パレスチナ:エルサレム聖地のユネスコ世界遺産決議案をめぐる争い
2016年07月11日付 al-Quds al-Arabi 紙


■イスラエルはユダヤ人とエルサレムの聖域(注)の結びつきを否定するユネスコ決議案への投票妨害に取り組む
(訳者注:この記事では、エルサレム旧市街にある聖地、すなわち、神殿の丘/嘆きの壁/岩のドーム/アル=アクサー・モスクが集まる場所に対して、イスラーム側からの「エルサレムの聖域」と、ユダヤ側からの「神殿の丘」という言葉を使い分けて表現している。)

【ラーマッラー:ファーディー・アブー・サアディー】

イスラエル外務省は、世界中の同国大使館を通じて、パレスチナ・ヨルダンによるユネスコ決議案の採択阻止を試みている。同決議案は、ユダヤ人とエルサレムの聖域――あるいは、神殿の丘とも呼ばれる――との間には結びつきがないことを強調し、イスラエルがイスラームの聖所を侵害していると告発するものである。

同決議案は、ユネスコの世界遺産委員会での投票にかけられることが決まっている。同委員会は21ヶ国の代表者により構成され、そこにはアゼルバイジャンやブルキナファソ、キューバ、フィンランド、インドネシア、クロアチア、ジャマイカ、カザフスタン、クウェート、レバノン、ペルー、フィリピン、ポルトガル、韓国、チュニジア、トルコ、タンザニア、ベトナム、ジンバブエなどが含まれる。イスラエルおよびその背後にいるアメリカ合衆国は、これらの国々に対し、4月にユネスコ事務局がイスラエルとエルサレムの聖域および西側の壁、いわゆる「嘆きの壁」との間に宗教的な結びつきがないと決議したことに示されたイスラエルへの侮辱を繰り返してはならないと、強く圧力をかけている。

パレスチナ・ヨルダン決議案は、イスラエルに関するいくつかのきわめて不確定な言葉を含んでいる。その一つは、エルサレムの聖域とアル=アクサー・モスクを“歴史的現状”に戻すことである。この歴史的現状という語は新しい用語で、〔1967年の〕6日間戦争より前に存在していた状態に戻すことを意味する。この用法は、“現状”という用語がこれまで公文書の中で〔2000年の〕第二次インティファーダより前の状態を指していたことと異なる。

パレスチナ人たちは同決議案において、ユダヤ人とエルサレム聖域との間のいかなる関係をも抹消しようと試みている。また、同聖域の全体をイスラームの聖地として扱い、嘆きの壁もその一部とみなしている。

(後略)

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( 翻訳者:勅使河原佳野 )
( 記事ID:40847 )