イスタンブル自爆テロ犯、アパート隣人住民の証言
2016年06月30日付 Hurriyet 紙


自爆テロ犯人らは、潜伏していたファーティフの部屋を、年24,000リラで前払いして借りていた。上階に住む住民の女性は部屋からする化学物質の異臭に苦情を言い、地区長のところにも赴いていた模様。「区役所に行くよう言われましたが、いったい区役所で誰に苦情を…最後の晩はタン、タンという音が聞こえてきました。つまりその晩、爆弾をつめ込んでいたのです。爆弾テロの後、警察官がやってきて『下の住民が爆弾テロ犯だ』と言うので 卒倒しました。私は爆弾の上に住んでいたのよ。」

アタテュルク空港を血で染めた3人の自爆テロ犯はファーティフ・イスケンデルパシャ地区のソフラル通りに3か月間潜伏していた。通りの住民の大半はシリア人やパレスチナ人、レバノン人、ヨルダン人だった。そのため外国人であることで人目を引きたくない者たちにとっては格好の場所だった。家賃は年単位の前払いで払っていた。防犯のための鉄の扉や格子も「アジト」の住民たちに歓迎されるような作りだ。
自爆テロ犯3人は、ソフラル通りのアルドゥチ・アパートの部屋を年24,000リラの家賃を前払いで支払い借りていた。部屋の窓はブラインドとともに閉め切り、住んでいる期間ずっと開けずにいた。
部屋の上階に41年間住んでいるという女性は、3か月間同じ建物にいたテロリストを目撃したことはなかったものの、音は聞こえてきたとのこと。部屋からする異臭に不快な思いをしていたという。「大きな声で喋り、言い争いをしていた」と語る。何語で話しているのかも不明で、不快な異臭の原因も分からなかっ た。「真夜中を過ぎると刺激臭が漂ってきました。とてもおかしな、化学物質のような臭いです。苦情を言おうと地区長のところに行きました。すると私に区役所に行くよう言いました。そこでいったい誰に苦情を言えばいいというの?地区長のところには何度か陳情に行きました。『誰が済んでいるのか確かめているの?』と言うと『私たちは全て把握しています』と返されました。最後の晩には、タンタンタン、という音が聞こえてきました。つまりその晩、爆弾をつめ込んでいたのです。爆弾テロの後、警察官がやってきました。私の子供たちがやったのではないかと怯えましたが、『いや、怖がらなくていい。下の階の連中が爆弾テ ロ犯だったのだ』と言われ、私は卒倒しました。私は犯人たちの上階に、爆弾の真上に住んでいたのよ。」

■地区長は空き室だと把握

アパートの背後にある修理屋主人・ムスタファ・エルサンさんは、テロリストが潜伏していた部屋で背が高い人物と低い人物の2人を見たといい、「部屋では女性も1人見ました。ハウスキーパーだったと思います」と語った。イスケンデルパシャ地区のフィクレト・サラル地区長は、テロリストが潜伏していた家は手元の記録には空き室とされているようだと語る。サラル地区長は、「こちらに苦情を言いに来た方々は、区役所や郡庁へと案内しています。私が検めることはできません。しかし、家の賃貸契約にあたっては、借りる外国人には居住許可が必要です」と話した。
テロ対策情報担当局の警官が犯行の後、部屋の中へ。部屋はスチールの扉の外側に鉄の扉が備え付けてあった。警察は証拠を収集、指紋を採取。部屋を貸した不動産業者と部屋の賃貸のためテロリストの通訳を行ったハサン・Iが拘束された。ハサン・Iは、2人からロシア語の通訳を頼まれただけだと話し、不動産業者とともに釈放された。

■山賊のようだった

同地区で配管工を営むE.Sさんは、最近テロリストの潜伏していた部屋に出入りした唯一の人物だ。E.Sさんは、テロの2日前にひとりが店舗を訪れたといい、「拙いトルコ語で話していました。私を部屋まで連れていきました。風呂場、トイレを確認すると、トイレのノズルが壊れて水漏れしていたので手持ちの部品で交換しました。部屋には3人いるのを見ましたが、山賊のようでした。1人は常に私の側で見張っていました。私がノズルを交換した後部屋から出ると、彼らは玄関で20リラ払いました。ここでは誰も他人のことは気にしないので、地区の役所から滞在許可証をもらっていなくても、皆快適に過ごしていました」と語った。

■第二の祖国だった

アタテュルク空港でのテロで4人が犠牲となったサウジ・アミリ一家は、昨年トルコ国籍を取得した。二重国籍のアミリ一家はイスタンブルで暮す親戚を尋ねて初めてトルコへ入国するところだった。子供8人の父であるアブデュルムニン・アミリさんと妻のハジラ・アミリさん、娘のメルイェム・アミリさん (24)、ケリメ・アミリさん(16)、ゼフラ・アミリさん(14)、息子のムハンメド・アミリさん(30)と孫のヒュダ・アミリさんがターミナルから出ようとしていた時、テロ犯が自爆。メルイェムさんとケリメさん、ゼフラさん、ヒュダさんが死亡し、他の家族は負傷した。ゼイティンブルヌ・セイイド・ニ ザーム・ジャミイ(モスク)で亡くなった人々の葬儀がとり行われた。

■13人を拘束

エフカン・アラ内務相は、アタテュルク空港でのテロで死者は44人に上ったと語った。アラ内務相は、「現在までにトルコ人9人と外国人4人の計13人を拘束し た。自爆テロを行った3人のうち1人は身元が判明した。死者44人に、自爆テロ犯3人は含まれていない。44人のうち19人は外国人だ。94人が病院で治療を受けている」とし、詳細を次のように述べた。
「3人はタクシーで乗り付けた。テロリスト1人は国際線到着ターミナルに向かう途中で警察官に制止を求められ、警察官に向け発砲して負傷させた後、駐車場の階段から下に降りて自爆した。2人目、3人目は国際線の到着階に入るやいなや周囲に向け発砲し、逆方向へと走っていった。これは、バリケードがあって入れないのを犯人らが知っていたからだ。ひとりは警官に撃たれ、その場で自爆した。3人目は下へと走っていき、そこで自爆した。使用された爆弾はRDX、 TNT、PTNを混交させ製造したタイプのものだ。現在まで入手した情報や文書、調査結果で、このテロはISテロ組織が起こしたものとの見方を強めている。」

■50,000人に入国禁止措置

アラ内務相は、今日までに98か国・3,603人を国外退去させたと語り、「今日までに145か国・50,177人対して入国禁止措置を取った。また ISテロ組織関連で今日までに5,310人を拘束し、うち1,654人を逮捕した。2016年だけで1,654人を拘束したが、791人は外国人だ。拘束 したうち663人を逮捕し、うち371人が外国人だ」と述べた。

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( 翻訳者:貝瀬雅典 )
( 記事ID:40790 )