イラクのウサマ・アル=ヌジャイフィー副大統領は、テロ組織PKKの兵士が(イラク北部)モースル県の町スィンジャールとラビアの間にある村々を襲撃し五名が死亡、数十名が負傷したと発表した。
ヌジャイフィー副大統領は副大統領室で会見を開き、「届いた情報によると、PKK(クルディスタン労働者党;非合法)は、スィンジャールとラビアの間にある、ウムル・ハバリ、ウムル・セベヤ、アル=ジャヒシュ等の遊牧部族が暮らす村を武装して襲撃し、五名を殺害、数十名を負傷させた。またPKKの兵士は数多くの住宅を焼き払い、家畜を殺した」と説明した。
襲撃が「残忍」であったと話すヌジャイフィー副大統領は、「今回の血の襲撃事件に、法律やシャリーアによる肯定の余地は一切ない。それどころか、全ての人間の価値を脅かす行為だ」と強く批難した。
またヌジャイフィー副大統領は北イラククルド人自治政府に対し、この事件の速やかな捜査の開始、襲撃犯の逮捕と処罰、そして今回のような事件が二度と起きないよう対策を取ることを要請した。
ヌジャイフィー副大統領はまた、モースル県のアスィル・アル=ヌジャイフィー知事に対しても、北イラククルド人自治区域の治安責任者と事件について協議するよう指示したと発表した。会見によると、アスィル・アル=ヌジャイフィー県知事は事件の捜査のため、クルド人側の関係者と接触しているという。
PKKはかつて、スィンジャール郡からスレイマーニイェ県にまたがる地域に州(カントン)を設ける必要があると主張し、イラク国内のクルド人からは強い批判が出ていた。しかしPKKはその後、シェンガルで会議を開催し、ヤズィーディーの地域に州(カントン)を設け、州議会の議員選挙も行われたと報じられていた。
マスード・バルザーニーが党首を務めるクルディスタン民主党は会見で、PKKがシェンガルで州建設の試みたことは、北イラククルド人自治地区の法律や民意に対する不敬行為だと批難した。
一方トルコのメヴリュト・チャヴシュオール外相は、「PKKがイラクのスィンジャールで活動しているのは、イラク国境全体やペシュメルガ軍、イラク中央政府を好んでいるがためではなく、まさにその地域を手に入れるためである。民主統一党(PYD)、人民防衛隊(YPG))、PKKは手を組み、コバーニー地域でシリアの一部地域を手にし、分割を目的に一丸となって活動を行っている」との見解を明らかにした。
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( 翻訳者:池永大駿 )
( 記事ID:36732 )