クルディさんとその家族の、シリアにおける内戦やイスラム国(IS)支配からの避難のため始まった希望の旅路の結末は、すべての人々の心を打ちのめした。悲しみにくれる父親のアブドゥッラー・クルディさんは、今日(5日)息子のアイラン・クルディくんとガリプ・クルディくん、そして妻のリハン・クルディさんをコバーニーで埋葬した。
ボドゥルムの海岸に打ち上げられた遺体、全世界に大きな波紋を呼んだ3歳のアイラン・クルディくんとその兄と母の遺体が、今日イスタンブルからウルファへ、そしてそこからコバーニーへと運ばれた。葬儀にはクルディさん一家の親類やコバーニーの市民らが参列した。
追悼の祈りを捧げられた母と二人の子どもたちは、その後隣同士に空けられた墓に埋葬された。葬儀の間に撮影された写真等は、参列した人々によりソーシャルメディアで共有された。
■4人の無法者逮捕された
アイラン・クルディくん(2歳)と兄のガリプ・クルディくん(3歳)を始めとする子ども8人を含む12人が亡くなったこの大惨事に関与した組織者として身柄を拘束されていたシリア国籍の4人が、勾留されていた裁判所で逮捕された。
■シリアではこの8ヶ月間で2209人の子どもが死亡
シリア人権ネットワーク(SNHR)は、シリアでこの8ヶ月間に2209人の子どもが戦闘により死亡したと発表した。SNHRによると、アサド政権が1804人、イスラム国やアル・ヌスラ戦線が115人、そして人民防衛隊(YGP)が21人の子どもの死亡原因になったという。
■コバーニーには花がない
シャンルウルファのミュルシトプナル国境に向かった葬儀船団には、公正発展党(AKP)や共和人民党(CHP)、人民の民主主義党(HDP)の代表者らが乗り込んだ。コバーニーでの葬儀にはCHPのセズギン・タンルクル副党首や、アイリン・ナズルアカCHP所属アンカラ県出国会議員、そしてHDPのディレキ・オジャランシャンルウルファ県出国会議員が参列した。ナズルアカ議員は、葬儀後に以下のようなコメントを述べた。「幼いアイランくんの遺体は、おそらく全世界が忘れていたある価値を思い出させてくれました。今日はあの小さな身体とともに、人間らしさも土に埋められた日です。葬儀は悲しみに満ちていました。花が無いために、お墓にはプラスチックの造花が飾られました。葬儀には多くの女性が参列していました。コバーニーでは男性よりも女性のほうが、人口が多いと言われているからです。コバーニーでは貧しさと戦争による血の臭いが感じられます。われわれの願いは、すべての人々が生まれた土地で平穏で平和に生きることができる世界をつくることです。」
■私はこれから誰にバナナを買ってあげればいいのか
アブドゥッラー・クルディさんの姉で、20年間カナダで暮らしている美容師のティマ・クルディさん(43歳)は、アイランくんの母であるリハンさんと1週間前に電話で話したばかりだったと話し、「彼女は私に、泳ぎ方も知らないしこの旅に出ることも望んでいないと言いました」と語った。彼らの死を嘆く伯母は甥のガリプくんが大好きだったものがバナナであること、そして父親のアブドゥッラーさんが今、「一体誰にバナナを買ってあげればいいんだ」と言って泣いていたと話した。
コバーニーにおける葬儀での心が焼かれるような写真が共有された。
妻と二人の子どもを埋葬したアブドゥッラー・クルディさんを、親類らは慰めようとした。
葬儀に参列したCHPのアイリン・ナズルアカアンカラ県出国会議員が共有した写真には、「毎日誰かの死亡を伝えるニュースを聞いているために、墓穴が前もって掘られているようだ」というコメントがついていた。
ソーシャルメディアで共有された別の写真では、幼いアイランくんが同じ服装でボール遊びをしている様子が写っていた。
アイラン・クルディくんを含む12人の遺体が発見されたボドゥルムのアクヤルラル海岸では、今日追悼式が行われた。この追悼式に参列した市民らは、大きな悲しみに包まれた。
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( 翻訳者:指宿美穂 )
( 記事ID:38584 )