ペルセポリスのレリーフに女性の姿はなし―考古学者、ヘジャーブ普及用の看板に疑問(2)
2016年05月26日付 Iran 紙

レリーフは神話的で男性的な姿を描いたもの

 ペルセポリスのレリーフに女性の姿が描かれていない理由について、考古学者らはどのように考えているのか、アサディー氏に尋ねたところ、同氏は次のように答えてくれた。「ペルセポリスはアケメネス朝国家の権力や力を示す、一つのシンボル、象徴です。日常生活を表現するものではまったくないのです」。

 同氏によると、まさにこのような理由から、〔レリーフには〕アケメネス朝の宮廷内の普通の姿や情景が表されているわけではないという。同氏はペルセポリスのレリーフが彫られたのには特別な目的があったと指摘し、次のように述べている。「これらのレリーフは神話なのです。この時代のシンボル、象徴の一部なのです」。

 同氏は、女性の姿を彫ることがもたらす感覚や感情を考えるならば、そうした行為はアケメネス朝国家の政策にかかわる特別な目的に反するものだと指摘する。「これらのレリーフは、むしろこの時代の特別な儀礼や伝統を描いたものなのです」。

 同氏によると、当時アケメネス朝は自身の政策の中で、謁見や捧げ物の献上のために訪れた諸部族・集団を自らの影響下に置くために、家父長的な雰囲気を見せつけようと試みていたという。同氏は、ペルセポリス、およびシーラーズにある他の二つの重要遺跡〔=ナグシェロスタムとパサルガダエ〕のレリーフを覆っている雰囲気はアケメネス朝の力の誇示が目的であるとし、次のように言う。「ただし、このことは〔アケメネス朝の政治の表舞台に〕女性たちが存在することに〔同朝が〕反対していたという意味ではありません」。同氏によれば、「師団」の司令官の肩書きにまで登り詰めた女性もいたのである。

 確かにペルセポリスやパサルガダエ、ナグシェロスタムのレリーフには、この時代の女性たちを描いたものは存在しないが、しかしアケメネス朝時代にさかのぼる印章から、この時代の女性たちの状況がある程度に明らかになる。アサディー氏によれば、こうした印章やその他の一部の資料から、この時代の女性たちはアケメネス朝国家の上層部できわめて重要な役割を演じていたし、〔国家組織のヒエラルキーの〕中間層や社会的レベルでもそうだったことが分かるという。

 同氏はヘロドトスの歴史書や、そのほかのギリシャの歴史家たちの著作について触れ、これらの著作にはアケメネス朝の軍司令官を担っていた女性たちについての記述があると指摘する。アサディー氏によると、国の意思決定には、女王もきわめて大きな役割を演じていた。実際、アケメネス朝の宮廷内での女性の影響力は、王の後継者決定の領域にまで及んでいたというのである。

つづく


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( 翻訳者:FJSW )
( 記事ID:40725 )