トルコは、ビザ無しでのヨーロッパ(入国)のため2016年10月までに、(不法な移民の)送還の手続きや、国境とビザの手続きに向けて諸部門を強化し、移民(を取り扱う)施設を作り、ビザに関する政策を変更しなければならない。
ブリュッセルにて先日実現したトルコ―EUサミットで、難民の流入をストップさせることと引き換えに、EUがトルコに提示した項目のうちの一つである、ビザの免除が2016年の10月から開始される。しかし、ビザの自由化は自動的に開始されるわけではなく、「ビザなしでヨーロッパに入国」するためには、トルコが2013年に承認された、「ロードマップ(工程表)」を完了させ、EUによる承認を得る必要がある。
2013年12月16日付でトルコ政府は、EUの領内にトルコから不法に侵入した人物をトルコに送還することを想定したEU再入国協定に調印した。しかし、(この協定の)適用はトルコ国民についてだけ行われ始めた。即ち、非トルコ国民や第三国の国民についての協定は必要な整備の後、2017年に発効されることが(過去に)決められていた。同日、トルコとシェンゲン協定適用地域に向けたビザの緩和のためのロードマップ(工程表)も承認された。
■南キプロスの強調
トルコがロードマップを完了させるためには、非合法な移民の問題についてトルコの官僚制と国境の安全性警備を非常に強固なものにしてゆく必要がある。ロードマップにおける、トルコが「全てのEU諸国」の国民に対してビザの自由化を保障するという条件は、南キプロス・ギリシャ系住民管理地域の問題を浮上させた。トルコが10か月以内に終了しなければならない79のステップのうち、主なものは以下の項目である。
・EUの基準に沿って、生体認証データ、写真、指紋が示されたパスポートがもたらされること。
・ビザやパスポートの手続きにおいて雇用される人物と国境警備員に対して教育プログラムを準備すること。不正対策として倫理規範を作成すること。
・全ての国境に対し、特にEUとの国境に対し教育を受け、能力のある十分な数の国境警備員が派遣されること。必要なIT技術、インフラ、設備が保障されること、特に電動で可動するビデオによる監視、赤外線カメラや他のセンサーシステムがより集中した形で使われること。
・隣のEU諸国との国境管理を強化するために協力がなされること。
・トルコビザ情報システムを発展させ、使用すること。領事館と国境での就労者に対して守秘義務教育を施すこと。
■安全なトルコのビザ
・EUのメンバーでないいくつかの国々に対し、特にEUに対して移民や安全に関する高いリスクを創出する国々に対し、「簡易ビザ」の適用を終了すること。
・より高い安全性を特徴とするトルコビザ・ラベルの使用を開始すること。スタンプ式のビザの使用を終了すること。
・トルコから乗り継ぎを行う乗客用に空港経由ビザの適用を開始すること。
・避難民・難民の尊厳や権利の保護、適切な応対の保障のために必要なインフラと積極的な雇用がなされること。
・難民の流入(合法・非合法)を監視する構造をつくること。データ分析を行う組織を形成すること。不法な移住を可能とするすべての要因が検討されること。密入国業者を摘発するキャパシティを高めること。
・(EUがトルコに送還した第三国の国民を祖国に送ることが出来るよう、)EUに対する非合法な移民の流入の出所となる国々とトルコが自らの再入国協定を調印すること。
・EUの送還要求に対し必要な時に返答が出来るよう、必要とされる部署における雇用を増やすこと。
■ドイツとフランスの総選挙の前にビザ免除は難しい
ヨーロッパの報道機関はトルコに対しシェンゲン協定適用地域へのビザ免除のために与えられた2016年10月という日付に疑いを示している。フィナンシャ ル・タイムズ紙はビザの自由化とEU加盟交渉の加速化の問題がキプロスの問題と結びついていることを述べた。また当新聞によるとヨーロッパの多くの外交官は、キプロス問題が解決されたとしても、EUの首脳たちが7500万人の人口を持つトルコに対し、フランスとドイツの総選挙の前にビザ無しでの渡航を認めるという考えに疑いを示している。イギリスのタイムズ紙も「トルコに対するビザ免除について支払われる代償はドイツ・フランスでの2017年の総選挙の前に沢山議論されるだろう」と述べている。タイムズ紙に答えたEUの関係者は「トルコ人はシリア難民の受け入れ費用のための長期的なメカニズムが作られることを望んでいる。しかし、費用の大きさとは別に、多くの人々は(ドイツ宰相アンゲラ・)メルケル氏がトルコは移民流入を止めることが出来るだろうと信じていることに疑問を抱いている」と述べた。
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( 翻訳者:成田健司 )
( 記事ID:39284 )