クルド問題解決プロセスは、どこに向かうのか?
2015年08月04日付 Hurriyet 紙


トルコは、2009年以降様々な名のもとに実現させようとした解決プロセスにて危機的な日々を過ごしている。スルチで(爆弾テロにより)大虐殺があった2015年7月20日から続く進展と、タイイプ・エルドアン大統領が行った発言は、「プロセスは終了した」という解釈の要因となってしまった。では、ドルマバフチェ宮殿での会見の後初となるノールーズ、つまり2015年3月21日に「終わりに近づいた」という印象を与えたこのプロセスは今日どのような状況なのだろうか?主張されたように終わってしまったのか?それとも新たによみがえらせることはできるのか。アンカラではプロセスの結末に関し何が話されているのかに言及する前に、プロセスにおいて最も重要な要素と現在の状況を見てみる必要がある。関連するすべての立場の人々と我々が行った会話を元に、以下のような様相を浮かび上がらせることができるだろう:

■エルドアン派はHDPに対し烈火のごとく怒っている

解決プロセスの背後にある強力な政治的意向はレジェプ・タイイプ・エルドアン大統領が推し進めてきた。しかし2014年3月21日の地方選挙から状況が一変し始めた。クルド人の政治運動がエルドアン大統領(当時首相)に対し批判的な路線に傾き、大統領制計画にも明確に反対したことは、失望感を生み出した。セラハッティン・デミルタシュ氏が2014年8月10日の大統領選挙でエルドアン氏の対立候補になったことで、双方の間に大いに隔たりができ、エルドアン氏のプロセスへの考えと態度を変えてしまった。この結果エルドアン氏は、ドルマバフチェ宮殿で行われた会議にてその成立を決定された「監査委員会」に関し否定的な態度をとった。6月 7日の選挙にてHDP(国民の民主主義党)が(エルドアン)自身を標的にし、エルドアン大統領が持っている力を総動員して支持したAKPの得票率が41パーセントに留まったことは、大統領サイドにとって忍耐の限界となった。エルドアン大統領は、クルド人が多く住む県における劇的な得票数の減少がトルコ全体の(得票数減少の)平均より上であることに反発を示し、監査委員会の次に、ドルマバフチェ宮殿での会議を拒否した。そして最後に、現在の対話者とのプロセスの遂行は不可能であろうと告げた。

■政府側の怒りはそれほどではない

エルドアン大統領の距離のある態度は政府の限界をも明らかにした。ビュレント・アルンチ副首相が監査委員会に関してエルドアン大統領に異議を唱えたとしても、結果的には大統領の言った通りになった。6月7日の選挙にてAKPは単にクルド人有権者の票だけでなく、PKKとの戦いが不十分なまま留まっていると考える国家主義者の票も失ったことは、政府がクルド政策を推進し始める要因となった。行われうる早期選挙にて、MHPに奪われた票を取り戻すという願望も、厳しい政策が前面に出されることの引き金となった。解決プロセスにおいて役割を担っているAKPの重鎮たちは、プロセスは継続すべきであり、そのためにはタイイプ・エルドアン大統領を説得する必要があると考えている。プロセスに積極的に協力する人の中でヤルチュン・アクドアン氏以外のAKP党員たちは、解決プロセスの結果に関し、エルドアン大統領ほど頑なではないのだ。

■MİT(国家諜報機構)が撤退した

プロセスの最も重要な創始者はMİTのハカン・フィダン事務次官であった。フィダン氏は、オジャラン氏と行った会談により、休戦の基盤をつくりあげるというような、プロセスの具体的な前進を保障した。しかしエルドアン大統領自らによって道を阻まれた短期間の政界進出の試み(訳者注:フィダン氏は先の総選挙で一度立候補を宣言し、直後にそれを取り下げている。)の後、フィダン氏はより国外における活動に集中した。中東における目まぐるしい展開やISとの国際的な戦いに、ここのところフィダン氏は膨大な時間を割いている。MİTの代表者らはイムラル訪問団に留まり機構がもたらす情報でもってプロセスに貢献しているが、オジャラン氏との接触におけるイニシアチブはMİTから公安治安庁(KGM)に移った。

