Murat Yetkinコラム:インジルリキ空軍基地、「イスラム国」の前線へ
2014年09月10日付 Radikal 紙

エルドアン-オバマ会談において話し合われた「対イスラム国」の前線に参加するトルコは、インジルリキ空軍基地とその空域を「物流と人道的支援を目的とする」飛行に開放する。

8月21日木曜日の朝、イラクからトルコ国境に向かって近づくアメリカのF-15戦闘機が緊急着陸の許可を求めた。「イスラム国」に対して行われた空襲の際銃弾を受けており、油圧装置が受けた傷では、カタールにある基地まで飛行することは不可能であるようだった。

トルコ参謀総長は着陸許可を与えた。アメリカの飛行機をイラクとの国境で迎えたトルコのF-16戦闘機は、バトマン空港まで先導した。アメリカ人で編成されている技術チームはインジルリキ基地からバトマンを移動し、修理には数日を要した。その後、アメリカのF-15戦闘機のパイロットはバトマンから離陸、トルコF-16戦闘機がイラク国境まで並走し、カタールの基地へ戻った。

ある政府情報筋は、「緊急着陸の許可は与えられました、パイロットに命の危険があったからです」と説明する。「つまり、それは人道的な行いであると考えられます。またもちろんNATOの同盟国として我々は協力関係にあります。しかしインジルリキを「イスラム国」に対する作戦において、物流と人道支援のみを目的とする飛行の為に開放する事を決定しました。少なくとも現状はこういうことです」
トルコはこの決定を「イスラム国」に対して構成される前線への参加の下に採用したことになる。

イラクとシリアの国土の一部の地域でスンナ派の教義に基づく「イスラム国」を建設するという主張と、前例のないテロ行為でもってその名を響かせる、イラクとシャームの「イスラム国(ISIS)」という組織に対して連合が形成されつつあることは、最初にバラク・オバマ米大統領によって発表された。

イギリスで9月4日から5日にかけて行われたNATOの首脳会議でタイイプ・エルドアン大統領と対面したオバマ大統領は、9か国の連合の中にトルコを数えた。

参加国の数は昨日9日時点で15に増加したことが分かった。トルコとアメリカ合衆国、またヨーロッパからはイギリス、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、ハンガリー、アラブ地域からサウジアラビア、エジプト、レバノン、カタール、バーレーン、そしてオーストラリアがこの連合への参加を表明。外交筋はこの前線がより拡大する可能性を指摘している。

「イスラム国」に対する連合の協力範囲については、NATOでの会談に続き、9月8日にアンカラを訪問したアメリカ合衆国のチャック・ヘーゲル国防総長と、エルドアン大統領、アフメト・ダヴトオール首相、ネジュレト・オゼル参謀総長との会談でも話し合われた。
また、ジョン・ケリー米国務長官はトルコのメヴリュト・チャヴシュオール外務大臣との電話でもこの件が取り上げられた。チャヴシュオール外務大臣が今日10日リヤドで行われることが決まった初の「連合」会議に参加すると見られている。

興味深いのは、他のほぼ全ての問題でエルドアン大統領に対して反対する共和人民党(CHP)のケマル・クルチダルオール党首も「イスラム国」については完全に政府を支援することを表明したことだ。
実際には、「イスラム国」に対し奮闘するイラク軍と北イラク・クルド自治政府勢力に「致命的ではない」武器を使用し、イスラム国の攻撃の手から逃れたシーア派、トゥルクメン人、ヤズディ、またクルド人を始めとする民間人へ人道的な救助を行う戦闘機へ、トルコはインジルリキ基地と空域を先週から解放している。

ある上層の外交筋は、「アメリカは我々にインジルリキ基地の兵士の軍事行動への動員を要請しなかった。我々の状況を話し、彼らもそれを理解しました。「イスラム国」はトルコ国民を人質にとっているため、我々は慎重に行動しています」と語る。公式な発表によると、モースル総領事のオズチュルク・ユルマズ氏を含む49人のトルコ国民が6月11日の襲撃以来「イスラム国」によって捕虜にされている。

トルコのこの連合における働きは以下の3つの領域で際立っている。

・インジルリキ基地と他のトルコ軍の拠点ならびに民間施設は「イスラム国」の攻撃の下にある地域への物流と人道的支援目的の使用のために開放されること
・トルコの空域は、「対イスラム国」の戦争における物流と人道的支援が目的の飛行のために開放されること(ある情報筋は「しかし武装飛行に対しては開放しません、武装した無人機にもです」と強調している)
・国境警備の追加対策による強化。トルコの910キロメートルのシリア国境と384キロメートルのイラク国境は、欧米のパスポートを所有するムジャヒディンがトルコを通過してイラクやシリアで「イスラム国」またはアル=カイーダやアル=ヌスラのような組織に加わること、また同じ道を戻って自国で行動を起こす準備をすることを可能にしている。そもそもトルコはこの数ヶ月間、欧米の諜報組織と、特に(盗聴スキャンダルで知られる)アメリカ、イギリス、ドイツの諜報組織と密接な協力関係にある。今回、この協力体制がよりしっかりとした対策で強化されることが予想される。

トルコと欧米のメディアが報じたところでは、この協力関係の範囲はオバマ大統領の発表が待たれる「新しい」アメリカの戦略と、リヤドで開かれる「対イスラム国」の連合集会によって変わる可能性がある。

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[訳者注]トルコ政府は、トルコ人人質の存在などを理由に、その後アメリカの主導する「対イスラム国」同盟に対し慎重な態度をとり。インジルリキ基地の使用は認めない方針を示している。

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( 翻訳者:松井友紀 )
( 記事ID:35305 )