サリフ・ムスリム氏は、イタリア政府の招待に応じてローマで会談を行っているテロ組織クルディスタン労働者党(PKK)と関係のあるシリアのクルド民主統一党 (PYD)の指導者であり、本紙に対し「トルコの南の国境にクルド国家を建設する」という懸念に関して行った会見で「我々にクルド国家を建設する計画は無い。この手の論説はただ一つの目的があり、それは地域でのクルド人、アラブ人を互いに敵対させることだ」と述べた。
PYDはタル=アブヤドをイスラム国(IS)の手から取戻し、今後ラッカへ進む予定である。このPYDがトルコ-シリア国境でクルド回廊地帯を建設しクルド国家の基礎を建設するという論評に対して、PYDのサリフ・ムスリム指導者から回答が来た。サリフ・ムスリム指導者は本紙に対して「クルド国家建設計画はない」と述べた。ムスリム指導者はISがトルコ-シリア国境での受け入れがたい蛮行に及んだと述べ、「PYDがタル=アブヤドを取り戻した後、トルコ政府はトルコの南の国境線でクルド国家が建設されるという懸念を増した。これをどう評価するか」との質問に以下のように答えた。
■目的はトルコ-アラブの敵対化
「早速申し上げたいのは、我々にクルド国家を建設する計画は無いということである。アッラーが、シリアのクルド人をトルコ国境に住まわしただけのことだ。その地域にはクルド人も暮らしている。どうしろと、トルコ国家が我々を不快に思うからと、我々の土地や祖地を放棄しろというのか。トルコの報道でPYDがISより危険であり、PYDの目標はクルド国家を建設することであるという一部報道を目にした。これらは非常に恥ずかしく、根拠の無いことである。我々の懸念は自分自身を、人々自身をISの暴力から守ることである。この手の論説はただ一つの目的があり、それは地域でのクルド人、アラブ人を互いに敵対させることだ。あの土地は、クルド人、アラブ人、テュルクメン人といった異なる人々の集団が兄弟同様に暮らすところである。したがって、アンカラ政府の異なった、意図的な発言を理由に心配する必要は無い。見よ、我々はその土地を手に入れ、トルコへタル=アブヤドから向かった人々を再び家々に帰したのだ。これのどこが悪いのだろう か。」
■会談が行われなかったのは問題
サリフ・ムスリム指導者は、連合軍が、地域で特にISに対して最も信頼性の高い団体としてPYDを認めているため彼らを支援していると繰り返し、ヨーロッパもまた PYD自身を信用していると主張した。ムスリム指導者は正式な招待を受け一行と共にイタリアにいるとし、「トルコ外務次官もイタリアにいる。彼自身との会談や談話を要求したか」との質問には次のように答えた。「いや、会談はしなかった。トルコ側からも会談の要求は無かった。私は会談が行われなかったことを大きな問題と見ている。我々はいつ何事に関しても会談の準備がある。トルコ側が我々と会談を望むなら、その準備はできている。」
PYD共同代表のサリフ・ムスリム氏、コバーニー地区執行委員代表エンヴェル・ムスリム氏、PYDの武装女性部隊であるYPJの司令官ネスリン・アブドゥラー氏はイタリア議会で一昨日行われた記者会見に出席した。2月にフランソワ・オランド大統領とエリゼ宮で会談した一行の中にいたネスリン・アブドゥラー氏は、昨日、パリ同様に、イタリア議会でも軍服を着ていた。
■YPJの女性司令官がイタリア議会で……
YPJ女性司令官ネスリン・アブドゥラーは、イタリア議会での発言で、アラブ人、テュルクメン人を地域から追い出し、そこへクルド人を住まわせたという主張を否定した。クルドのニュースサイトによると、アブドゥラー氏は、「地域の占領には、そこに住んでいる人々を追い出すような目的は無い。人々へは戻ってくるようにすでに呼びかけがなされており、大部分は戻り、これからも帰還が続くだろう。人々の日常生活への要求に対応している」と述べた。
記者会見では、PYD委員会と共に、イタリア議会外務委員会の一員であり、左翼・エコロジー・自由党(SEL)党首であるエラスモ・パラッゾット氏、欧州議会議員のクルツィオ・マルテセ氏、NGOウン・プント・ペル代表マルティナ・ピグナッティ氏が加わった。
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( 翻訳者:八木美保 )
( 記事ID:37943 )