被告96人、IS裁判始まる
2016年02月23日付 Hurriyet 紙


テロ組織イスラム国のトルコにおける組織化を対象に実施された捜査の一環で10名の逮捕者を含む被告96名に対する裁判の第一審が行われた。

イスタンブル裁判所の第4重罪法廷で行われた第一審にハリス・バヤンジュク、アサード・ヘリフ=アルハドゥル、ムハンメド・ムスタファ・ハッリ含む9名の逮捕者、合計35名の容疑者が出席した。原告10名も出席した第一審を共和人民党(CHP)イスタンブル選出のアリ・シェケル議員も傍聴した。他方、この審理にアラビア語を解する通訳も出席した。

■ 第一審は午後1時40分に開始した

第一審は午後1時40分に開始した。審理室が狭かったことを理由に未拘束の容疑者らは傍聴者席に着席させられた。記者らは審理を立ったまま傍聴した。

■ 隣に座った女性記者に向かって「容認できない。ここを立ちなさい」と叫んだ。

この間、傍聴席に着席した容疑者一名は某女性記者が隣に着席した事に反発を示しつつ「容認できない。ここを立ちなさい」と言った。女性記者はこれを受けて席を立ち、審理室の不備を理由に他の記者らと同様に審理を立ったまま傍聴した。

■ 起訴状が要約されながら読み上げられた

アフメト・ジヴェレキ裁判長は第一審に出席した原告らに口頭で、「容疑者らの意見陳述を聞きます。よろしければ退席されても、審理を傍聴されても構いません」と述べた。これを受けて審理を傍聴する原告10名のうち6名は審理室を後にした。ジヴェレキ裁判長は、本法廷の裁判と容疑者30名に関するその他捜査ファイルを一まとめにしたと明らかにした。

容疑者らとその弁護士らは、起訴状をここで読み上げないよう、起訴状を読んだことを伝えた。しかし、外国籍の容疑者アサード・ヘリフ=アルハドゥルとムハンメド・ムスタファ・ハッリは起訴状が自分達に通知されず、罪状が何であるか知らなかい事を通訳を通じて伝えた。ジヴェレキ裁判長は、書状が翻訳に回され、彼らに通知される予定であると伝えた。その後、裁判官は起訴状を要約しつつ容疑者に向かって読み上げた。

■ ハリス・バヤンジュクは意見陳述を行った

身元確認後に容疑者らは意見陳述に移った。最初に陳述を行った容疑者は、スィリヴリ第9閉鎖型刑務所で拘束されている「エブー・ハンザラ」のコードネームを持 つハリス・バヤンジュクだった。裁判所側は、マドラサでの教育と称し人々をジハードへ扇動した容疑をバヤンジュク容疑者に伝えた。ビスミッラーと唱え、 彼(ムハンマド)に平安あれと唱えながら意見陳述を始めたハリス・バヤンジュクは別個の2つの起訴状が一まとめにされた事に反発を示しながら意見陳述し始めた。彼は、 「この2つの捜査ファイルを一まとめにした唯一の事由は私だ。片方の捜査ファイルではアルカイダのトルコ責任者、もう片方ではイスラム国のメンバーとして私が示されている。通常、一人の男が一組織の指導者であり、もう一つの組織のメンバーであり、これら二つの組織が互いに交戦しているのは、尋常ではなく、不可能だ」と発言した。

■ 捜査ファイルを分けるべきだ

起訴状で互いに交戦している二つの組織の片方では指導者、もう片方ではメンバーとして示されていることを伝えたバヤンジュクは、「私はそれぞれ別の裁判に分けられるよう望む。週一回、講義をしている。これらは非公開でもない、内容を見ることもできる」と述べた。

■ ウィキリークスの文書が提出された

「警察が私に関して何の苦情があるのかは知らない」と言ったバヤンジュクは裁判所にウィキリークスの文書を提出し、「警察が我々を対象に捜査作戦を実施した後、この文書をアメリカの某当局関係者が暗号を付して書いたそうだ。文書では、警察がトルコで捜査作戦を実施し、拘束されたいかなる者もアルカイダのメンバーではなく、一年後、全員が釈放されるだろうと書いたそうだ。警察は手元に証拠がなくても組織に罪をなすりつけ、連行する事が出来るのだ」と語った。

