トゥズラ皮革工場の化学物質流出、近隣住民に被害?
2015年08月06日付 Radikal 紙


化学技術者連盟は、昨日トゥズラで起きた事故後、危急の事態は脱したと述べるとともに、硝酸ガスを吸い込んだり不調を覚えたりした市民は速やかに近くの医療施設に相談する必要があると警告した。

トゥズラの皮革工業団地にある硝酸(硫酸)生産工場で発生したタンク破損の結果生じたガス漏れに関して、化学技術者連盟・環境技術者連盟の各イスタンブル支部が記者会見を行った。

化学技術者連盟イスタンブル支部執行部のセルカン・キュチュク氏は、昨日トゥズラで起きた事故後、危急の事態は脱したと述べるとともに、硝酸ガスを吸い込んだり不調を覚えたりした市民は速やかに近くの医療施設に相談する必要があると警告した。

■シミュレーションでは硝酸ガスが2.1キロメートル先に到達

キュチュク氏は、トゥズラでの事故の被害区域を算定するにあたり、風速も勘案してシミュレートしたと述べ、「理論上では、事故後1時間以内にタンクから5メートル圏内にいた人には、生命の危険があった。タンクから55~114メートル圏内にいた人には深刻な健康リスクに晒されるおそれがあると考える。また、タンクから2.1キロメートルまで硝酸ガスが到達する可能性がある。この範囲には、風向きも考慮に入れると非常に多くの産業施設や住宅地が含まれている」と語った。

■トルコは産業事故(災害)への備えが不十分

キュチュク氏は事故直後の消防チームらによる消火・救助の方法を批判し、「昨日はすぐさま工場から人々を避難させてしまった。しかし、もし硝酸ガスの状態がいま話した通りで、人々を工場の外へ出してしまうと、ガス濃度の高い空気を吸って、リスクを高めてしまう。そこで採るべき方法は2つある。一つ目は、すべての空調・エアコンシステムを停止して、空気の流入を防ぎながら人々をその場、閉鎖されたエリアで守ること。二つ目は、風上へ避難させることだ」と話した。

また、キュチュク氏は、災害現場で作業したチームがリスクを背負いながら活動したと述べ、「昨日の産業事故は、イスタンブルそしてトルコではこの種の事故後の対応方法がいまだ整っていないことを我々に改めて示した」と語り、次のように続けた。「化学物質による事故を原因とする災害は「二次災害」として定義される。イスタンブルやその周辺は地震の危険がある。昨日はただタンクが1つ破裂しただけだが、地震の後なら100以上の災害も発生しうる」キュチュク氏は、化学技術者連盟をはじめとする専門家団体がチェック機能の構築に無関心だったと批判した。環境技術者連盟イスタンブル支部のメンバーの一人キュブラ・アイチチェキ氏は、トゥズラでの事故は通常の事故ではなく、「大規模産業事故」に該当するとした。

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( 翻訳者:貝瀬雅典 )
( 記事ID:38376 )