近年最も驚愕のスキャンダルにイランが揺れている。テヘランで事故を起こした黄色のポルシェ車内から、政府に近い宗教関係者の孫と愛人が遺体で発見されたのだ。
2009年以降、イランに対する国際的制裁措置が取られた結果、イラン国内では外国や政府と強いかかわりを持つ一部有力者が、禁輸措置の周囲で動き回り、富裕化していった。
トルコとのかかわりが明らかとなった若き実業家バベキ・ゼンジャニ氏もその一人だ。だが富裕化したのはこうした抜け目のない若者達だけではない。彼らを手助けする政府関係者の中にも富裕化の恩恵を受けた人々がいた。そしてもちろんそうした人々の子弟も…。
ソーシャルメディアInstagramの‘Rich Kids of Tehran(テヘランのリッチな子供たち)’というアカウントでは、イランのような閉鎖的な社会にありながらも、富裕層の子女らがまったく異なる暮らしを送っていることをあらわす写真がシェアされていた。
そうした人生を送っていた若者の一人が、先週テヘランのバーダッド通り(訳註:バーダッド通りはイスタンブルにある通りで、東京で言えば青山通り)とも言えるヴァリ・アスル通りで事故を起こしたイエローのポルシェ・ボクスターGTS車内で死亡したムハンマド・フセイン・ラッバーニ・シーラーズィ(21)だ。さらに問題なのは運転していたのがシーラーズィ本人ではなかったことだ。
■別の女性と婚約していた
ワタン紙のウール・コチバシュ記者の報道によれば、事故で死亡したもう一名は運転席にいたパリヴァシュ・エクベルザーデ(20)という若い女性だった。
時速250kmで走行中、街路樹に衝突し車内で死亡した人物が明らかとなるや、イラン中が揺れた。シーラーズィは政府に近いアヤトラ(意見書フェトヴァを出す業務に携わるシーア派の有力宗教指導者)の孫だったのである。さらにはパリヴァシュとは別の女性と婚約中だったことも明らかになった。
親族以外の若い男女が一緒にいることが禁じられているイランで、深夜のひと時、この若いイラン人が禁断の愛とともに、どうしてポルシェに乗ってドライブできたのだろうか。制裁の中で、市民が息することすら困難とばかりにもがいている一方で、なぜ一部の人間だけがこれほど豪奢な生活を送ることができたのだろうか?
ソーシャルメディアがこうした疑問や政権批判で埋め尽くされると、イスラム学者たちもこの状況を無視することができなくなった。
■トルコでバカンスも
テヘランでは平均的な中流家庭の娘ながら、禁断の愛の報酬により豪華な生活を送っていた若いイラン人女性は、そうした暮らしぶりをあらわす写真を、25800人ものフォロワーをもつInstagramアカウントでシェアしていた。そこにはシーラーズィと過ごしたトルコでのバカンスの思い出の写真も含まれていた。
■「泥棒行為をやめよ」
イランの宗教指導者ハメネイ師は、事故後の会見で、「富裕者の子弟の一部が外で高級車を乗り回し、街中に心理的な不快感を生み出している。」と語った。ハメネイ師は、「泥棒、泥棒と叫べば、窃盗を防ぐことができるものだ。皆、不正があると言うが、誰も必要な対策をとっていない。政府はこうしたことに、『やめよ』と言わなければならない」と述べ、政府に警鐘を鳴らした。
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( 翻訳者:原田星来 )
( 記事ID:37432 )