こうした薬物がもたらす身体的な影響としては、瞳孔の拡大、体温の上昇、動悸、暗視、かゆみ、食欲減退、血圧の上昇、震え、頭痛、吐き気、発汗、昏睡などが含まれる。こうした薬物は肉体的症状に加えて、意識や精神にも大きな影響を与え、妄想やめまい、自制力の消失、うわごと、人格の衰退、判断能力や知性の低下などをもたらす。〔‥‥〕
この薬物の使用は極めて危険であり、人格障害や鬱症状、思考の混乱などを引き起こす。この鬱症状は死や自殺行為なども引き起こしうる。若者の自殺件数がなぜ増加しているのか、その原因を探るだけで十分だろう。若者の間で麻薬の濫用が増加していることが、自殺件数の増加の一つの要因となっていることが分かるはずだ。
21歳のマルヤムはまさに、合成麻薬の過度の使用による妄想の影響で、自殺を図り、九死に一生を得た若者の一人である。彼女は麻薬の使用後に起こる感情や妄想について、次のように語っている。
麻薬を吸うと、いつも馬鹿げた考えや妄想が私を襲いました。〔麻薬を〕使うと、しばらくの間、頭のなかは空っぽになりました。気分は良くなりましたが、しかししばらくすると、再び恐怖に襲われました。誰かが私の後ろに立っていて、私を苦しめようとしていると感じていました。いつも体が震え、集団でいるときも、その人物が私の後ろや部屋の角に立っていて、私を見ているように感じていました。その人物の影が見えて、その姿を見てやろうと振り返ると、消えてしまう、といったこともしばしばありました。夜は恐怖から眠ることができませんでした。私は引きこもりになり、家族とはいつもけんかばかり。誰も私を理解してはくれませんでした。
そんなある日、私はすべてから切り離されてしまいました。私はすべてに疲れ果ててしまいました。友人の視線にも、家族とのけんかにも、いつもの恐怖心にも。これ以上生きるのはやめようと、私は決心しました。私がいなくとも、私が困ることはなく、そればかりか私自身にとっても、また私の周りの人たちにとっても、よいことでした。私は麻薬を吸いました。その状態なら、すべてがラクにできるということを、私は知っていたからです。そして実際にそうなりました。非常に大きな勇気が湧いてきました。私はカミソリで自殺を図りましたが、家族がタイミング良く私を助けにきてくれたお陰で、私の命は救われました。意識を取り戻すと、どうしてあんなことをしたのか、私には信じられませんでした。
すでに指摘したように、麻薬の使用は人の意識に直接影響し、ときに21歳の女性の事例のように、自殺や死を招くこともある。麻薬中毒は、中毒者自身の無知のために生じてしまう、一種の病気だと考えることが必要である。それは麻薬の使用によって、体の生命メカニズムが自然のバランスを失ってしまうという病気なのだ。
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( 翻訳者:IS )
( 記事ID:38162 )