トルコは、過去最悪の流血の爆弾テロの舞台となった。選挙まで3週間となり市民団体の参加によりアンカラで計画された「労働、平和、民主主義」集会は流血の事態となった。
アンカラの爆弾テロで発覚した警備の脆弱性に関して反感が増している。スルチとディヤルバクルにおける爆発事件と今回の事件の類似性が関心を集める一方で、世論は 「警察と国家諜報機構(MİT)はスルチとディヤルバクルの虐殺が起きていたにもかかわらず、アンカラへの攻撃の情報をなぜあらかじめ入手できなかったのか?」という疑問に対する答えを待っている。
共和国史上最悪の流血のテロ行為が「政府の目の前で」起きたことは、諜報機関と警備の脆弱性の議論を引き起こした。総合型都市情報・セキュリティシステム(Mobese)と監視カメラがトルコ中で最も多い設置されているアンカラでの爆発と3か月前スルチで起きた自爆テロには多くの重なる面がある。スルチの攻撃をシェイフ・アブドゥッラフマン・アラギョズが行ったと明らかにされる一方、首都を汚した自爆テロ犯のうちの一人がアラギョズの兄であるY.E.アラギョズであるいわれる。この状況は、「国家諜報機構、警察、全情報部署がイスラム国の自爆テロ犯であるという明確な情報をえていたY.E.アラギョスが、なぜまったくチェックを受けずにアンカラに入ったのか?」という疑問を導く。
アンカラの集会に来た人々が持ち物検査がされなかったことも反感を買っている。警察は、ただ集会が行われる予定のスヒイェ広場の入り口でバリケードの安全対策を取っただけであった。しかし集合場所であるアンカラ駅前交差点には何の警察の措置や安全検査も行われなかった。自爆テロ犯2人が体に爆発物を取り付けてアンカラに来たという事実は、警備と情報の空白を衆目にさらした。以下は襲撃に関して回答を待つ疑問である。
―アンカラの中心部に自爆テロ犯はどのように潜入したのか?首都の心臓部において治安はこのように確保されているのか。
―集会の開催が何日も前から知られていたにもかかわらず、交差点でなぜ検査が行われなかったのか。アンカラに来たバスは、街にはいる前になぜ取り調べられなかったのか。
―以前は集会場に2つ以上の検問所が設けられていた。虐殺が起きた集会では検問所はなぜ1つに減らされたのか。
―爆発が起きた駅前交差点には何千人もの市民がいたにもかかわらず、なぜ周りでは安全対策を取り、怪しいと思われる人物に関する措置が行われなかったのか。
―自爆テロ犯は、集会場である駅前の地区の入り口で検査が行われていないことをどこで知ったのか。何日も前から察知し、調査を行っていたのか。
―襲撃が起きた地区と特に駅にあるMobeseカメラは調べられたのか。警備部と情報部は逐一追跡したのか。
―警察と国家諜報機構は、スルチとディヤルバクルの襲撃という前例が起きていたにもかかわらず、集会に向けたテロ活動の情報を前もってなぜ入手できなかったのか。
―事件の3日前に情報部が警察に集会に向けて警告をし、テロ活動の準備があること、対策がこれにより取られるよう求めた覚書を伝えたこと、この文書が真に受けられなかったということは本当なのか。
―襲撃の1日前に「アンカラでテロ活動が行われる」という形で投稿されたツイッターはなぜ軽視されたのか。
■弁護士の報告:いくつかの証拠が無くなった
アンカラのテロ攻撃に関連した警備の怠慢は、事件現場にいた弁護士たちによって報告書にまとめられた。報告書で確かめられたことは以下の通りである。
「3人の弁護士以外の弁護士は事件現場から遠ざけられた。事件現場の広さと物的証拠が目の前で発見された際も、十分な数の科学捜査の専門家と事件現場調査班が派遣されることはなかった。救急車と霊柩車が証拠の上を通過し、遺体や負傷者の元に着いた。救急車はゆっくりと移動した。治安部隊の事件現場と人々への干渉方法は、負傷者への手当を遅らせた。裁判所に勤務中の検察官はいなかった。勤務中の主席検察官代理と話し合った際、現場捜査ではなくただ検死に関心をよせていたと言う。検死の過程で弁護士は立ち会いを妨害された。公式の情報の公開は十分ではない。捜査が、衆目から隠され、いらだちの恐怖と検察官の信頼性の不安によって進められると、公正とはならない。」
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( 翻訳者:須藤夏海 )
( 記事ID:38899 )