トラブゾンのある私立大学で学生にワインの試飲を強制したという主張から始まった議論が、さらに混乱の様相を示している。一部の学生が「宗教と良心の自由、並びに人格権を侵害された」として告訴し、大学側もこれを受けて事情聴取を始めた結果、バシャク・スングル准教授は教員を辞任した。彼女の辞任後、別の学科生のグループが記者会見を行い、スングル氏が試飲を強制したようなことはなかったと発言した。この出来事は、私立アヴラスヤ大学の料理・調理師学科において去る3月8日に起きた。「アルコール・ノンアルコール飲料について」の授業でワインの試飲を強制され、試飲を拒否すると教室から追い出されたと主張する一部の学生グループは、バシャク・スングル准教授が「アルコールは科学的なものだ。学生のみなさんの宗教的、良心的な決断というのは私には関係のないことで、試飲は強制だ」と発言したと証言している。また同学生グループは、バシャク・スングル准教授がスカーフを着用している学生に対しても同様の態度をとったと主張した。この出来事の後、大学の経営陣に改善を直訴したものの結果が得られなかったと話す学生らは、今回弁護士とともに検察へ「宗教と良心の自由、並びに人格権を侵害された」という主張に基づき教員を告訴した。この事件が裁判沙汰へと発展した後、大学の経営陣らも教員に事情聴取を始め、スングル准教授は辞任するに至った。
■「この授業は学生自らの意思で選んだ」
スングル准教授の辞任後、別の学科生のグループが本日(9日)トラブゾンジャーナリスト協会でこの件に関する会見を行った。事件に関して話した学生の一人であるアクン・ベクタシさんは、バシャク・スングル准教授が試飲を強制するようなことはなかったとし、以下のように発言した。
「この授業は高等教育機構(YÖK)によって定められた必須科目です。授業のタイトルは『アルコール・ノンアルコール飲料について』です。この授業はみな自分の意思で選択しました。授業を選択した学生全員に(アルコールの試飲があることは)通知されていました。先生はいつも、私たち学生に選択の自由を与えてくれました。『やりたいようにやりなさい』と仰っていました。『飲みなさい、飲まないなら出て行きなさい』といったような発言は決してありませんでした。授業では試飲をする機会がありました。しかし、(今回告訴した学生らの主張では)試飲をしなかった学生らを教室から追い出すようなことがあったという主張がされています。さらにはスカーフを着用した学生に差別的な態度をとっていたという主張もありますが、そのような主張は断じて正しいものではありません。このような主張を公にした学生グループを除く、すべての大学関係者と私たち学生はバシャク・スングル准教授の味方です。」
■「(無理やりは)飲ませないと言った」
また別の学生であるセルピル・ベキャールさんは、その日の授業に自身も参加していたことを明らかにした上で以下のように語った。「その日、教室には30人もいなかったと思います。先生は授業で、一切主張されているような提案はしませんでした。授業の1週間前に、「このような授業があります。希望者は参加してください」と言いました。その日はワインの試飲をする準備が整えられていました。先生はワインをどのように試飲するか説明しました。無理やり飲ませるようなことはしないと、特に念を押すように言いました。試飲を希望しない学生もいました。先生は彼らに対して、『試飲をしたくないのであれば、外に出ても構いません』と言いました。その時、学生の一人が『それは許されることですか?』と発言したことを受けて、バシャク・スングル先生は『私はこの場でみなさんの政治的、宗教的立場に立ち入るつもりはありません。私の仕事は科学的知識をみなさんに授けることです』と言いました。無理やり教室から追い出したり、あるいはワインを試飲させたりするようなことはありませんでした。」
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( 翻訳者:指宿美穂 )
( 記事ID:40238 )