エルドアン大統領、ウクライナ・ポロシェンコ大統領との会見でロシア批判
2016年03月10日付 Milliyet 紙
エルドアン大統領は、ウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領との合同記者会見でロシアを批判し、「トルコはクリミアの非合法な編入を承認せず、これからも承認することはない」と述べた。
エルドアン大統領とウクライナのポロシェンコ大統領は、大統領官邸で会談を行った。その後開かれた合同記者会見で、エルドアン大統領は主要な話題についてコメントした。
「トルコとEUの間で首脳会議が実現し、その後いくつかの提案や議題が一般にも公開されました。2018年までに支援金としてトルコへ30億ユーロが付与されること、(難民の)送還協定、自由な出入国などが6月までに実現するといった条項が反映されています。首脳会議と、その後発表されたこうした提案を、どのようにお考えですか」という質問に対し、エルドアン大統領は次のように答えた。
■「彼らはプロジェクトを求めている」
「周知のとおり、そもそも今回の支援はトルコ共和国の国庫に対するものではなく、難民に対する投資及び支出に充てられるものだ。今までに行ってきた支出は100億ドルだが、これに対してでもない。もしそうであれば、EUは新しいプロジェクトなどを要求しないだろう。彼らはプロジェクト・ベースの支援の話をしているのだ。4か月が過ぎたが、まだ何もない。今年中に30億ユーロが来るという話だったが、残り8か月で本当にこの金が来るのだろうか。彼らには気に入らないかもしれないが、大統領として私ははっきり言っておく。この支援・援助をこの目で見るまでは、それが来たと言うつもりはない。」
■ロシアへ、クリミア批判
合同記者会見で、エルドアン大統領はロシアを次のように批判した。
「トルコは、ウクライナの主権と、クリミアを含む領土の一体性、政治的統一に対する支援を継続していく。ここではっきりと、明確な形で言っておきたい。トルコはクリミアの非合法な編入を承認せず、これからも承認することはない。ロシアは、クリミアにおいて国際法を踏みにじったのだ。」
トルコ=ウクライナ間での高等戦略協議会の後に行われたこの記者会見で、エルドアン大統領は次のように述べた。
「会談で、私たちはクリミアの同胞が直面している問題について取り上げた。クリミアにおける違法な状況を乗りこえるため、外交及び法的な手段を踏み、協力して取り組んでいく。東ウクライナにおける危機は、平和主義的かつ外交的な方法をもってのみ解決に漕ぎつけることができると信じている。この認識のもとに、我々はミンスク・プロセスを支持している。」
■誰が呼んだ?
エルドアン大統領は、ロシアを次のように批判した。
「全ての勢力が停戦調停を守り重火器を前線から撤退させるよう、ウクライナの地が外国の軍隊から解放され、ウクライナ・ロシア国境に再び秩序を取り戻すよう、ここからもう一度呼びかけたい。ロシアはシリアへ介入する際、『シリア政府が我々を招いた、だから我々はシリアにいるのだ』と言った。ではいったい誰が、ウクライナへ来てくれと彼らに頼んだのか。いったい、国際法のどこに依拠しているのか。これは「力ある者が正しい」の論理でしかない。ここには正当性など全く存在しない。」
「ロシアがクリミアを侵略して、半島を軍事基地にしようと企んでいると仰いました。これは地域にとって脅威となっていますが、この件についてトルコからどのような支援を期待できるでしょうか。軍事防衛での協力を強化していくという、その詳細はどのようなものですか」というウクライナ人記者の質問に対し、エルドアン大統領は次のように答えた。
■ロシアは基地を建設している
「そもそも、ロシアによる基地建設問題は、クリミアが制圧された直後に始まったもので、深刻な状況が今も継続している。シリアでは、ご存じのとおり、ロシアは既にタルトゥスに海軍基地を持っていた。シリアへ介入した後は、ラタキア北部に空軍基地も建設した。現在ラタキア空軍基地には約50のロシア軍機が駐機しているほか、最新テクノロジーを搭載した軍用機4機が存在する。」
「ロシアの関係者に聞けば、『アサド大統領自身が呼び寄せた』という回答が返ってくるが、あなた方は招かれた場所に必ず行かねばならないとでも言うのか。そんな力はどこから来るのか。第1 は軍事力、第2は『国連安保理の常任理事国』だからだという。国連安保理がロシアに関して決定することが果たして出来るだろうか。至極単純な話だ。」
■エルドアン、憲法裁判所を批判:「彼らは判決理由の説明を強制されたのだろう」
(ジュムフリイェト紙の)エルデム・ギュル支局長とジャン・デュンダル編集長に関する憲法裁判所の判決について、記者の一人が質問すると、エルドアン大統領は次のようにコメントした。
「来客があったので、私は判決とその理由をまだ読めていない。ただ、33ページにわたる判決理由が示されたということは聞いている。おそらく、判決理由の説明を強いられたのだろう。私は、憲法第104条に与えられた義務を果たしている。憲法を監視することは、疑いなく私の主要な役割の一つだ。この認識に沿って私の考えを述べたが、もう一度言う。憲法裁判所は、司法の道を個人的申請のもとに消費してしまっている。彼らは正当性の監査をすることはできないし、するべきでない。その上憲法裁判所は、自らを司法の最高機関と位置付けているようだ。憲法裁判所が最高裁判所のように審判するのは正しいことではないだろう。」
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( 翻訳者:今城尚彦 )
( 記事ID:40021 )