EUから毎年発行されているトルコに関する進捗レポートが、11月1日の選挙前に2度発表を延期したことが議論の的となっている。ブリュッセルでの現段階での進捗レポートの発表は11月5日との模様。
EU委員会が、トルコのために1998年より発行している進捗レポートが初めて、「まったく発行できず」議論の的となった。トルコで11月1日に実施される選挙前にレポートの発表が何度か延期されざるを得なくなったこと、延期に至る理由が理にかなっていないことが、この議論をより深めている状態だ。欧州議会の様々なグループから52の議会議員らが、昨日(10月22日)EU委員会に送った、「11月1日以前に発表するように」と求めた呼びかけを含む通達は、EU内においてこの件に関する明らかな遺憾の念があることをはっきりとさせた。
■はっきりとした日時というものはない
実のところ、EU委員会のジャン・クロード・ユンケル委員長に近い作業グループが述べたとおり、「進捗レポートは必ずこの日時に発表される、といったものではなく、これまでもなかった。」レポートの過去10年間に発表された日付を目を投じると、10-11月というシーズンが出てくる。委員会は、2005-2008年においては11月に、2009年 には10月に発表していた一方、2010年には再び11月の発表に戻っており、それ以降のレポートについては10月に発表されていた。このため、発表日時という点で、「従来の発表期間」の内にいることになる。
■2度の延期があった
EUによって提示された最初の発表予定日は10月14日であった。この日時は長いことそうとされていたが、その後突如この日付がふさわしくないとの決定がなされた。理由としては、10月15日の難民危機に焦点があてられたEUサミットが挙げられた。けれども、このサミットは少なくとも6か月前から開催がわかっていたものである。EU委員会は第2の発表日として10月21日を提示した。このようにレポートの発表は、ドイツのアンゲラ・メルケル首相の10月18日の緊急トルコ訪問の後に回されることとなった。10月21日を目前にし、再び発表延期の知らせが届く。今回は「具体的な理由さえも明らかにされることなく、「ユンケル委員長が適当と認めた日時に発表予定」と告げられるのみであった。
■選挙後となった
これらの延期がトルコでの11月1日の選挙前になされていなければ、おそらくこの件はそれほど議論の的になることもなかった。2度の延期、具体的な理由を提示できていないこと、そして選挙直後の11月5日であることは、「EUが進捗レポートを選挙前に発表したくない」とのイメージが形成される理由となった。
■トルコが延期を望んだのか
今回の延期は、EUとトルコ間の難民危機における様々なやりとりのプロセスのちょうど半ばに起こった。難民危機のためにEUに対してEU諸国との切り札を強めていけると信じたトルコ側が、レポートの発表を選挙後に行うことを望んだ、ということもひろく舞台裏では噂されている。トルコ側は9月半ば、まさに毎年のごとく、進捗レポートがまだまとまっていない最初の原稿のいくつかの箇所について不快感をはっきりと表明していた。また、EU側も、 「難民危機に関連して、トルコからこれほど要求が来ているのだから、レポートの発表は相応しくない」とみて延期を適切としたという。
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( 翻訳者:木全朋恵 )
( 記事ID:38981 )