦を行ったと言われていることを明らかにしたが、参謀司令本部はこれを否定した。
■深夜の国防会議
介入のシグナルが強まり、ISISの前進が続いていることで、深夜に二回目の安全保障のための高レベル会議が行われることとなった。首相府の情報筋は、この会議は計画されたものであり、急遽行われたものではないと述べた。夜遅く、エルドアン首相のもと、官邸で二回目の安全保障のための高レベル会議が行われた。会議にはネジュデト・オゼル参謀総長、ヤシャル・ギュレル参謀副総長、セルヴェト・ヨルク軍警察司令官、アフメト・ダヴトオール外相、ファフリ・カスルガ首相府次官、そしてフィンダンMİT事務次官が参加した。会議ではイラクをはじめとする地域情勢について検討された。会議は以前から計画されていたとのことだ。
(後略)
本記事は
Asahi 中東マガジンでも紹介されています。
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( 翻訳者:矢加部真怜 )
( 記事ID:35006 )