2013年に起こったゲズィ運動の際、ハタイ県で亡くなったアブドゥッラー・ジョメルトさんに関する裁判で醜聞が起きた。裁判中に判事が居眠りをしたことが大きな批判を呼んでいるのだ。裁判の傍聴人らがこの光景をソーシャルメディアのアカウントから拡散した。また同じくゲズィ運動の際にアンカラで死亡したエトヘム・サルスュルクさんの裁判の審理中にも、検察官と裁判官が居眠りをしている。
ハタイ県でのゲズィ公園抗議活動の際に、催涙ガスのカプセルが頭に当たり死亡したアブドゥッラー・ジョメルトさんの死に関する裁判が、安全保障上の問題から選ばれたバルケスィルで今日(4日)始まった。警察が厳重に警戒する裁判所に来たアブドゥッラー・ジョメルトさんの母親ハティージェ・ジョメルトさんは、「私は病気を患っていますが正義のために、また責任を問うためにバルケスィル県まではるばるやってきました」と述べた。悲しみにくれるハティージェさんを、ゲズィ運動の際にエスキシェヒル県で亡くなったアリ・イスマイル・コルクマズさんの母親、エメル・コルクマズさんが支えていた。
2013年6月2日の夜、ハタイ県におけるゲズィ公園抗議活動で、アブドゥッラー・ジョメルトさんは警察の装甲車から投げられた催涙ガスのカプセルが頭に当たり死亡した。法医学研究所の報告により、ジョメルトさんは頭に散弾型ガス弾が当たったことで死亡したことが明らかになった。これについて検察側が始めた捜査は2014年4月14日に完了した。ハタイ第二重刑裁判所によって受理された起訴状によって、被告人である警察官A.K.については、「未必の故意による殺人」の罪で25年の禁固刑の求刑を訴えた。
■裁判はバルケスィル県に移送
しかし、公聴会の初日である2014年7月4日より前に、被告人である警察官A.K.の弁護士は、安全上の理由から裁判を他県で行うよう検察に申し出た。ハタイ県と県警が同じ趣旨の意見を述べたことを受けて、検察は5月27日に第2重刑裁判所にファイルを請求した。ファイルは移送の決定を下す法務省に送られ、同省はファイルを最高裁判所に送った。最高裁第5刑事課はこれを認め、本件の審議場所を1200キロメートル離れたハタイ県のバルケスィルに変更した。
バルケスィル第2重刑裁判所では、事件から約17か月後に行われた裁判を前にして、警察が町の入口や裁判所周辺を厳重に警備した。バスで裁判所にやってきた人々は身分証の提示が求められ、裁判所に用事がある者も、厳重な警備の下、中に入れられた。
■アリ・イスマイルさんとベルキン少年の母親の姿も見られた
裁判のおよそ1時間半前、イズミルへの道の途中にある裁判所の建物に、まずアブドゥッラー・ジョメルトさんの母親ハティージェ・ジョメルトさんと、エスキシェヒルのゲズィ公園運動の際に殺害されたアリ・イスマイル・コルクマズさんの母親エメル・コルクマズさんが現れた。裁判所の前に集まった集団から激励を受けたハティージェ・ジョメルトさんは、「私は年老いた、病気を患う身です。しかしアブドゥッラーのために、皆さんのために、正義のために、また責任を問うためにバルケスィル県まで来ました。神よ、これらの殺人を犯した者、これを命じた者を呪い、罰し給え。私たちの子供は国の子供ではないのですか?私は息子を兵士に育て上げたのです」と述べた。
悲しみに暮れるハティージェさんを支えたエメル・コルクマズさんは、「私の息子アリ・イスマイルの裁判の審問はエスキシェヒル県で行われる予定でしたが、実際はカイセリ県で行われました。しかし何百万人もの人が私たちのそばにいます。私たちを支援してくれるみなさんは、どこにもいます。支援してくださる皆様に感謝します」と述べた。
