アサド政権やロシアがアレッポで行った空爆から逃れてきたシリア人らが、トルコ国境に押し寄せた。
国境沿いの難民キャンプに避難してきた1万人の人々は、月曜日にオンジュプナルからトルコ側に受け入れられることがわかった。シリアでアレッポや北部地帯に行われた空爆は、地域住民の移住を止むなきものとした。1万人近いシリア人が、生活必需品をトルコ側から供給されているシリアのスジュやイーデといった村落に設置された6万人近い避難民を収容できるキャンプへと移住した。昨日(4日)、この避難所でテントの増設作業が始まった。人道支援財団の先導で、職員らが午前中から7ヶ所の難民キャンプで新たにテントの設置を開始したことが伝えられた。昨日から現在までに押し寄せてきた1万人と、この後国境沿いに移住してくることが予想される人々も、トルコへの入国許可がおりるまでは国境付近に設置された難民キャンプに滞在してもらうことが伝えられた。国境線ではまだ大きな混乱は起きていないが、厳重な警戒態勢がしかれることとなった。関係者らによる正式な会見はされていないが、シリア人らの受け入れと生活必需品の供給のため首相府災害危機管理庁(AFAD)の人口移動管理システムが運用を開始できる状態にあることがわかっている。昨年コバーニーから3日間で押し寄せてきた20万人もの人々を、問題を引き起こすことなくトルコに入国させる大きな一助となったこのシステムは、国際的な手順に従って武器の押収や緊急的な水や食料の支援、身元詳細の検索、健康診断、生体認証システムへの登録、そして避難所への移送といったプロセスを含んでいる。
■最短で月曜日
シリア人の国境沿いへの避難が完了した後、彼らを一斉にオンジュプナル国境門からトルコに受け入れること、そしてそれは最短で月曜日になるであろうことがわかった。アンカラから現地を訪れたメフメト・テキナスラン内務省副次官とAFAD職員らで構成された委員会も、昨日オンジュプナル国境門周辺における調査に参加していた。
シリアにおけるアサド政権やロシアによるアレッポや郊外部に向けて行われた空爆から逃れてきたシリア人らは、オンジュプナル国境門へと集まった。管理体制下でトルコ側に受け入れられた避難民らが難民キャンプに移住する一方で、国境の反対側に取り残された待機難民らの列は続いている。アレッポ県に属するアアザーズ村の国境沿いにあるバブッセラムや、トルコとの国境線から約5kmの場所に位置するハラメインキャンプに集まった何千人ものシリア人らは、トルコに通過するための手続きが完了することを待ち望んでいる。
■「国境を通過できなかった」
2日前にマレ村から旅立ち国境へとたどり着いたファトマ・クルビラルさんは、戦闘機が最早無差別に爆撃していることを不満にトルコへの避難を望んだが、滞在許可がおりたものの国境を通過することができなかったと不満を口にした。51歳で5人の子どもをもつ母親であるクルビラルさんは、コンヤで3年間暮らしていたこと、そして娘たちに会うためシリアに来ていたことを語り、以下のように続けた。「長い間子どもたちと離れていたので、彼らに会うためシリアに短期間の予定で来ていました。まさか戦闘機の爆撃に巻き込まれるなんて、知る由もありません。今、再びコンヤに戻ろうとしているのですが、トルコから付与された身分証があるにもかかわらず国境の内側に入れてもらえないのです。職員の方々は、私を国境の中に通してくれると言っていますが、そのためには数日かかると言っています。」
一方で、ロシアの戦闘機が午後からアアザーズ・アレッポ間にある地域を爆撃した。国境線から10km程の場所で起きた爆撃の音は、トルコ側にも聞こえてきた。
■2500人がスルチに移住した
直近の攻撃から4日でトルコに避難してきた2500人のシリア人らが、シャンルウルファのスルチ郡に移住することとなった。ハタイ県のヤイラダー国境に集まりトルコに入国したチュルクメンやクルド、そしてアラブの避難民らの一部は、ここでの手続きを終えた後に首相府災害危機管理庁(AFAD)によってバスでスルチにあるテント村へと輸送された。ここでは健康診断を通過した子どもたちにも、麻疹やおたふく風邪のワクチンが投与される。手続きを終えたシリア人らは、その後職員等によって決められたテントに移住させられる。避難民の一人であるジェマル・タルクさんは、以下のように話した。「トルコには(親族らと)10人で来ましたが、何人かの親戚は歩けないことを理由にその場に残りました。あの暴君たちは昼夜を問わず爆弾を降らせています。もし見える場所で撃ち合いが始まったなら、その場に行ってみてください。そして前線の兵士たちの前に出てみてください。彼らは特に市民や子ども、そして女性たちを撃ち殺しています。暴君たちの力はそう長くはもたないでしょう。短期間で戻れることを願っています。」
■世界は私たちが死ぬのをただ見ている
家族とともにアアザーズから逃げてトルコのキャンプに避難することを望んだが、トルコから受け入れ許可がおりなかったために新たに作られたハラメイン難民キャンプに避難してきたことを語ったアブドゥッラー・アズィズィさんは、さらに以下のように話した。「私たちのまわりは取り囲まれてしまっています。まるで地獄のようです。あちらからはイスラム国が、こちらからはクルドが、そして向こうからは体制とそれを支援するイランが私たちを攻撃してくるのです。空を飛び回るロシアの戦闘機が投下した爆弾は、私たちの家を完全に焼き払ってしまいます。唯一の避難場所であり、唯一の安全な場所がトルコでした。しかし今、トルコさえも私たちを受け入れてくれないというのなら、一体どうすればいいのかわかりません。ここでは人間性というものが失われてしまったのです。世界はただ、私たちが死んでいくのを見ているだけです。」新たに設置されたハラメイン難民キャンプに昨夜到着したと話すアフメト・アブドゥッラーさんは、次のように語った。「私たちにとって唯一の友人、それがトルコです。(私たちシリアが)アラブ語圏であるにもかかわらず、何年間も私たちに食料や衣料品の支援を打ち切ることなく続けてくれました。今、私たちを受け入れてくれないのであれば、そこからわかることがあります。なぜならトルコ人は『受け入れない』とは言っていません。手続きが終われば受け入れると言っているのです。私たちをこのような状況に陥れた人々を、神は必ず見つけ出すでしょう。子どもたちは、イランやロシアに対する憎悪とともに成長しています。いつかその日がくれば、彼らは私たちに対して行ったことの代償を払うことになるでしょう。」
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( 翻訳者:指宿美穂 )
( 記事ID:39816 )