■KGMはプロセスに意欲的であるが…

KGMは最近起こった後退にもかかわらず、解決プロセスの継続を望んでいる。この点においてMİTからの支持はあるものの、政治的意向やトルコ軍に対しさほど影響力を持てていない。

■トルコ軍で反発がなくなる

解決プロセスの間ずっと兵舎に籠り、PKKの問題に対し沈黙しているというような批判はトルコ軍にて頂点に達してしまった。ISとPKKへの軍事介入は、トルコ軍において長い間積もり積もった反発をある程度鎮めた。PKKは一定期間ISに対する戦いに参加し、国際的な世論とアメリカの同情を勝ち取った。トルコ軍はインジルリキ(軍隊用の空港)に関して達した(アメリカとの)合意により、ISに対する戦いではPKKよりも重要な同盟国があることを示した。(ペンタゴンとトルコ軍は新たに動き始めた。)同時にPKKに向けられた「テロ組織」というイメージを再び定着させることを目指している。北イラクにて行われた軍事行動でもって組織(PKK)に対してつくり出した圧力と与えた損害は、解決プロセスが継続する場合、政治的意志の手に強大な切り札を与えた。しかし最新の航空作戦で優れた軍事力をどれほど示したとしても、トルコ軍も、長期的にPKKを後退させ、(PKKが)立て直し、強化することのできないような均衡状態がつくられ、その上で休戦が継続することを支持している。

■イムラルは懸念している

イムラル島にいるアブドゥッラー・オジャラン氏は、4月以降HDP党員らと面談できていない。5月以降解決プロセスに関する会談が中断されている。政府の代表団のみによって訪問されている。ある情報によると、オジャラン氏はHDPの選挙での勝利に喜んではいるが党を強く批判してもいる。ここ半年の進展を懸念している。これに関連してプロセスがどの程度コントロールできるのかということについても不安がっている。KCKが自身の通達に従わず、それによりリーダーシップが問われていることも気がかりであるといわれている。オジャラン氏は、一刻も早く組閣され、プロセスを支持する政治的意向の出現を見たいと望んでいる。

■PKKはHDPを難しくする

ISとの戦争で獲得した基地とアメリカを始め世界中からの支持は、組織(PKK)が強い「自信」を持つ要因となった。シェンガル、テル・アブヤドやコバーニーでのIS に対する軍事的獲得物に加え、トルコにおける山岳部隊と民兵の結成もその自信を煽り立てている。この自信でもって休戦を終わらせ、兵士や警官への暗殺のようなテロ攻撃、道路の遮断、自動車への放火といった行動により、新たなテロの波を形成した。再び武力に向くことにおいては、PKKがHDP、つまり(クルド人運動の)政治的側面が注目を集めることで感じていた不快感も重要な役目を果たしている。HDPがPKKを同一視しなくなるのではないかと不安を募らせ、票の不安から党が政府に譲歩することを責めている。そしてあらゆる面から解決プロセスは最も大きな障害であると見られている。

■HDPは混乱状態だ

外部から党にやって来た社会学者らは、PKKがジェイランプナルとディヤルバクルで警察に向け、法の執行に対し明白な態度を示すことや、襲撃は否応なく非難される必要があると述べた。しかしPKKやKCKの圧力はそれを妨げた。党内でPKKの襲撃に関し意見が分かれている。セラハッティン・デミルタシュ氏とスッル・スュレイヤ・オンデル氏のような幹部が属するグループは、PKKがふたたび暴力に向かうことを懸念している。彼らは、PKKの襲撃によって生み出された世論の反発を強調し、議会内で勢力を拡大し、政治的闘争を打ち出すことを主張している。彼らはPKKがまた休戦を宣言することを望んでいるが、それに対しKCKに近い者は、PKKがトルコ軍の軍事行動に対し、一方的に休戦を宣言することはできないとしている。

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( 翻訳者:足利阿紀 )
( 記事ID:38354 )