アブドゥッラー・ジョメルトさんの母親ハティージェ・ジョメルトさん、父親のエディプ・ジョメルトさん、弟のザフェル・ジョメルトさん、兄のアドナン・ジョメルトさん、妹のファトマ・カルタルさんと、アブドゥッラー・ジョメルトさんが亡くなった後に生まれ、アブドゥッラーさんの名を付けられた甥で生後10ヶ月のアブドゥッラー・ジャン・カルタルちゃんを支援するため裁判所に集まった人々には以下のような人物がいる。
・アリ・イスマイル・コルクマズさんの兄ギュルカン・コルクマズさん
・イスタンブルで行われたゲズィ運動の際に怪我を負い、269日間の昏睡状態の後に亡くなった少年ベルキン・エルヴァンさんの母親ギュルスュム・エルヴァンさんと父親のサーミ・エルヴァンさん
・ハタイ県の中東工科大学(ODTÜ)の抗議支援運動の際に去年転落死したアフメト・アタカンさんの父親アリ・アタカンさん
・アンカラで去年ゲズィ運動の際に亡くなったエトヘム・サルスュルクさんの母親サイフィ・サルスュルクさん
・CHP副党首セズギン・タンルクル氏、CHP国会議員のヒュセイン・アイギュン氏、ギョクハン・ギュナイドュン氏、マフムト・タナル氏、メルダ・オヌル氏、ナームク・ハヴトチャ氏、ネドレト・アコヴァ氏
ゲズィ運動の遺族と国会議員のほかにも、多数の県弁護士会会長と弁護士、また様々な政党や市民集団に属するグループが裁判所の建物の前に集結した。この集団は彼らの想いをスローガンに寄せて持ってきた。
裁判所の中庭の扉から中に入ったアブドゥッラーさんの兄アドナン・ジョメルトさんと警察との間に、短時間の口論が起きた。アドナンさんは、「私の弟を奴らは通りの真ん中で殺した。どうせよと言うのか、なぜ我々をそれほど恐れるのだ」と叫んだ。その後ジョメルトさんの遺族と弁護士は裁判所の建物内に入った。
■ジョメルト兄はコーランの言葉を引用
裁判の審問が始まる前に報道関係者と話した兄のアドナン・ジョメルトさんは「私は裁判長にムスリムであるか否か尋ね、(彼がムスリムであったなら)コーランに誓うよう要求します。こうすることで、彼らが様々な場所からくるだろう圧力に抵抗し、また公正な裁判をすると信じることができます。なぜなら我々は遺族として他の何でもなく、正義を望んでいるのです」と述べた。
■そして判事居眠り
ジョメルトさんの裁判が行われる中、判事が居眠りしたことは大事件となった。裁判の傍聴者はこの光景をソーシャルメディアの各アカウントに投降した。法廷で居眠りをした判事は、ざわめきと笑いが起こる中、ひとりの市民の警告で目を覚ました。判事は目を覚ますと「失礼しました」と述べたという。
写真が撮られたことに気づいたバキ・チャルシュカンさんがこれを裁判長に伝え、写真を撮った傍聴人は警察官によって法廷を追い出された。弁護士らはこれに抗議し、判事が居眠りをしないよう裁判所に判事を「注意」するよう要求した。
■アリ・イスマイル・コルクマズさんの兄の発言
ゲズィ事件の際にエスキシェヒルで襲われて死亡したアリ・イスマイルさんの兄ギュルカン・コルクマズさんは弁護士で、この裁判にも弁護士として発言した。弟の裁判は安全保障上の理由でカイセリ県で行われたが、一方ムーラで殺害されたシェルザン・クルトさんの裁判は、安全だとされてエスキシェヒルで行われたことに言及し、この状況さえ矛盾を露呈していると述べた。
これに加えて、弁護士のギュルカン・コルクマズさんは、弟のアリ・イスマイルさんの死亡事件に関係する全員がカイセリ県で証言を行っており、法が一つであるならこの事件においても同じように扱われるべきだと述べた。
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( 翻訳者:松井友紀 )
( 記事ID:35767 )