サウジアラビア:教科書における「写真」は宗教違反か?
2015年03月08日付 al-Hayat 紙


■写真は「一神教」として「違法」だが科学として「合法」

【リヤド:ウマル・ドゥビーバーン】

サウジアラビアの教育カリキュラムについて議論が続く中、サウジ人生徒の思考に矛盾をきたす「写真」の捉え方が注目を浴びている。中学3年で用いる「一神教」の教科書が写真を宗教的に違法と教える一方、科学の教科書では説明補足のために人間や動物の写真が多く掲載されているからだ。本紙は、世界が、日用品となった「カメラ」が映す変化のただ中にある一方で、本件が解決していないことについて尋ねるため、教育省のムバーラク・ウサイミー報道官にコンタクトを試みた。しかし彼は応じず、電話メッセージでの回答も得られなかった。

「一神教」の教科書では、「写真による映像」についての様々な法的見解が見られる。写真を違法とする次のページでは写真の合法性を含めた逆の見解が見られ、アニメーションのイラストが「禁じられた、大罪の一つ」とされる一方、同書の解説の下には「写真の禁止:人間や動物のアニメーションのイラストは禁止、木や山などの創造性がないもの(物)の写真やイラストは認める」との注意書きがある。教科書は写真だけでなく、石壁描やデッサン、彫刻を、イメージ(像)を記すという点で罪と見なす。しかし身分証明書やパスポートなどに使われる必要な写真については、提示して使用するのであれば「合法性」を妨げないとする。また、カメラで撮影された創造性のないものの写真については、「ケース・バイ・ケース」とする。

本紙は、最高ウラマー委員会の法的見解を掲載したインターネットのサイトに注目した。ある古いファトワーは、アニメーションのイラストを含めたあらゆる映像を禁止する。あらゆる専門委員会は、市民としての身分証明やパスポートといった必要なケースを除いて写真は排除されねばならないと述べる。この議論は、現代において携帯電話がカメラ機能を備えたことを背景としたもので、長く支配的な見解である。サウジ人の若者の多くは、写真共有アプリ「インスタグラム」を使用しており、同サービスのアカウント数の多さは世界第4位である。

イスラーム法学評議会のメンバーであるハサン・ブン・サファル博士は、法学者らの本件にかかわる見解は分かれており、例外なく禁止する者もいれば、公式及び教育界の見解にあわせて認める者もいること、中には、自身も虚偽を含まない形で写真を投稿する者がいることを強調した。同博士は本紙に対して、「写真自体は合法であり、娯楽目的であっても家庭内に共有されるのであれば、その行為と目的に問題はない。正しい観点から生じた写真が、現在は禁じられた不健全なものになった」と述べた。

また、タブーク大学臨床心理学科の主任であるファラーフ・アナズィー博士は、「理性の一貫性にかかわる概念が正しく機能していないことが示された。人々は理性の中に多くの矛盾を抱え込み、他者から孤立し続けている」と指摘した。同博士は本紙へのインタビューの中で、「写真を一定程度取り扱うことは、個人レベルではさほど問題を引き起こさないだろう」と述べ、文化的環境にかかわる急速な変化が、多くの矛盾や見解の濫立を生じさせていることを指摘した。また、写真の取り扱いをめぐる意見の相違は、学校生徒の理性における内的崩壊の兆候ではないと説明した。

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( 翻訳者:メディア翻訳アラビア語班 )
( 記事ID:37071 )