トルコ政府は、シリア領に「安全地帯」と「飛行禁止区域」が宣言されずして、トルコ大国民議会(TBMM)で承認された法案を実行することは考えていない、このことは、トルコ軍が国境を越えないということを意味する。政府はコバーニーに、そしてコバー二の住民に人道支援で十分であるとするだろう。
イスラム国がコバーニーで前進を続ける一方、トルコが、PYD(民主統一党)の武装部門に軍事的支援を与えるよう要請を受けていることについて取りざたされている。しかし政府が採った最後の決定は、トルコ国境の南「安全地帯」と「飛行禁止区域」が設定されない限り、「コバーニーとコバーニー市民へは人道的支援で十分である」としている。政府はトルコのクルド問題解決プロセスが、トルコのコバーニーへ軍事支援を行うためのテコ(手段)として利用されるのは正しくないと考えている。
■コバーニーにいる者がトルコに来ている
イスラム国はトルコ軍が配置された地域から、目視できる形でコバーニーを攻撃している。トルコの重要な都市ではコバーニーを支援するデモ活動が続いている。トルコ政府は、コバーニー陥落に目をつぶっているとして非難されている。しかし政府筋はこの非難に関して、以下のように述べている。
「コバーニーでの戦闘でイスラム国が勝利することは、トルコの南にイスラム国支配ベルト地帯が延びることになるので、これはトルコにとって最悪のシナリオである。
トルコは、コバーニー市民の人道的支援のニーズに応えるために全力を尽くす。
トルコがPYDへ武器提供を行い、トルコ軍が越境し、今回の出来事に関与するなどと言うことは期待しないでもらいたい。PYDに渡った武器や銃はいつかトルコに戻ってくる可能性があることを我々は忘れていないのだ。
PKK(クルディスタン労働者党)がYPG(人民防衛部隊)を支援する為にコバーニーへ向かうことも取りざたされている。しかし逆にコバーニーに現在いる者が、武器を置いてトルコに戻っている。一日で50人が武器を残し戻ってきたという。
トルコで進められているクルド問題解決プロセスが、コバーニー問題においてテコ(手段)として利用されようとしている。「クルド問題解決プロセスは終わる」と言いながら(言うと)、トルコがコバーニーを助けると思われているのだろうか。しかしコバーニーで起きている事柄にトルコはどうすることもできない。トルコは以前アラブとトルクメンの諸都市がイスラム国の領土と化するのを防ぐことができたが、今現在、コバーニーがイスラム国の手に落ちることを防いでいないとでも言うのか。となると、「クルド問題解決プロセスは終わる」という発言の実質的見返りはない。
■攻撃後が肝心
トルコ政府は、シリア領土に国際社会が認める「安全地帯」と「飛行禁止区域」が設定されない限り、トルコ大国民議会で承認された法案を実行することは考えていない。これはトルコ軍が越境しないことを意味する。アメリカ合衆国国務省報道官のジェン・サキ氏が、アメリカの現在の標的はバッシャール・アル=アサド氏ではなくイスラム国であると述べ、トルコの二つの要請に対し冷やかにに見ていることを表明しても、トルコ政府は自らの意志を通すであろう。トルコとアメリカ合衆国間の見解の相違について検討する外交トップ筋は、以下のように述べている。
「我々の態度ははっきりしています。イスラム国にコバーニーをとられたくない。人道的な支援を続けていく予定だ。我々の砲兵隊(軍隊)は、我らが土地、また国民に向けられたあらゆる展開(攻撃)において、イスラム国を標的にミサイルを放っている。しかしながら我々は国際有志連合に加わっているため、攻撃プランを、またこれがどのようにして終息するかを我々が知ることが前提条件となっている。我々にとってのこの攻撃のフィナーレはシリアでアサドが退任することである。政治的、また軍事的なゴールに、我々が同意しない場合、先に進むことはできない。イスラム国は我々が考えるに現象の一つにすぎない、問題の原因はアサド政権である」
■我が国の南は、政府の支配が完全に及んでいない
長さ1295キロメートルに渡るわが国の南部国境の向こう側は、完全に政府の支配が及んでいない。シリアは手に負えない状態になってしまったようだ。このために我々は安全地帯と飛行禁止区域を設置してくれるよう求めている。イスラム国との闘争手段はどのようなものであろうか?空爆だけで足りるだろうか?問題を完全に終わらせるために我々は政治的一歩を踏み出すべきである。アサドの退陣は不可欠である。ジュネーブでこの問題で合意がなされた。ジュネーブ条約が実行されることを望んでいる。
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( 翻訳者:松井友紀 )
( 記事ID:35529 )