イスタンブル市議会3層トンネル計画を承認、議場混乱
2015年03月11日付 Radikal 紙


ダウトオール首相が先日明らかにした、ボスフォラス大橋(第1ボスフォラス大橋)とファーティフ・スルタン・メフメト大橋(第2ボスフォラス大橋)に続く、ボスフォラス海峡の海底を通る3層の地下鉄・自動車道トンネル通過計画が11日、イスタンブル広域市議会で議論された。

9日(月)にイスタンブル広域市議会の委員会へ送られた計画が今日(11日)、都市開発整備委員会と公共交通委員会の共同報告という形で議題に取り上げられた。

共和人民党(CHP)はこの議題が市民団体に諮られることなく、運輸通信省とイスタンブル広域市の職員らによって計画・実行されようとしているとして、この議題を差し戻すよう求めた。CHPのこの提案は、イスタンブル広域市市議会で、公正発展党(AKP)の反対多数で否決され投票に掛けられた。CHPは反対票を投じたが、賛成多数で可決された。1時間以上続いた議論を経て、AKP所属議員が多数を占める中投票に掛けられた。これに対し、会派での根回しはなかったにも関わらずCHP会派の多くは市議会を放棄し、他の条項の投票に参加しなかった。

レシャディエ・チャムルク交差点を結ぶ道路から第2ボスフォラス大橋につながる地下道は、6.5キロメートルほど海底を通り、海面から110メートル、海底から31メートルの深さだ。トンネルには往路1車線、復路2車線の自動車道と、中央にレールウェイが敷かれ、ソウトルチェシュメからギョズテペまでが結ばれる。第三空港、第三大橋へもアクセスするこのトンネルは金角湾の上を通過し、ソウトルチェシュメからアルトゥンザ-デ、ガイレッテペ、ストゥルジェ、ジェヴィズリバーを経由し、インジルリまでの31.5キロメートルの線路に13駅が敷かれる予定だ。インジルリからソウトルチェシュメ間を45分で結ぶ地下鉄線は、1時間片道で7万5千人、1日で150万人の乗客が利用すると見込まれる。地下鉄は金角湾の上を通過し、地下自動車道は長さ16キロメートルで、このうち6.5キロメートルは海底を通る。地下鉄の延長は31キロメートルで、総事業費は約35億ドルだ。BOT方式による事業で、建設企業には交通量が保証される。2車線がヨーロッパ側、2車線がアジア側に向かうトンネルは高さ17メートルとなる予定だ。

イスタンブルボスフォラス海峡地下鉄・自動車道開通計画は、イスタンブルのアジア側ではウスキュダル、ウムラニエ、カドゥキョイ、ヨーロッパ側ではベシクタシュ、シシュリ、キャウトハーネ、ベイオール、エユップ、ファーティフ、ゼイティンブルヌ、バクルキョイ、ギュンギョレン市の計画にも影響するだろう。

報告書は、この計画はイスタンブルの現存および建設予定の路線の積極的活用を目的としており、実現すれば、イスタンブルの両大陸にある重要な歴史地区、観光地、自然公園などにさらに容易にアクセスできるようになると述べている。また、交通経済に大きく貢献し、この提案は公益になると評価された。

■CHP 「命令で議題に上った」

イスタンブル市議会のエルトゥールル・ギュルセヴェル会派副代表(CHP所属)は投票前に、この計画がイスタンブル広域市のカーディル・トプバシュ市長が「イスタンブルの憲法」と表現した10万分の1イスタンブル環境整備計画では見られないこと、報告書では環境影響評価がされていないこと、建設費用試算がされていないことを指摘した。ギュルセヴェル氏はこれらが重要視されていないと述べ、トプバシュ市長の「バス停が場所を変えるなら、市民に問おう」という発言に言及し、「大慌てで作られたこの計画が、命令になったのを我々は目の当たりにしている。この計画は選挙のためのパフォーマンスだ。まったく突然に、選挙前になって注目を集めることはイスタンブルの名を汚す。計画がきちんと話し合われず、経費も明らかにされないまま、噂だけで総事業費35億ドルという計画が、イスタンブルの交通の負担になるかどうかが議論されないまま、議題に上げるのはイスタンブル住民に対し、公平でない」と述べた。同氏は計画に反対している訳ではないとする一方、関連団体や商工会議所や学者らにより十分に議論されないまま、議会に持ち込まれることに対して反発を示し、以下のように述べた。

■企業へ乗客保証

「BOTモデルが政府の負担とならないと主張するのは、安易な考えだ。企業へはどのくらい乗客が利用するかが保証される。もしくは政府が補助金を出すだろう。これは市民に重荷を背負わせるものだ。我々は一方的に流されたくない。このため、提案を撤回し、きちんと議論した上で議会にあげたいと思う。費用を半分に減らす計画に取り組むこと、我々の不安を口にすることが、トルコ共和国に対する裏切りだろうか。あなた方が「我々はこれらについて話し、議論し、誰かに聞きたいとは思わない。我々は正義が何なのか知っている、我々にはこう命令がなされたのだ」と言うのであれば、我々はここで徹底的に反対する」

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( 翻訳者:星井菜月 )
( 記事ID:37099 )