イスタンブルに手をだすな!
2015年07月15日付 Cumhuriyet 紙
イスタンブル・タクスィム広場
イスタンブル・タクスィム広場

ゲズィ抗議運動の理由となったタクスィム再開発プロジェクトについて、行政裁判所は、自ら下した計画差し止めの判決を取り消し、これによりトプチュ兵舎再建計画が再浮上した。一方で、イスタンブル第二地方行政裁判所は、歴史的半島地区※に再開発をもたらす計画の61項目のうち37項目を差し止める判決を下した。この判決によって、イェディクレ菜園からクムカプまで、数多くの名所の開発が妨げられた。

※訳注:イスタンブル旧市街

■行政裁判所、トプチュ兵舎再建にゴーサイン

タクスィム歩行者化計画はゲズィ公園にトプチュ兵舎再建や公園内の樹木の伐採を含み、そのためトルコ全土に抵抗運動をもたらしたが、行政裁判所第六法廷は、この計画に対して自身が昨年下した差し止め判決を賛成多数で撤回した。

イスタンブル第一地方行政裁判所の執行停止判決をひっくり返した行政裁判所第六法廷は、「専門家チームによる現場検証、有識者による調査実施、以前イスタンブル第六地方行政裁判所の下した差し止め判決の検証などが期待される形で」地方行政裁判所が改めて判決を下す必要があると明らかにした。行政裁判所による撤回に伴い、イスタンブル第六地方行政裁判所が下したゲズィ公園におけるトプチュ兵舎再建の禁止が解除されたことが明らかとなった。この撤回の決定は、昨年末に行政裁判所裁判官の配置換えが行われて以降、裁判官の分布が政府寄りに傾いていた中 で下されたことでも注目を集めている。

イスタンブル第一地方行政裁判所は2013年6月6日、「ベイオール区タクスィム広場の歩行者化計画」に関する開発計画の変更を差し止める判決を下した。 イスタンブル広域市の上告を審議した行政裁判所第六法廷も、2014年4月29日、前審の差し止め判決を支持した。しかし広域市側は、行政裁判所第六法廷に申請し、決定の見直しを求めた。一般的に、この手法は例外的に用いられ、高等司法機関では、物的な過ちを犯さない限り判決の見直し請求を拒否してきた。

■「新有識者」

しかし、行政裁判所第六法廷によって、その判決見直し要求は2015年3月31日付けで承認されたことが明らかとなった。本紙が手に入れた判決文によると、 行政裁判所第六法廷は、以前タクスィム歩行者化計画を差し止めた判決を棄却し、裁判のやり直しに入った。そして、イスタンブル第一地方行政裁判所の下した差し止め判決の撤回を、賛成多数で決定した。この決定において同法廷は、新たな専門家チームによる現場検証、有識者による調査実施を求め、2014年2月21日にイスタンブル第六地方行政裁判所下した判決が当件に矛盾を生みうるとし、この判決の検証が必要と判断した。

■兵舎再建計画

判決では、検証が期待されている(2014年の)差し止め判決がどういったものであったかについて詳細に述べられている。これによると、イスタンブル第六地方行政裁判所は、トプチュ兵舎再建計画を承認した文化財自然保護委員会の決定の撤回に関わる請求を退けた。

■文化財としての兵舎

今回の撤回は、タクスィムのトプチュ兵舎再建を暗に支持する形だ。計画書の中で第一群文化財建造物としてトプチュ兵舎が登録されていることに触れた判決文では、第2863号文化財・自然保護委員会法第六条に「歴史的兵舎」が保護を必要とする文化財建造物であることが「いかなる解釈の余地を残さない形で明確に説明されている」と理由に挙げている。

またこの決定に対して、文化財・自然保護委員会のハビーベ・ウナル委員長やウナル・デミルジ委員は反対を表明している。

■歴史的半島地区にとっての歴史的決定

一方でイスタンブル第二地方行政裁判所は、歴史的半島地区の開発を認める保護目的の実施計画の計61項目のうち37項目を棄却した。この判決により、 イェディクレ菜園からクムカプに至る数多くの名所の開発が妨げられることとなった。またスィルケジ駅は、文化的な目的での利用が決定された。

イスタンブル第二地方行政裁判所は、「歴史的半島地区」に関わる1000の文化財保護推進計画の撤回要求に基づいて開かれた裁判で、(再開発計画等)計61項目のうち37項目を棄却し、7項目について部分的実施の停止の判決を下した。2015年4月24日の判決で差し止め・撤回を受けた主要な計画には、ユーラシアトンネルの出口のあるケネディ通り、歴史的半島地域の交通量を増やす恐れのある道路の建設計画、ショッピングモールとホテルの建設が予定されるトプカプのİETT車両基地の再開発計画、クムカプの魚市場跡でのマリーナ建設計画といったものが挙げられている。詳しくは、以下のとおり。

・歴史的半島地区における車両交通、海岸沿いのケネディ通りに関する道路整備計画が、賛成多数で差し止められた。準備されてきた整備計画が、歴史的半島地区の実情に基づいたものではなく、巨大都市の交通事情に基づいて決定されたものであると述べられた。

・歴史的半島地区に連なるユーラシアトンネルの出口について、「歴史的半島地区の景観の保護よりも、ユーラシアトンネルを通じた交通量の流れの迅速化」が優先されているのが確認された。

・トプカプのİETT(イスタンブル市営交通局)車両基地のある場所は、賛成多数で開発計画の中止が決定された。CHPは緑化区域として利用するよう求める訴訟を起こしている。

・ユーラシアトンネルの出口ルート上にあることから取り壊されたクムカプの魚市場跡におけるマリーナの整備計画が差し止められた。

・世界遺産候補リストに記載され、イェディクレからアイヴァンサライに伸びる城壁について、城壁保護区域内で行われる開発活動に対して差し止め決定が下された。

■文化施設として整備へ

今回、開発計画が部分的に撤回されたのは、スィルケジの鉄道駅、イェディクレの旧国鉄施設、イェディクレの旧ガス工場、ファーティフ区一帯に建設予定だった複数の駐車場、旧市街地区に残る学生寮や職業学校の建造物といった施設だ。行政裁判所は、スィルケジの鉄道駅を文化目的で利用することを決定した。 またイェディクレの旧国鉄劇場と旧ガス工場は建て替えを禁止し、他の施設も観光や文化活動の拠点として整備する方針を示した。

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( 翻訳者:池永大駿 )
( 記事ID:38169 )