EUトルコ難民問題交渉、難航
2016年03月08日付 Cumhuriyet 紙

トルコは、EUの悪夢である難民危機を解決するため、交渉の開始、すべての難民を受け入れる代わりにシリア人のみ欧州へ入国するよう承認を求めた。イタリアのレンツィ首相は、トルコでは「自由な報道」のための措置が講じられていないことから、(トルコの)申し出を承認しないと語った。多くの国が査証、難民問題解決、新しい扉を開くことに反対した。(EU)高官は困難にもかかわらず、合意の可能性があることを明らかにした。

トルコは、EU加盟における閉塞状況を打開するため、公式に難民という切り札を議題にのせた。トルコは、EUの悪夢である難民危機を解決するため、交渉の開始、査証の免除、すべての経済的難民を受け入れる代わりにシリア人のみをEUが承認するよう求め、この代わりに、ギリシャの島々へトルコから出国した人びとをトルコに受け入れるとした。EUからはシリアでの安全地帯の建設に対する支持とともに追加30億ユーロを求めた。

難民危機に関し会合したEU首脳会談にてダウトオール首相は、一昨日、トルコのEU常駐代表部にドイツのアンゲラ・メルケル連邦首相とオランダのマルク・ルッテ首相を迎え入れた。そこで初めて、トルコの提案が提示された。約3時間半続いたこの会合の後、昨日もトルコ・EU首脳会議でこれが議論された。

同提案は首脳会談のプログラムの流れを変えることとなった。ダウトオール首相はEU首脳と自身も含めてこの提案の議論を始める一方、イギリス、ドイツ、フランス、イタリアの各国首脳、モゲリーニEU上級代表らと個別に会談をおこなった。

■報道の自由という条件

ダウトオール首相の第12か条の提案に対し、EUがどう対応するかまだ明確ではないが、EU情報筋はトルコがおこなった提案で合意が達成されなかったと語った。イタリアのマッテオ・レンツィ首相は、トルコで報道の自由に向けた措置が講じられていないことから、同提案を承認しないとした。首脳会談が続く中、EU内部から事前に合意が達成されないという情報が漏れ、その後、EU委員会の高官は困難なプロセスで合意が達成されうる可能性があると明らかにした。

■その他の反対

清算に関する反対:ベルギーをはじめとするEUの多くの国では、欧州へ入った難民をトルコへ送還することは難民の権利に反しているとの見解がある。このことは、NATOがエーゲ海で増やした警備において、もっとも大きな障害となろう。なぜなら欧州へ入った難民は、送還を拒否する権利を有するためだ。

査証に関すること:トルコの査証撤廃化に対し、まずフランスとオーストリアが反対している。トルコに対する72項の義務のうち9項の法的整備が必要であり、トルコはいまなおこれらに対応していないとした。

シリア難民に関する不和:ハンガリーを初めとして、スロバキア、スロベニア、ポーランドは、トルコからヨーロッパへ新たなシリア難民が送られることに反対した。キプロスもこの反対に参加した。

財政:イギリス、オランダ、バルト諸国、イタリア、フランスは、EUが2018年までに30億ユーロ(約3,900億円)支出することに反対している。

フランスの拒否:フランスとギリシャはトルコとの交渉再開及び封鎖の解除に反対した。

■トルコの誓約

1. トルコからギリシャへ向かったすべての不法移民をいかなる条件も課さずに受け入れる。
2. この送還承認プロセスでは、ギリシャと別途協定を結び、トルコの渉外担当官がレスヴォス島、ヒオス島、レロス島、コス島、サモス島から難民を受け入れる。
3. ギリシャと行政・法的機構を整備する。
4. トルコから出国したすべてのシリア人に対する対応は、EU、UNHCRと連携して、シリア人のみをヨーロッパへ定住させる。
5. 合同委員会により提示されたトルコ発案の計画は、シリア領内で安全地帯を建設するため適用される。

■EUへの要求

6. 期日は後日明らかにされるとして、難民をギリシャの島々から送り出し、EUが送還する
7. 送還プロセスでのすべての費用はEUが負担する。
8. 送還協定において、トルコ国民に適用されているシュゲン査証協定は、遅くとも2016年6月には廃止する。
9. 安全地域の建設において共同作業を行い、月ごとに安全地域にいるシリア人を適切な形で受け入れる。
10. 新たな交渉項目を議題にのせるために決定の準備をおこなう。
11. 30億ユーロの送金を迅速化させ、2018年末までにさらに30億ユーロを送る。
12  トルコと共同で毎月、進展状況を評価する。

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( 翻訳者:岸田圭司 )
( 記事ID:40014 )