「学校内で頭部が覆われていない状態にする」という服装規則が、「学校では顔面が覆われていない状態にする」という形に変更された。「顔面が覆われていない状態にする」という表現により、スカーフが中学校と高校で解禁され、ペチェやチャルシャフ(いずれも目の部分のみが開けられたベール。ペチェは顔や上半身、チャルシャフは全身を覆う)のような服の着用は阻まれた。
国民教育省の定める服装規則の変更が、レジェプ・タイイプ・エルドアン大統領の帰国とともに施行された。規則にある「学校内で頭部が覆われていない状態にする」という表現が、「学校で顔面が覆われていない状態にする」という形に変わった。これにより、学校でのスカーフ着用が許可されたことになる。しかし、「顔面が覆われていない状態にする」という規則であることから、ペチェやチャルシャフのような服を着用することは禁止された格好だ。また、大学でのスカーフ着用に関する議論でそうであったように、学校の全敷地内でスカーフ着用が許可されるかどうかの議論については、「学校内で」という表現が「学校で」という表現に変更されたことで終止符が打たれた。
■ピアスと入れ墨は禁止
これは就学前教育機関に加えて小学校、中学校、高校まで包括するため、スカーフ着用を許可した「学校内で頭部が覆われていない状態にする」という規則には例外も設けられた。「就学前教育機関と小学校においては、学校内で頭部は覆われていない状態にする」という条項が足され、幼稚園と小学校でのスカーフ着用禁止が続くことが決められた。
また、規則にある「政治的な意味を含むシンボル、マーク、文章が載っている(首に巻く)スカーフ、ベレー帽、帽子、鞄などを使わない、また、そのような服装をしない」という条項から、「そのような服装をしない」という部分が消された。これらの小物の使用は変わらず禁止だが、このような服装の着用は許可が与えられた。エルドアン大統領は会見で、スカーフに関して「政治的な意図があるかどうかは関係ない。あなたはシンボルを禁止できるというのか」と述べた。幼稚園、小学校、中学校、高校で適用される服装規則へ「入れ墨をしない」と「ピアスはつけない」という文章が追加された。
■裁判にかけられる
教育・科学労働者連合は、学校における服装規則の撤回のため、行政裁判所へ提訴した。ヴェリ・デミル代表は書面でコメントを発表し、この変更が憲法や国連の児童の権利に関する条約、欧州人権裁判所の決定に反していると述べた。デミル氏は、行政裁判所に訴えを起こし、そこで結果が得られなかった場合は、この件を欧州人権裁判所へ持ちこむことを明らかにした。
■法曹界から「オスマン民法典」への反感
トルコ弁護士連合(TBB)は、中学校と高校でのスカーフ着用解禁を見越した取り決めに対し、厳しい反発を示した。トルコ弁護士連合が行った会見の要約は、以下の通りである。
「これは、憲法第二条に反しているのと同時に、国連の児童の権利に関する条約の第十四条が定める『思想、良心、宗教の自由についての児童の権利』、また、女性に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約、欧州人権裁判所の判例に明らかに反している」
■『自由ではなく、制限』
「最近まで少しずつ進められてきた、国民教育としてイマーム・ハティプの基礎教育を受けさせること、また、望むと望まないとに関わらず、全員にこの教育を施すことへの合意は、生徒に自由を認めることではない。これは制限だ。行われていることは、オスマン民法典への急速な回帰である。女児の思春期の年齢は『満9歳』と認めたオスマン民法典第986条を実際に有効にしようとしている」
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Asahi 中東マガジンでも紹介されています。
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( 翻訳者:白尾みさき )
( 記事ID:35444 )