■ 「検事は起訴状で我々の信仰を説明している」

「ムラト・チャーラキ検事は起訴状で我々の信仰を説明している。次にイスラム国とアルカイダが平行関係にあると述べている」と発言したバヤンジュクは、民主主義を否認している容疑についても回答した。

彼は「これは私の信仰だ。なぜなら私はイスラム教徒だからだ。支配と権威はアッラーのみに属する。これこそが真正なる宗教だ。人々は分かっていない。しかし、 民主主義では『支配と統治は民衆に属する』と謳われている。一人のイスラム教徒として現状の民主主義を断じて容認することは不可能だ。何故ならイスラムで飲酒は禁じられている。しかし憲法によれば18歳になった者に飲酒は自由である。イスラムでは姦通及び賭博は罪である。しかし、国は賭博を国民がお金を稼ぐ機会をもつ娯楽として認めている。私がこういった国家を容認することは不可能だ」と語った。

■ 裁判長:「そんな国があるなら行きなさい」

ジヴェレキ裁判長が、「そんな国があるなら行きなさい」と発言したことに対しバヤンジュクは、「今はない。これは私の信仰だ。あなた方のこういった姿勢を理由に人々がトルコから逃げている。人々はあちこちを見わたし、シリアへ向かう。そこへ行けばあなた方は組織のメンバーだと言ってこの場へ連行し裁判にかけるのだ」と返答した。

■ 「そんな秩序があればいい、望ましくはその秩序に公正があってほしい。」

バヤンジュクは、「そんな秩序があればいい、望ましくはその秩序に公正があってほしい。人ごとに異なる公正は望まない。しかし現体制はそうではない。現体制を、民主主義を私は容認しない。容認している人間を偶像崇拝者と見なしている。審理室に入ってどうしてそこにアタテュルクの肖像があるのか。教室に入ってどうしてアタテュルクの肖像があるのか。雑貨屋でパンを買う時どうして札の表面にアタテュルクの肖像があるのか。当然ながら私はイスラム教徒であり偶像崇拝者ではない。現体制を私は容認しない。私はイスラム教徒だ」と発言した。

■ 裁判官:我々に対してプロパガンダを唱えないで下さい。

バヤンジュクが意見陳述を行っている時に間に入った裁判官は、「あなたの発言をイスラム国もしている。違いは何ですか。我々に対してプロパガンダを唱えないで下さい」と発言した。バヤンジュクは、「私とイスラム国の違いとして私は自らの信仰を人々に説いています。イスラム国は信じていることのために戦っている。国の諜報局の報告書があるのに、どうして私を組織と関連付けるのですか。実際、私の方が問わなければなりません」と語った。

■ 「審判の日に私は異議を申し立てるつもりだ」

スルチュ襲撃後に国民の民主主義党(HDP)のセラハッティン・デミルタシュ共同党首が行った発表をも批判したバヤンジュクは、「スルチュで爆発があった後、彼は我々の機関誌に言及した。

2日後に我々に対し捜査作戦が実施された。私は投票しない。私は民主主義を容認しない。私はイスラム教徒でありシャリーアを欲する。我々の信仰が平行関係を示しているからといって、我々があの組織のメンバーである事を意味してはいない。私はいかなる組織とも無関係だった。ただ自分たちとは異なるということで、既存の過激組織に私を結びつけ、連行したのだ。彼らの罪を許すことは出来ない。審判の日に私は異議を申し立てるつもりだ」と述べた。

逮捕前、警察が自身に対して「PKK(クルド労働者党:非合法組織)がお前を暗殺するだろう、気を付けることだ」と警告したことを伝えたバヤンジュクは、 「私は一カ月の間、隔離されて生活している。刑務所で誰とも連絡を取っていない。安全のためだと言われた」と語った。バヤンジュクが意見陳述を終えた後、 その他の容疑者らが意見陳述に移った。

■ 起訴状が一つにまとめられ、容疑者数が96名になった

イスラム国捜査の一環で作成された二つの起訴状が一つにまとめられた。第一の捜査ファイルでは逮捕者3名を含む容疑者67名が記載されていた。第二の捜査ファイルではハリス・バヤンジュクも名を連ねる逮捕者7名を含む容疑者計30名が記載された。一つにまとめられた捜査ファイルによって容疑者数は計96名に上り、逮捕者数は10名となった。ハリス・バヤンジュクは両捜査ファイルで容疑者として記載されている。

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( 翻訳者:藤井庸平 )
( 記事ID:39906 )