ここ数日の霜や強雨、積雪は、田畑の作物が被害に遭った農民らだけではなく、中央銀行総裁のエルデム・バシュチュ氏の頭をも悩ませている。バシュチュ総裁は、インフレを抑えるために食料の価格も下がる必要があるとしているが、しかしそういった喜ばしいニュースは見られない。
気象総局の発表によると、この2日間(4月11, 12日)は降霜の危険性がまだ続いている。ここ数日間のトルコ全土における強雨や雪、霜は、非常に多くの作物に被害をもたらした。昨年も3月30日夜に霜害が起き、特にアンズとヘーゼルナッツは大きな被害を受け、収穫量が減少した。しかし今年農作物が受ける被害はより酷いシナリオを紡ぎだす可能性があると言われている。インフレの高騰に最も重要な影響力を持つとされる食料価格が、今年も割高になると明らかにされているのだ。エルデム・バシュチュ氏が下降を期待している二桁台の食料インフレ率が、今年も一桁台になるとは予想されていない。
■今年は更に酷い
先週半ばよりトルコ全土を襲った悪天候は、特にエーゲ地方に最も影響を及ぼした。エーゲ地方を襲った降霜と悪天候により、クルミやアーモンド、プラム、ブドウなどが大きな被害を被った。トルコ農業協会代表のイブラヒム・イェトキン氏によると、作物によっては半数が被害に遭っているという。またアナトリア内部ではほぼ全ての野菜・果物が降霜の被害を受けており、ボル県とエスキシェヒル県でも田畑の作物が被害に遭う可能性があるという。昨年かなりの被害を受けたアンズ農家が再び厳しい状況に置かれるであろうと述べたイェトキン氏は、「オルドゥ県とギレスン県では、ヘーゼルナッツの木が危険な状況です。昨年も深刻な収穫量の減少がありましたが、今年は更に酷い状態です。昨年の降霜と積雪がもたらした値上げよりもさらに大きな値上げが起こる可能性があります」と話した。
■タイヤで夜の番
この3-4日間の悪天候による災害は、まだ終息していない。サカリヤ県のヘーゼルナッツ農家はこの状況を以下のように述べている:「通常であれば、3月末にはヘーゼルナッツの木々の葉が開いていました。しかし4月の10日を過ぎても何の変化もありません。山ではヘーゼルナッツの木は雪の下にあります。昨年サカリヤ県は霜により大きな影響を受けました。しかし今晩(4月10日)はさらに酷いことになるかもしれません。農家たちはトラックの古いタイヤを注文しています。今晩、ヘーゼルナッツを守るために畑に古いタイヤが燃やされる予定です。」ヘーゼルナッツの価格は現在1kg当たり17リラ(日本 円でおよそ770円)であると述べた農家は、「この霜の影響が続けば、来年の収穫量も減るでしょう。これもまた価格上昇の一因となります」と述べた。
■チュクロヴァ地域での大雨
気候問題以外の理由から起こる価格高騰もまた、消費者の懐を苦しめている。田畑で1kg当たり2リラのジャガイモの価格は、家庭に届くまでに5リラとなっている。ネヴシェヒル農業会議所の代表であるヒュセイン・アルトゥヌシュク氏は、中間業者によって不正が行われていると述べる。トルコで消費されるジャガイモの30%がネヴシェヒル産であると述べたアルトゥヌシュク氏は、「価格高騰における他の理由として、今年チュクロヴァ地区(地中海に面したトルコ中南部の地域)における穀物の収穫が遅れていることが挙げられます。アダナ県やハタイ県といった、最初の収穫が行われた生産の中心地で、洪水が田畑を襲いました。4月末、または遅くとも5月5日頃までには、新しい生産物が確保出来ることから価格が下がる可能性があります」と語った。
■気象総局、Twitterから警告
これらの災害から受ける被害を最小限にとどめるために農家が懸命な努力をする一方、農業保険共同基金(TARSIM)の職員らも奮闘している。また、止まるところを知らない危険に対し気象総局もTwitter上で警告を行っている。総局は以下のようなツイートを行っている:「金曜朝方より、ボル県、カスタモヌ県、カラビュク県、ビレジキ県、ウシャク県、キュタフヤ県、コンヤ県、アンカラ県、ブルドゥル県で農作業を行う方々は、軽い降霜に注意が必要です。また4月10日深夜から11日土曜日、12日日曜日朝にかけてマルマラ地域南部と東アナトリア地域の南西部で軽い降霜、黒海西側の内陸部、アナトリア内陸部、エーゲ海地域内陸部、湖水地方でやや強い降霜、各地域の高度の高い地域でも強い降霜が見込まれています。」
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( 翻訳者:木全朋恵 )
( 記事ID:37282 )