『エルトゥールル1890(邦題:『海難1890』)の映画パネルのAKM(アタテュルク文化センター)での掲示を認めたイスタンブル第二保護委員会が以前、トルコ映画100周年に関連するポスターの掲示に許可を与えなかったことが明らかになった。
『エルトゥールル1890』の映画の広告パネルのタクスィムのアタテュルク文化センターへの掲示が保護委員会の決定の矛盾を露呈させた。イスタンブル第二保委員会は、営利目的ではなく、省が関連しているという理由でもって2016年1月15日までのポスターの掲示を許可した。しかし以前に、トルコ映画100 周年のポスターをAKMに掲示することは委員会によって却下されたが、文化観光省の圧力によって決定を変更させられていた。以前には警察のための交番として利用されていたと言われるAKMの、タクスィム広場を臨む側面全体を覆う大きさのパネルが掲示されたことで、議論がもたらされた。
■許可するとは言ったが…
AKMのポスター掲示に関する議論は初めてのことではない。2014年にもトルコ映画100周年のプロモーションポスターの掲示をAKMに求めたが保護指定建物に損傷を与えうるという理由でイスタンブル第二保護委員会がこれを却下した。その後委員会のメンバー数人の意見が覆され、決定が公表される前に新たな決定が下され、ポスターを一時的に掲示することへの承認が出た。ポスターの取り外しの後2014年12月3日付で新たな決定を行い、プロモー ション目的のポスターの掲示は建物に損傷を与えうるという理由で許可されないことが明らかになった。
■委員会の矛盾した決定が露呈
しかしこの決定からおよそ1年ののち、先月委員会は新たな決定をした。この決定では、『エルトゥールル1890』の映画は省が携わっていること、営利目的ではないこと、そして2016年1月15日まで一時的に掲示することに不利益がないことを明らかにし、映画ポスターの掲示を承認した。
■法的には認められない
第2863号文化遺産保護法の範疇において、保護指定建造物に広告目的でポスターを掲示することは認められていない。イニシアティヴが保護委員会に委ねられたとしても、原則に従い歴史的建造物に損傷を与えうるあらゆる使用を忌避することが盛り込まれている。原則、或いは法において省のイベント、商業目的のもの、または文化的催しの別はつけられていない。このため、イスタンブル第二保護委員会が出した決定が法にそぐわないことが主張されている。アタテュルク文化センターに関して、クルクラーレ県出身の元国会議員トゥグルト・ディベク氏は今年の初めに行った議会質問に担当省が出した回答において、イスタンブル第二保護委員会によって出された決定を以下のように挙げた。
*2012年6月6日付の第498号決定でもって「750-104に位置するアタテュルク文化センターの外壁に工事期間中設置される予定の足場を覆う、景観の保護と安全を目的とする文化と芸術に関する写真と文化観光省、イスタンブル広域市とスポンサー企業のエンブレムが載った、商業的目的を含まない布のポスターが、足場の解体時に取り外されるという条件付きで掲示されることは、第2863号法の枠組みにおいて不適切ではないという決定が、委員会により下された。」
*2014年7月9日付の第2430号決定でもって「750-104に位置する指定登録建物アタテュルク文化センターのタクスィム広場側に面した外壁に政府によって提案されたプロモーションに向けたポスターが建物に損傷を与えない方法で一時的に掲示されることは適当であり、ポスター掲示に関する適用の詳細がのちに委員会に報告されることが決定された。」
*2014年の12月3日付の第2902号決定でもって「750-104に位置するアタテュルク文化センターのタクスィム広場に面する外壁に文化観光省によって提案され一時的に掲示されたポスターが、悪天候による損壊で新調されることに関して、委員会の2014年7月9日付第2430号決定が有効であること、件の委員会の決定によって掲示が許可されたポスターがトルコ映画100周年を終えた後、指定登録建造物に損傷を与える前に撤去されること、またあらゆるプロモーションを目的としたポスターが建造物の外壁に掲示されることが文化遺産に損傷を与えうるという観点から、要求は適切ではないとの決定に至った。」
■フリゲート船エルトゥールル号の物語
AKMに掲示されたパネルによって論議の的となった『エルトゥールル1890』という映画は1890年に600人以上のクルーとともに嵐に巻き込まれ、 日本の領海で沈んだフリゲート船エルトゥールル号の物語と、1985年に215人の日本人をトゥグルト・オザル首相(当時)の指揮でトルコ航空によってイラン=イラ ク戦争から救出した実話をもとにしている。制作はトルコ側は文化観光省、日本側はエルトゥールル号映画共同制作チームが担当している。制作責任は日本の東映、トルコのボジェキ・ヤプムが担っている。
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( 翻訳者:進藤鮎花 )
( 記事ID:39264 )